劇場公開日 2015年11月27日

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「派手さはないが心揺さぶる名画」黄金のアデーレ 名画の帰還 antares_akoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5派手さはないが心揺さぶる名画

2015年12月7日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

ネタバレ感あるタイトルなので結末はわかってしまう。知る人ぞ知る史実なので、そこは問題はないとは思うけど。
ナチス時代に略奪されたクリムトの代表作である黄金のアデーレをオーストリア政府に返還訴訟を起こしたアデーレの姪にあたる女性の実話。
ストーリー展開は淡々としていて、法廷バトルの映画と云うわけでもない。それでも所々で差し挟まれる回想シーン、マリアを演じたヘレン・ミレンによってその時代の根深い問題を見せつけられる。ホロコーストやナチス政権時代のオーストリアなど歴史的な背景をある程度知った上で見ないと面白くないかもしれない。人種差別や戦争、民族の誇りや国の在り方や様々な問題提起を静かに語りかけてくるような映画。愛すべき祖国へ足を踏み入れることをマリアが拒む気持ちを想像するとき、胸が締め付けられる。エンドロールの間もしばらく余韻に浸っていられる良い映画でした!

antares_ako