「これぞ『職人技』。」Mr.ホームズ 名探偵最後の事件 好きこそモノのヘタレなれさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ『職人技』。
まさに「上質のツマ」と呼ぶに相応しい一本。
派手さは無いし、決してメインにでしゃばるようなことは無いけれど。
堅実で丁寧な作品作りと、名優の名優たる所以を存分に盛り込んだ職人の手による小さな日本庭園のような印象が非常に良かった。
イアン・マッケランの、老いと、さらなる老いとを行き来する演技が、改めて素晴らしい。
何より「ホームズ最後の相手がホームズ自身」という目の付け所が◎。
現実と乖離しない、誰にでも起こりうる卑近な恐怖(という名の逃れられない現実)をバックグラウンドに据えて、終始どこか不穏な空気を書き立てる脚本&演出も非常に良かった。
途中なぜか真田広之やトンでも日本描写が織り交ぜられるが、それはご愛嬌。
クラシック音楽の現代的解釈を聴きに行く気分で味わっていただきたい作品。
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