「その決断、それは何に繋がるのだろうか?」アメリカン・ドリーマー 理想の代償 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
その決断、それは何に繋がるのだろうか?
ハリウッド映画的なことを期待すると肩透かしです。
観客を喜ばせるような派手な演出ではないけれど、見応えあります。
豪邸は出てきますが、いかにもハリウッド的な華やかなセレブ描写を期待すると、あまりにも地道すぎて物足りないです。でも危険度はこんな感じなんだろうな。
アクション場面もあり、結構迫力あって、ハリウッドアクションを見過ぎたせいか、勝手に展開予想してハラハラドキドキ。とはいえハリウッドアクションを期待すると物足りません。
サスペンス要素も予告では煽ってくるけど、きわめて現実に近い落とし所です。
予告で煽っている「最後の一手」を「倍返し!!!」みたいなものと期待すると肩透かしです。
障害物だらけの綱渡りを全力疾走している感じ。(驚かす為の驚かしではない)緊迫感はずっと続く。
あくまで社会派ドラマ。
誠実さを守り通して、ビジネスでのし上がろうとする男とその妻の、金策約30日間の物語。そこに色々な魔の手が降りかかる。そのさまざまに向き合い、乗り越えようとする男の生き方・その妻の生き方に焦点を合わせた物語。
だから、なんらかのビジネス、特に大小関わらず一城の主を経験した人なら、我がごとのように感情移入できるのではないでしょうか。
銃で身を守ると言うことについても考えさせてくれます。
清濁合わせもつと言うけれど…この先、権力欲、強欲に取りつかれた人々に取り囲まれて、この夫婦がどのようになっていくのか気になります。(映画は終わっても、人生は続く)
人生の方向性を考えたい時に、また観たい映画です。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アイザック氏。『ギリシャの消えた嘘』と言い、この映画と言い、渋めのさりげない良い作品の中で、記憶に残る役者だと思っていました。そうしたら、この映画の翌年『スターウォーズ』でブレイク。作品の傾向が違いすぎて驚きました。
チャスティンさん。『ヘルプ』『欲望のバージニア』『オデッセイ』『女神の見えざる手』と、演じる度に違う女性を見せてくれる。出演される映画も幅広く、そのチョイスが好き。
ブレイクした大作の陰に隠れた名作小品を見つけたような気分です。
オンライン試写会で鑑賞。素敵な作品に出会わせて下さいましてありがとうございました。