「これはエヴァだよ」シン・ゴジラ London Eyeさんの映画レビュー(感想・評価)
これはエヴァだよ
この映画、一般市民からの観点が全く欠落しています。あくまで第三者的扱いです。
出てくるのは、官僚ばかりでやたらと会議、会議の連続。しかも不必要な程に人数がやたら多く、しかも彼らに全く共感するようなところがありません。(特に彼ら個人個人の思惑など)
だから、一般市民である私には、ゴジラの恐怖感が全く感じられないのです。ゴジラの造形はまあ許せる範囲ですが、最後に棒立ちのままポツンと放置されているゴジラは何とかならなかったの?何かとつても惨めっぽくて、世界に誇る日本のゴジラに対する冒涜では?
またリアリズムにも難点あり。
短時間で静岡県駒門駐屯地から多摩川河川敷にあれだけの戦車をどうやって運んで揃えたのか?
航空自衛隊ってF2戦闘機2機しかないの?
東京駅があんなに破壊されて電気設備などは崩壊しているはずなのに、何故新幹線等の電車は動くの?等々
ヤシオリ作戦とヤシマ作戦、庵野秀明氏が脚本書くと、結局エヴァンゲリオンになっちゃうことを改めて認識。樋口真嗣氏に脚本も任せれば、また違ったものになったと思います。残念!
バンカーバスターが利くとおっしゃってる方、しっかり見てました?
使わないんじゃなくて使えないんです。背中から出るアレ。最後は尻尾からも。
(さすがにちょっとやりすぎだな・・とは思った)
この映画の一番の肝要は当然核でしょうが、現代人の無関心や他人事をいい具合に皮肉ってるんですよ。
そしてこのゴジラでリアリティを突き詰めすぎたらどうしようもなく重たくて暗くて救いようのない映画にしかならんと思いますし、それこそゴジラじゃなくて隕石かなんかでいいじゃないかという風になるかと。
このゴジラ、いろんな意味がものすごくたくさん多重に掛けられていて、そいつを一つづつ紐解くだけで視点がどんどん広がっていきます。
同感です。シンゴジラは日本を襲っているはずなのに、登場人物も観客もみんながどこか他人事のように淡々としていて、味気ないニュース番組のように感情移入ができない。作品に没頭できないんですね。粗が多すぎて。仰々しく兵器の名前が出てきて、現実の兵器であるとアピールするけれども展開も運用も兵理に合わず、雑。通常兵器は効かないと思ったらバンカーバスターは効く。効くのに使わない。矢口蘭堂が本当に有能なら、米軍にありったけのバンカーバスターと爆撃機、そして露払いの無人攻撃機を要請するでしょう。効くんだから。兵器も電車も、こういう、大小の粗が見えすぎてリアリティが無くなる。リアリティとは「実在のものを列挙すること」ではなく、「作品世界中にそれがあると思わせる説得力」のことです。ましてや特撮は「架空のものを実写で作る」わけですから、リアリティを追究しない作品が面白いわけが無いんです。