劇場公開日 2015年7月11日

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「ストーリーの つじつまが許せるくらい、 与えてくれるものが大きい。」バケモノの子 年間100本を劇場で観るシネオさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ストーリーの つじつまが許せるくらい、 与えてくれるものが大きい。

2015年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

とにかく

これはおとぎ話で、

ファンタジー映画。

サマーウォーズのストーリーが

秀悦だったために、

がっかりする人も多いかもしれない。

けどガチガチのストーリーもいいけど、

想像力をはたらかせながら観るのも、

楽しみのひとつ。

何より、

ストーリーのつじつまが許せるくらい、

与えてくれるものが大きい。

メッセージがちりばめられていて、

監督のアプローチがよく計算されている。

おのおののキャラがよく体現している。

だから世代によっていろんな

感じかたが出来るんだろうな。

子どもたちは、空想の夢物語で充分楽しい。

けどパラレルワールドをメタファにして

現実が浮き彫りにされるから、

学生は思春期に押し寄せてくる心の闇や、

自分は何者なのかという不安に対して

勇気をもらえる。

その全てを背負ってきたオトナにも、

家族の絆や思いやりの大切さを

を再認識できる。

僕は2児の父親なので、感銘的だった。

子どもに支えられてきたんだろうなぁと、

こみあげてきた。

友達同士や親子で、

感じたことを語り合えるんじゃないかな。

声はよかった。

役所広司さん、宮崎あおいさん、

染谷将太さん、広瀬すずさん。

よくここまで集めたね。

それだけでも、楽しめる。

特にリリーフランキーさんは、

さすがの存在感だ。

アニメーションのグラフィックスや

エレメントも素晴らしい。

気持ちのいい空と、

都会のクールさがよく対比していた。

シブヤのディテールは

かなり綿密に取材したんだろうな。

温かいバケモノ世界と、孤独の群集のシブヤ。

対比の描きが上手だから、

バケモノ界よりも、

圧倒的に人間界の方が怖かったなぁ。

クライマックスの、

シブヤでのダイナミックな戦闘シーンも、

クラフトのクオリティは高く、

見入ってしまった。

ハリウッドでも、ウケそう。

どの世代も自分ごとにできて、

観た後は少し強くなれる。

夏休みにふさわしい、

上質なアニメだと思うよ。

年間100本を劇場で観るシネオ