「意味は自分で考えろ! by熊徹」バケモノの子 さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
意味は自分で考えろ! by熊徹
現在劇場公開中です。頑張ってふわっと書きます。
が、書きすぎるかも?あと、ちょいちょい上から目線になってます。すみません!
ジブリ制作部門解散により腕の良い作画描きさんが野に放たれたので、その生存確認をしてきました。
あの頃の、説教臭くなる前の、何かよからぬ使命を背負う前の、輝くジブリmeetsスネ-キーモンキー蛇拳&白鯨in渋谷です。
本作は単層ストーリーではなく、観客のEXPに応じてそれぞれに違った物語が展開する村上春樹メソッドです。
何もしらない物語の表面をなぞる幼い子供達にとっては、孤独な子供の成長&冒険活劇になり、そこそこ年齢を重ねてるけど、最近のなんでも説明してくれる優しい世の中に慣れ、ましてやネットで「ググれカスw」なんて言われたことがない、諸々と鈍ったオトナ子供が恥ずかしげもなく「説明が足りない。ワケ分かんない」と言っちゃったり、そうではない映画好きや小説好きでは違った地層に潜ることとなり、それぞれに違った世界が広がる仕掛けと企みを持った秀作です。
細田監督、なんだか階段を一段のぼった感があります(あ、上からすみません)
そして、ジャッキー・チェンの"スネーキーモンキー蛇拳"オマージュが随所に!
予備知識なく観に行ったので、思わず「え!聞いてないよ!」と身を乗り出しました。
あの怒鳴り合いながら師弟の絆を深めて行くところは、ドランクモンキー酔拳を彷彿とさせます。
ジャッキーの初期カンフー映画が大好きな私が、どれだけ鼻息を荒くしたか!
「熊徹の足跡の上をなぞって九太が技を習得していく様は、蛇拳のワンシーンと全く同じなんだよ!あと師弟が戦うシーンは……(ネタバレ自粛)」と、近くの子供に教えたかった(笑)!
あと熊徹は"白鯨"に出て来る、独自のルールで生きているクイークェグと被る。じゃぁ九太はイシュメルで、白鯨は……?
敵役の少年は、実際なりたかった物ではなく別の物に変身するが何でか?とかネット上に散見されますが、いや、白鯨読んだら、たぶん分かるですけどねぇ……。ネタバレになるので話せませんけど!
で、そんなオトナ子供が騒いでいて、賛否両論のようです。
だから、劇中で熊徹がこう言っています。
「意味は自分で考えろ!」
そういうことです。
リスクファクターがちゃんとしてる!(分からないことを承知で書きますが)ジャングル大帝の"ブブ"的メソッドです。
中島哲也監督も、見習って欲しいです(あ、上からすみません)。
ある種の観客の思考を先回り。いいです。
そういう分かんない観客弄りを、意図的にしれっとするとこ、好きです。
蛇拳とか白鯨、今までのジブリ作品を観た方であれば、また別の楽しみが生まれる筈なんです。
※白鯨を今更読めとは申しません。だって上巻はただの鯨蘊蓄ですし、もの凄く読むのが苦痛なんですもの。
冒頭の火花散る炎の幻想的な美しさ。これから始まるであろう、冒険活劇の予感を感じさせる音楽。そう!このムードはまさに1970年代の香港カンフー映画!※分かる方には分かって頂ける表現だと信じております。(笑)
渋谷の街並みも、渋天街に並ぶ食材も描き込んでますねー。
ラストのアレは、冒頭の炎の赤との対比で美しかった!
真っ直ぐなテーマも、そこに持っていくまでのストーリーも素晴らしい。
師匠と弟子、父と子、熱いアニメでした!
久々に良いアニメを観ました。
PS 主題歌のミスチルが不満です!
ミスチルが苦手だからってのもあるかも知れませんが、本作のテーマをネタバレし過ぎだと思う。無粋。