黒衣の刺客のレビュー・感想・評価
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かなり好きな作品!
戦い方、ふるまいに奥ゆかしさと気品を漂わせた孤高の刺客。わたし史上、最高にカッコ良いヒロインだった。
「西域の国王は青鸞を得たが、三年鳴かない。妃が言った。“仲間を見れば鳴くらしい。鏡を使えば如何?”
王が試すと、青鸞は己を見て悲しげに鳴き、一夜踊り続け、息絶えた。」
嘉誠公主が語る故事。鏡が映すのは孤独な自分自身。
朝廷との架け橋となるために嫁いできたのに、夫と息子は元の国と手を組もうとする。息子は政略結婚し、かつての許婚(主人公)を捨てる。
後半に明らかになるが、嘉誠公主と女道士は双子の姉妹だったのだ。女道士が琴を奏でるシーンが情緒的で印象的だと思ったが、実はあれは嘉誠公主だったに違いない。すっかり騙された!
次第に力を蓄えた藩鎮はやがて朝廷にとって脅威となり、主人公に次の暗殺の命が下る。ターゲットの首長は彼女のかつての許婚。
しかし主人公は暗殺者として「非情」に徹することができない。かと言ってかつての実家(母)にも馴染めない。どこにも属せない主人公の孤独と、13年ぶりに帰ってきた娘を迎える母の複雑な思い。
帰ってきた娘を湯に入れて衣服を整える愛情と、自分の知らない娘の人格を尊重しようとする潔い愛情。母の複雑な表情が良かった。
さて、鏡磨きの遣唐使。私たちは、和楽器が流れてきた瞬間に舞台が日本に移ったことを理解し、「あぁ、妻夫木は愛する者を日本に残してここへ来たのね」と理解できるが、西洋人は混乱するかもしれない。
ケリを付けた主人公は妻夫木の護衛として新たに出立つ。鏡を覗いた青鸞が自分を見つけたように、自分の生き方を見つけた彼女の表情は少し柔らいでいた。鑑賞者の私たちが手を降って見送るような慎ましく美しいカメラワークだった。
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