劇場公開日 2015年11月21日

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「犬たちの映画ではありますが、犬の映画ではありません。 これは、はっ...」ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソディ) HammondJ3さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0犬たちの映画ではありますが、犬の映画ではありません。 これは、はっ...

2015年11月21日
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鑑賞方法:映画館

犬たちの映画ではありますが、犬の映画ではありません。
これは、はっきりとした寓話です。観る人によって、受け取るメッセージは違うものになりそうですが。

犬に対する虐待描写がかなりリアルかつハードに撮られているので(撮影自体が犬たちに対する虐待なのではと疑うほど)、犬好きの方が観るとショックを受けるのではないかな、と思いました(パンフレットによると、信頼たる動物コーディネーターによりストレスを与えないよう犬たちの撮影に臨んだそうです)。

そして、この作品が象徴的になってしまう要因として、期せずして起きた、ヨーロッパにおけるシリア難民の問題が挙げられます。まさに今作中の犬たちは、難民および移民などのマイノリティの境遇にそのまま置き換えることができます。作中に出てくる雑種犬に税金を課す、という新法は不寛容な社会を表しています。
主人公の雑種犬ハーゲンは、人間たちから追い払われ虐げられるうちに、次第に人間に抱いていた愛情を憎悪へと変えていきます。そして、次々と自分を苦しめた人間に復讐していき、さらにすべての人たちに対して敵意を向けていきます。まるで、昨今のテロリズムの興り方にそっくりな気もします。

寓話とはいえ、終盤の犬たちによる集団逃走劇を除けば、こうした犬への虐待は本当にあることでしょうし、ペット好きな人も考えることができるところも大いにあると思います。

パンフレットでは、劇中に出てくる犬たちの良い話が載っていたので、読んでみるといいです。みうらじゅんさんによるイラスト付きです。

HammondJ3