「重い実話を淡白に。」黄金のアデーレ 名画の帰還 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
重い実話を淡白に。
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シェーンベルクの孫である経験の浅い弁護士が、クリムトの絵のモデルとなったアデーレの姪の代理人となって、オーストリア政府を相手取ってアデーレの肖像画の返還を提訴して争う実話。
若い弁護士がこの戦いに取りつかれたように挑むその原動力や、最高裁までたどり着く法廷の展開、ウィーンでの調停で遂に勝利に至る過程など、どれも実にあっさりと描かれている。
一方、現代の物語の展開に挿入される過去の断片は幾分ドラマチックに描写されていた。
現代編の方にもっとサスペンス感を持たせることはできたと思うが、それは避けたのだろう。
全体的に淡白な演出だが、役者達の魅力が出ていた。
やはり、役者で魅せる映画は安心して観ていられる。
ヘレン・ミレン演じる老女マリアが、母国オーストリアへ渡ることを強く拒絶する場面は印象的だ。
ただ、彼女の若い頃は金髪じゃないのが気になった。なぜ金髪にしなかったのだろうか?
実話という重さ以外は、重苦しさがなく観られる良質な映画。
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