「ファシズム下の日独の類似点や相違点等、色々と考えさせてくれる良質な映画」ヒトラー暗殺、13分の誤算 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
ファシズム下の日独の類似点や相違点等、色々と考えさせてくれる良質な映画
オリバー・ヒルシュビーゲル監督(ヒトラー最期の12日間等)による2015年製作のドイツ映画。
1939年9月1日のポーランド侵攻後、有名な11月8日のヒトラー暗殺未遂の爆破事件、それを単独で実行ゲオルク・エルザーの人生を、1932年までさかのぼって描いている。
単独での事件であることは全く知らなかった。ゲオルクは腕の良い家具職人で、信心深いプロテスタント信者で、自由と音楽を愛し、恋人は人妻であったことが、丁寧に描かれている。また、ナチズムがドイツ破滅への道であることを、強く認識していて、言わば国の為ヒトラー暗殺を図った。
あれだけ高級な良い物作りが出来るドイツ人が何故ヒトラーに心酔してしまったか、今もってずっと自分には謎。ただ非常にケアレースだが、こういう人間の存在があったことには多少安心感を覚えた。ドイツ人にとっても誇りということか、ミュンヘンには「ゲオルク・エルザー広場」が有り、市民単独の行動を讃える「ゲオルク・エルザー賞」が設けられてるらしい。
同様のファシズム統制下にある太平洋戦争前、日米開戦は破滅の道と認識する人間は多数いたらしいが、日本ではこういう個で何かをしようとする人間は何故皆無だったのだろうか?
そういう日独の類似点や相違点等、色々と考えさせてくれる良質な映画であった。
製作はボリス・アウサラー オリバー・シュンドラー、フレート・ブライナースドーファー、脚本はレオニー=クレア・ブライナースドーファー、撮影はユーディット・カウフマン、音楽はデビッド・ホームズ。
出演は、クリスティアン・フリーデル、カタリーナ・シュトラー(ヒトラーに屈しなかった国王等)、ブルクハルト・クラウスナー、ヨハン・フォン・ビューロー、ダービット・ツィンマーシート。
正にそのとおりです。ファシズムと言えば、ヒトラーとムッソリーニ しかし、自国のファシズムを日本人は無視しています。僕の時代は見てみぬふりで、今の若者は知らない。になってしまっていると僕は思います。