「亀仙人が如何に偉大な指導者かわかりました。」バケモノの子 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
亀仙人が如何に偉大な指導者かわかりました。
獣人が暮らす世界に迷い込んだ少年・蓮/九太の成長を描いたアクション&ファンタジー・アニメーション。
監督/原作/脚本は『時をかける少女』『サマーウォーズ』の、日本を代表するアニメ監督の細田守。
蓮/九太の師匠、熊徹の声を演じるのは『THE 有頂天ホテル』『渇き。』のレジェンド俳優、役所広司。
九太(幼少期)の声を演じるのは『ソラニン』『おおかみこどもの雨と雪』の、当時歴代最年少で大河ドラマの主演に抜擢された女優、宮崎あおい。
九太(青年期)の声を演じるのは、『おおかみこどもの雨と雪』『悪の教典』の染谷将太。
本作のヒロインである女子高生、楓の声を演じるのは『謝罪の王様』『海街diary』の、後に紅白の司会やルイ・ヴィトンのアンバサダーを務めることになる女優、広瀬すず。
九太のライバル的存在、一郎彦(青年期)の声を演じるのは『STEINS;GATE』シリーズやアニメ『東京喰種』シリーズの宮野真守。
九太の母の声を演じるのは『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』の麻生久美子。
一郎彦(幼少期)の声を演じるのは『おおかみこどもの雨と雪』『ソロモンの偽証』シリーズの名優、黒木華。
熊徹の友人である僧侶、百秋坊の声を演じるのは『モテキ』シリーズや『海街diary』のリリー・フランキー。
熊徹の友人、多々良の声を演じるのは『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』の、「TEAM NACS」のメンバー・大泉洋。
また、市役所の職員役で『花より男子』シリーズや『蛇にピアス』の小栗旬がカメオ出演している。
第39回 日本アカデミー賞において、最優秀アニメーション作品賞を受賞!
本作を観賞したことにより、遂に細田守監督の長編作品をコンプリートしました〜🎉👏
いや〜、本作も脚本が破綻している破綻している💦
最近はむしろこれがこの人の味なんだと思うようになっているので、まぁ気にはならないんですけどね。
物語は大詰め。そこで衝撃の事実が明らかになる。
😾「一郎彦の正体は人間だ!」
😱「な、なんだってー!?」
…とはならない。だって見た目完全に人間じゃない。
登場して1秒で分かったっつーの。
熊徹と敵対する猪王山の息子は人間で、そのことに本人が気づいていない=闇に取り込まれた一郎彦が九太と敵対する。
このくらいのこと、小学生でも気付くわけですよ。
もう少し物語に驚きや意外性が欲しい。
一郎彦に関しては、常に仮面を被っているとか、猪王山が幻術をかけていて周囲の人間には獣の顔に見えているとか、いくらでもやりようはあった筈。
こういうことを怠るのはただの怠慢でしょう。
そもそも、一郎彦の掘り下げが全く為されていないので、彼がラスボスです、と言われても全く納得出来ない。
あれでしょこれ?心の闇がどうこう言い出すイケメンがライバルで、しかも声が宮野真守って、つまり『キングダムハーツ』をやりたかったんでしょ?心の剣なんてまんまキーブレードだし。
残念ながら、九太と一郎彦の関係性が全く描けていない為、いきなり「おれがあいつであいつがおれで」とか言い始められても、ただの『KH』ごっこにしかなっていません。
掘り下げがされていないといえば、ヒロインの楓ちゃんもダメダメ🙅♂️
物語が1時間過ぎたあたりで登場し、20分程で九太とのイチャラブイベントをこなし終わってしまう。
いや、映画のヒロインって観客もその子のことを好きになってはじめて成立するものでしょう。
こんな薄っぺらいヒロインじゃ、同人誌も発売されんわ!
多分監督も彼女のことを好きじゃないんだろう。とりあえず恋愛イベントを発生させる為だけの、記号的キャラクターとして割り切っているのがこちら側にも伝わってきました。
たった20分ほどの登場でいきなり彼女ヅラされても、私納得出来ないわよっ!!😤
いや、本当に序盤は結構良いんです。
物語が薄っぺらいことは薄っぺらいけど、熊徹が『ONE PIECE』感の溢れる愛すべきダメ親父で、彼と九太、そしてその取り巻き達とのキャッキャッウフフ(๑・̑◡・̑๑)を観ているだけで結構満足出来た。
九太を育てることで熊徹も成長し、物語の終盤で遂にライバルである🐗と対決。
ダウンする熊徹に九太の応援が届き、最後の力を振り絞るという『紅の豚』的タイマンで決着〜!!!!
…これだけで、普通に良作になったんと違う?
しかし、ちょうど1時間を過ぎたあたりで、細田守監督の「俺ってこんなムツカシイ映画も作れるんやで〜😏」精神が溢れ出してしまう。
…いや、あなたにはそんなムツカシイ映画は作れませんから💦
ちゃんとした脚本家を雇ってからそういうことはして下さいよ〜😣
ここから映画は怒涛の詰め込みをみせる。
ヒロインとの出会いから勉強への目覚め、大学進学という目標の発見、実の父親との邂逅、一郎彦との対立、己の闇への恐れ、一郎彦のハートレス化、熊徹が付喪神になる、心の剣で闇鯨を撃破。
…これを1時間でこなそうなんて、出来るわけないだろ!?
心の闇を心の穴で吸収する?
神へ昇格する権利は他人に譲渡出来る?
人間界とバケモノ界は繋がっており、人間界への被害はバケモノ界にも影響がある?
んー、なんか知らん設定がドバドバ出て来たけど、何話か見逃したのかしら?
詰め込み過ぎているせいで、ドラマがダイジェスト化してしまっていてまるで飲み込めない。
熊徹が剣になる展開なんて、もっと涙を誘ってもよさそうなものなんだけど。
結局のところ、あれもしたいこれもしたいもっとしたいもっともっとしたい精神が悪い方に働いてしまい、一つ一つの要素が薄っぺらくなってしまったのが問題だと思う。
親子の絆に焦点を絞るのであれば、前半1時間の感じのままラストまで突っ走れば良かったのだろうし、九太の葛藤やら心の闇やらを描きたいのであれば、前半の展開を丸々カットして、後半1時間の展開を膨らませれば良かったのだろう。
いっそのこと楓を主人公に据え、渋天街に迷いこんだ彼女が九太や一郎彦と出会い、微妙な三角関係を形成しながらも九太の進むべき道を指し示していく、という物語にしてしまえば結構面白い映画になったような気がする。
超豪華なアニメーター(田中敦子さん、大塚伸治さん、高坂希太郎さん、賀川愛さんといったジブリ組から井上俊之さんや小池健さんまで!)が揃っているので、アニメーションのクオリティは超一級。
アクションシーンも多いので、普通に楽しい映画ではあるのだが、それだけにお話の破綻具合が勿体無いなぁ…。
本作を観賞して一番に感じたこと。
武術だけでなくお勉強の重要性まで教えてくれた亀仙人のじっちゃんは最高の師匠や〜🐢
📖「うふん くすぐったい だめよ もうすぐままが かえってくるんだから と まーがれっとは いったのだが ぼぶは ごういんに」