「カメを大切に。」ラブ&ピース ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
カメを大切に。
監督好き放題・園子温編。ずっと温めてきた企画が長い年月を
経て完成したという監督の想いが随所に感じられる作品だが、
トイストーリー&特撮&反戦思想&唯我独尊男の破茶滅茶劇を
延々観せられるため^^;好き嫌いが分かれそうな作品ではある。
ただ園監督が想い描く世界観は実現できており、最近の中では
一番監督らしい作風だなぁと思える。最近のインタビューで、
今後はこの路線でいくつもりだと応えていたので、年に一回は
作りたいものを自分路線で公開させていくんじゃないかと思う。
食えなかった時代を描きつつ、そこから始まる何かを見出そう
という次世代の若者たちが、今作を観て感じるところが大きい
のも頷ける。人間は何度も何度も間違いを繰り返して成長する。
主演の長谷川博己は気弱なネクラ青年~ロックミュージシャン
まで幅広く頑張って演じており、一切の笑顔を封じられた麻生
久美子とのやりとりが痛々しくて切ない。もっとラブコメかと
思いきや特撮メインの破壊力が凄まじく予断の許さない映画^^;
だいたい、カメをトイレに流すなんであるまじき行為!!
(実は昔カメを飼っていて、私もカメ好きなのだった。…だから、
周囲からバカにされたといってカメを流すなんて言語道断!!(怒)
分かりますけどね、ガメラ化させたい意図は)
地下世界に流れ着いたピカドンは急成長して地上に姿を現すが、
愛らしい顔面につい情が入ってしまう。しかし凄かったな地下。
西田敏行の正体が、あーなるほど。というところで、ますます
トイストーリーな感動が膨らんでくるが、手塚とおるの科学者役
にはガメラファンが満足、園ファンには全力歯ぎしりソングなど
が聴けるので、サービス要素も満載。そんなところで楽しめるか、
何だこれ?となるか、な作品ではある。ダメ男の阿鼻叫喚物語。
(スローバラードが心に沁み入る。自分のピースを大切にしようね)