皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇のレビュー・感想・評価
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知れば知る程社会として破綻してないか?
まるで景色が異なるテキサス州との国境フアレス。 死体がバンバン出てくる、頭を撃たれた子供、16体にバラバラにされタンクに詰められる、またそれらの情報が30分毎に次々と更新されるサイトも存在する。 形だけの捜査で深追いはしない結果97%は未解決という驚愕の警察。 メキシコの現状を取材して生の言葉を歌にして大人気の歌手(ナルココリード)。 地元の子供には何にもしてくれない警察より憧れられてる麻薬ギャング。 街並みのように建ち並ぶ新興墓地。 TBSクレイジージャーニーのメキシコ編もあわせて見ると現状での街の勢力図や闇の深さがより立体的になった。 関係のない市民が巻き込まれて死んでしまう戦場になってしまってるのは本当に悲惨。
地獄の沙汰も金次第とはこの事
2015/09/03、シネマ・ジャック&ベティで鑑賞。 なにこの異常さ、絶望しか無い。法も秩序も崩壊して価値観が逆転してしまうと人殺しも英雄になってしまう。 普通犯罪者とか悪者は顔を隠すものだ。しかしこのメキシコの街では警官がマスクをして仕事をしなきゃならない。警官といえど身バレすると簡単に殺されてしまうから。 ギャングを讃えた曲はヒットチャートの上位に上がり、その歌手は豪勢な暮らしをしている。女も子供もギャングに憧れている。もう我々とは全く違う秩序が形成されてしまっているかのようだ。 同じように無秩序状態というとイラクのISISもそうなんだけど、メキシコの麻薬組織の方は結構支持している人も多いようなんだよね。何が違うんだろう?羽振りの良さじゃないだろうか?悪いことして金持ってて贅沢しててカッコイイって感じか? 人殺しの多さよりも、そんな理由でギャングを支持してしまう民衆にショックを受けたね。どけんかせんといかんでしょ、これは。
怖くないことの怖さが現実社会にはあるのよ
死を招く麻薬カルテルのサグライフがエンタメになっていて、そのエンタメが人々の生活に根ざしているという構造と腐敗しきったメキシコ社会の現実が恐ろしいのだが、全然暗さがない。 てか、それはそれで怖いよ〜
中だるみしたので、星4つ!
公開前から期待していた映画! 江頭2:50も「絶対に映画館で観ろ!」とお勧めする程。 まず画がカッコいい! シルエット使いが上手いし、色もよく出てる。 監督が戦場カメラマンらしいから、ビデオカメラではなく恐らく一眼レフで撮ってるんだろう。 そして何よりも、衝撃的なメキシコ・フアレスの真実。重い…。目を背けたり疑う様なシーンが満載。 個人的にPR映像で期待した際は裏切られる時の方が多いけど、コレは裏切らなかった! ただし内容にあまり変化がなく、いかに悲惨な状況であるのかにスポットが当たり、政府側の意見やマフィア側の人間の人間性をもう少し掘り下げるべきだったと思う。 中盤で少し中だるみして寝そうになったので、星4つです。 映画館で観る価値のある映画だった。
メキシコ麻薬戦争
6年間で12万人も亡くなったというメキシコ麻薬戦争。
その凄惨さ、カルテルの暴力性が描かれており、巻き込まれていく人々の悲哀、悲劇が胸に残る作品でした。
主に警察官と、ナルココリードのミュージシャンに密着し作品は進みます。
主な舞台は、
メキシコとアメリカの国境フアレス。
警察官の目から見たフアレスの街。
日々相次ぐ殺人。死んでいく同僚。不安がる家族。よくならない治安。
97%の事件は操作がされないという事実。
方や、作曲家としてのメキシコ。
人々に受け入れる悪党賛美のナルココリード。良い曲の為にカルテル賛美の曲を作り時代の波に乗る人。それを支持する人。
結局は対岸の火事としか思わない人々。
これらが現場の人の目線で描かれており、本とは違ったリアリティを感じました。
ただ、欲を言えば政府サイドの意見や対応。メキシコは?、アメリカは?。
そうした取り締まる側の目線や掘り下げがもう少し欲しかったですね。
メキシコ麻薬戦争とはなんであるのか。
その一端を、映像として見せてくれているのだと感じました。
かなりグロテスクなシーンもあり
その点は注意。
よくぞこのドキュメンタリーを作成した。
この映画を見て、ここに映る映像は全てがリアルだと言うこと。麻薬に携わるもの達のすざまじいリアルをまざまざと見せつけられた。 全く優しくない現実がこのメキシコの町で日常的に起こっている。日本では、全く感じることのないことかもしれないが、出口のない地獄を感じた。 反体制にあこがれる若者は、世界中にいるといえばいるのだけれど、メキシコの全ての若者がギャングにあこがれているのではないと思いますが、やはり、彼らの幸せは、金 権力 女なんだろうか。 自分達の都合の悪い人を次々と殺してゆく。これを文化と言われてしまうと残念で仕方ない。 あらためて、音楽は力があるのだと、このギャング達を賛美する歌がナルココリードだと。これが、LAを中心にヒットしているのだと。みんなこれを対岸の火事にしか見れてないんだろうか。または、フィクションだと感じてるんだろうか。理解は難しいが、一つのファッションみたいに感じてるんだろうか。 最後に多数の犠牲になったメキシコ人にお悔やみ申し上げます。 Siento mucho terror ,al ver la película de México . Ojalá que México esté cada día mejor !! (>_<)
『ナルド』なるほど
時代即誤も甚だしいっていう考えは日本に住んでいるからの発想なんだと思い知らされる暴風な日の鑑賞でした。 陽気な曲調と好戦的な詞の内容のギャップそのものがこの映画の主題を表現している。 まるで地獄と天国の境がこの世にあるとすれば、それはこのアメリカとメキシコの国境のことなのだろう。 多分、この戦争はずっと終わらない。もし終わるとすればそれは外圧でしか解決しない。 絶望と諦観、この世の縮図がここにある。 個人的にはもっと救われないカットが欲しかった。
絶望に酔う。
今年新作映画で初の五つ星。 圧倒的な暴力、力が支配する社会、メキシコ。 国境の向こう側・アメリカのヒスパニック社会では、(メキシコと比べて)安全な立ち位置から、メキシコのシンジケートを称賛する歌が生まれ、もてはやされ、国境を越えてメキシコへ…。 薬、金、暴力。人間の生理的な欲望に蓋をすることは難しい。救いなんて全く見出せない、絶望的な気分になるけど、絶望だけが真実なのもまた真なり。
最悪のリアルだ
メキシコでは、昨年秋に、麻薬組織と癒着した警察が40人以上の大学生を拉致し殺害した事件が記憶に新しい。 映画の舞台は、国境を挟んでテキサスのエル・パソと接するフアレスの町。麻薬戦争の舞台だ。年間3000件の殺人事件が起こり、ほとんどが立件もされないこの無法地帯の警官リチ。メキシコの麻薬ギャングの武勇伝をスペイン語で歌い北中米で若者の熱狂的な支持を受けるナルコ・コリードと呼ばれる音楽をLAを拠点に演奏する歌手のエドガー。この映画は、二人を追ったドキュメンタリー。描かれるのは、違法化し地下に潜った現代の植民地経済が産み出す狂った地獄のパーティーだ。メキシコの麻薬経済の規模は年間400億米ドルとも言われ、本当ならば石油の純輸出額を上回る。消費地はほとんどが米国。金と武器が米国からメキシコへなだれ込み、表と裏の権力関係を破壊し、統治を有名無実化する。そして、麻薬王の暴力と成り上がりの物語がメロディーに乗って退屈な世界にばら撒かれるのだ。
これは真実なのか?
メキシコで殺人事件が多いことは、ニュースを通じて知っていましたが、この作品を観て愕然としました。 真実というには信じがたい日常。 恐ろしい、ただひたすら恐ろしい。 この恐ろしさがロシアンルーレットの様に回ってくる死に対する本能なのか、それとも狂った社会で本能をおし殺してただ生きる屍になることなのか、「正義」の圧倒的な無力さからなのか、自分の中で消化しきれません。
メキシコでは、2006年に麻薬縄張り戦争が勃発、以降死者は12万人...
メキシコでは、2006年に麻薬縄張り戦争が勃発、以降死者は12万人とも言い、世界で最も危険な街と言われる国境の町シウダー・フアレスでは連日のように起きる殺人に怯えて暮らしている。映画を見ただけでは警察は死体を回収し、解剖して死因を特定し、証拠品を倉庫に入れるだけのようだ。97%は未解決だというメチャクチャさ。なにしろ少しでも正義感があるとマフィアに睨まれたらあの世行きなのだから仕方ないとも言える。その警官の堕落を追及する気にもなれない。 そういうギャングを英雄視する若者たちは多く、ナルコ・コリードというジャンルの歌で賛美されている。旋律はなんとも物悲しく美しいが、内容はギャングの個人的賛美歌、テーマソング。どれほど度胸のある無法者なのかを歌うもの。メキシコ国内では放送禁止発売禁止らしいが、アメリカでは結構売れているし、メキシコでもライブハウスなどでかなりの人気があるようだ。 なんとなく浪花節、河内音頭や講談まで連想させるし、実際義賊として伝説化されている者もいる。麻薬の売り先は主にアメリカ、武器や金は全て米国からやってくる。殺し殺されるのはメキシコ人。これもグローバルな格差だろうか。もちろんアメリカの底辺でも麻薬の周辺で殺し殺され合わされる人びともいるだろうが‥‥‥。ところで日本でも格差が拡大して固定化しつつあるというが、ヤケクソになってギャングになったという話はあんまり聞かないが、どうなんだろうか?
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