「破壊神ゴジラの原点に立ち返った名作」シン・ゴジラ Toshimasaさんの映画レビュー(感想・評価)
破壊神ゴジラの原点に立ち返った名作
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愚息と久しぶりに『シンゴジラ』を観に行った。
最後にに観たのは彼が、小学生の頃だったから、実に12年ぶりのゴジラである。
ゴジラが最初に陸自と対峙するは武蔵小杉、多摩川丸子橋だから、近場の二子玉の劇場ほど、今回のゴジラ映画に相応しい場所はない。
さて、映画の内容だが一言で云うならば、上質なポリティカル・フィクション。政治家や官僚たちのドタバタ群像劇を見ていると、庵野秀明監督が敬愛してやまない岡本喜八監督の終戦の詔勅を巡る人間ドラマを描いた『日本のいちばん長い日』を思わせる。
ネタバレになるので詳細は省くが、3.11における菅内閣のドタバタ劇、福島原発がそのままゴジラに置き換わったものと思って頂きたい。
だから、劇中ゴジラに対してアメリカが過剰なまでに介入するあたりは、3.11の原発事故時もかくやと思わす程リアリティがある。
そう云うタフな内容だから、当然の事ながら映画館には、姦しい餓鬼どもとママ連中ははピクサーのバカアニメの方に行っている。その意味で、近来稀に見る餓鬼相手でないゴジラ映画だ。
この映画を観ていて思ったのは、漫画家岡崎京子の言葉。
「私は世界が終わってしまうといった世紀末の終末感より、むしろ"世界が終わらないこと"のほうが怖い。
終わらない、この日常をジタバタ生きていくことのほうが恐ろしい」
ゴジラと云う異物が突如現れ、今まで確かなものとしてきた日常が、無慈悲に破壊し尽くしていく様は、観ていて実に悦楽的である。
今回のシンゴジラは、破壊神ゴジラの原点に立ち返った名作である。
(^<≡≡≡≡ ガオー ゴジラ!
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