「差別暴力撤廃。」グローリー 明日への行進 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
差別暴力撤廃。
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キング牧師の名を広く有名にした「ノーベル平和賞」の受賞と
その後の「血の日曜日事件」なのだが、アラバマ州のセルマ
という地区だったことを原題にて初めて知った。公民権運動
の重要な節目となったのがこの事件で、警察隊による実際の
襲撃映像がTVで報じられたことによってアメリカ中が震感、
その後のデモには、人種の壁を越えて多くの人々が集まった。
大きな改変を成し遂げる前には幾つかの犠牲を伴うとはいえ、
この非道すぎる黒人への暴力には(言葉でも)酷さを拭えない。
目を覆いたくなる惨状とあっけなく殺されてしまった青年の
目が、もう後戻りはできないんだぞ。とキング牧師に刺さる。
今作の面白いところは、彼の弱さや臆病な気質を取り上げて
苦悩して行きつ戻りつを繰り返す彼の人間性を描いたところ。
本当に普通の人なのである。家庭不和や暗殺予告など、彼が
有名になればなるほど危険や誹謗中傷は後を絶たず、とはいえ
絶大な信頼を寄せる黒人たちを裏切るわけにはいかない。脅し
など日常茶飯事で家族も心配だが、これだけはやり抜くぞ!と
大統領に喰ってかかる彼の戦略的な意見も大いなる見所の一つ。
事実はそんなにドラマチックに物事は運ばない。英雄だとか、
見聞きした歴代の偉人伝になっていないところが却っていい。
ラストに流れる実際の記録映像を観るとさらに感慨が募るが、
アカデミー歌曲賞受賞の“Glory”が素晴らしくて聴き惚れる。
(未だ完全に人種差別が無くならない現状をどうしたらいいの)
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