「これで完結・・・と思えば我慢できるか」アンフェア the end tukinami2000さんの映画レビュー(感想・評価)
これで完結・・・と思えば我慢できるか
まず始めに星2という評価はアンフェアという作品に星1をつけるのが忍びなかったからです。正しい評価とはいえません。
前作「アンフェア the answer」でもそうでしたがとにかく視聴側と作り手側との乖離を感じます。
アンフェアドラマ版やthe movieが高い評価を受けていたのは、登場人物全員に「なぜそれを行なったか」という強い動機付けがあったこと、それがそのまま一人一人のキャラクター性に繋がっていたためだと私は思っています。
特に顕著なのが雪平でした。父の遺志のため、娘のため、非情になれる強さ、また仲間内への情の厚さ、そしてその仲間から裏切られたときの弱さ、これらがとても魅力的でした。
ところが前作、今作はどうでしょう。前作冒頭でベッドシーンから始まっただけの一条との愛と信頼を語られても正直ポカーンです。
娘、美央も前作ではほったらかし、今作では思い出したようにちょっと人質になるだけです。
これらの薄っぺらさは他の全てのキャラクターに言えます。とにかく動機、過程の描写、というより納得のいく説明がとにかく無く感情移入のしようがないのです。
そしてまた薄ら寒いのが「組織」です。
アンフェアドラマ版では常に「薄気味悪さ」が彼らにはありました。誰かわからない、理由がわからない、手段がわからない。これらの不気味さが回を追って増していくにつれわくわくしたものです。
ところが今回は始めっから組織が誰かわかってるわ公然と銃ぶっぱなすわ暗殺者は顔隠さないわしまいにはぽっと出の雪平のかたき、意味不明の裏切り。なんというかもう全員あほにしか見えません。
銃を撃っただけでニュースになる日本で、一般人の非難や安全確保も行なわずに公権力がどんぱち銃撃戦を行なう姿はファンタジーであり、それが裏の組織やら~側の人間なんていう単語と組み合わせればもうそれは幼稚で醜悪な妄想でしかありません。
前作「the answer」からの流れをつぐ以上この終わり方しか無かったのだろうなぁとは思います。謎自体はほとんどドラマ中で判明していたわけですしね。敵は「巨大な組織」という漠然としたもの。ただもうちょっとこのラストへの持っていきかたというものがあったのではないか?
総評としては劣化ハリウッド映画でも目指したの?です。
派手さはないし中身もない。小盛りで大味。アンフェアを終わらせるための物語であり、熱心なファンでもない限り見る必要はないでしょう。物語に謎がない、というのが致命的でした。EXILEの俳優起用のために映画をとったのではないかと邪推するほどに中身がありません。
映画を見ている間、ラストまで!あなたは頭の中で雪平の口癖、「馬鹿かお前は」を繰り返すことになるでしょう。