怒りのレビュー・感想・評価
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重いけど
冒頭からしてだから、当然ではあるんだけど、登場人物皆の背景が当然ではあるんだけど、いちいち重いです。
きれいごとではなく現実を突きつけられる。
救いようがない気持ちになりながらも、ラストでは号泣していました。何というか単純な涙ではないです。
ですが、深いところから揺さぶられた上での感動だったと思います。
「悪人」観たときもそうでしたが、真っ暗な中にさす一筋の光
今回も私はそれを最後に感じたので、いい映画だったと思いました。自分は基本ポジティブでないと辛いので。
苦しかったけど観終わって不思議と爽やかなんですよね。
人は汚くて弱くて、一方ででも強くて優しくて。
だからとにかく許すことの大切さを感じました。
信じれる一筋の光があるならば、人はそこに向かっての道を歩いていけるのかな…
とてもまとまった映画であると思います。
基礎工事がいい加減な映画は破綻する。
原作者は「怒」という文字を最初と最後に据えて、作品に統一感を与えようとしたのでしょうが、その「怒」の一文字が何に対する「怒」であるのかが、最後まで不明でした。まさか、沖縄の米軍基地に対する「怒」ではないでしょう。私は原作を読んでいないので詳しくは判りかねるのですが、冒頭で、何故、女性が殺され、何故、「怒」の一文字が壁に殴り書きされていたのか、未だに判りません。原作者の単なる思い付きのような気がしてなりません。単なる思い付きに尾鰭が付いて出来上がったのが、この原作のような気がします。
不満はまだあります。登場人物のほぼ全員が何かしらの、重い宿命を背負っているのです。原作者の安っぽい作為を感じます。同性愛に発達障害に借金苦に暴行・・・。ひとつひとつの人物造形に手間をかけるのが面倒くさかったのか、登場人物は不自然なまでに過剰な重荷を背負わされています。ここまで、不幸が連鎖していくと、ちょっと、浮世離れした印象を受け、私は白けました。
また、終盤、宮﨑あおいと広瀬すずが何故か絶叫するのですが、あの場面で、何故、絶叫するのかが、皆目、判りませんでした。ただ、うるさいだけで、蛇足のような気がしました。
うるさいのは絶叫だけではなく、坂本龍一の音楽も大仰で、場内のスピーカーが壊れんばかりの音をがなり立てていました。この種の音楽ははっきり云って、不要でしょう。
全てにおいて、過剰なインフレーションを起こしている駄作、役者の熱演が空回りしているだけの作品、少なくとも私には、そのようにしか思えませんでした。
作劇術に関心のある人には格好のテキストになるでしょう。勿論、反面教師的テキストとして。
色々生々しいけど
超暗い気持ち
誰に対しての「怒り」なのか、考えながら観ていました。自分に対して、家族に対して、恋人に対して、友達に対して、赤の他人に対して。
沖縄の人たちは基地に対して、社会に対して怒りがあったと思うし、
アイコのお父さんは昇華できない怒りを自分に向けることで他の感情と折り合いをつけているように見えたけど、それって本当はアイコに対しての怒りでもあったと思うし、、、
だけどどれも結局、どうしようもない。誰も怒りを晴らしてくれない。むかつくやつを殺しても怒りは収まらない。だって、死ぬほど嫌な気持ちになる怒りって、もっと色んな感情が絡まっている。そういう怒りがここでは描かれているようでした。
苦しいとか、辛いとか、悲しいとか、そういう気持ちも全部が怒りになるんだ、というのがぼんやり自分の中に思い出されたのは、事件の犯人と動機がわかったとき。
犯人は軽蔑されるべき人間だけど、その怒りは、本当はみんなの怒りと同じ色をしているような、もともとは同じものだったような、いやむしろ正反対であるような、犯人の持つ陳腐な怒りと対照的であるような、そういう、どの怒りも矛先が曖昧で、宙に浮いている、というイメージの総括として事件が着地していて、よかったです。あの事件の動機にストーリー性があっては、映画の方向性が変わってしまうので………
そうして人と人が擦れ合って怒りが生まれ、でもそれは相手を信頼していた証拠で、信頼するから裏切られて、信頼するから傷つくのだけど、それでも信頼するのがやめられない、
特にそう思わせる結末になった、ふたりのゲイの恋物語で最後締めてくれたのが、少し救われたような気持ちになりました。
親子の話、恋人の話、友達の話と3種類あったけど、どれも共感しにくい設定とシチュエーションの中、誰もが見覚えのある感情や感覚を呼び起こされたのは、俳優陣の、眼差しや声にまで渡る上質で繊細な演技の素晴らしさにあったと思います。
さて、しかし妻夫木くんと綾野剛くんの濃厚ラブシーンは見ものです。もう一回見ちゃおっと。
カップルで来ている人の、このあとのデートの雰囲気が心配になるような、暗くて重くてちょっと引きずる映画でした。素晴らしいです。
怒りの方向。
全員主役級のキャストの中、一番難しい演技を強いられたのは
前宣伝どおり広瀬すずだった。ベテラン勢の中でよく頑張った
と思うし、同級生役の佐久本宝も重要な役どころをよく演じた。
それぞれのパートに分けられた三部構成が要所要所で切り替り、
ほぼ同時進行で話は進む。若干観辛いかもしれないが緊張感は
増し、噎せ返る殺人現場から爽快な青空へ景色も次々と変わる。
観終えて思うのはタイトルの二文字なのだが、犯人の怒りより
各々が抱えた怒りの度合いの方が強い。愛した人を信じきれる
かというテーマだが、そりゃ殺人犯に酷似していれば、夫婦で
あっても親子であっても(信じたくないが)疑ってしまうものだ。
まして素性を明かさなければ疑われても仕方ないわけで、その
危うい条件の中で一体どれだけの人が相手を信じきれるだろう。
しかし本当の愛とは、何が起ころうとその人を守ることなのだ
といわれているような内容だから観客の居心地は悪くなる一方、
それぞれに考えさせる巧い手法だと思う。とはいえ、普通の顔
をした、いかにも普通の人間が突然ブチ切れて刃物を振り回す
ような事件が多発する昨今だからもっと考えなければならない。
善意を親切と受け取らず、欲求を満たすために平気で人を襲う
者がこれ以上増えていいのだろうか。怒りはそこに向けないと。
(沖縄の暴行事件の実態が描写されてゾッとした。怒りそのもの)
役者さんが素晴らしい
まず最初に、「俺の広瀬すずになんてことさせるんだーーー!!!」と言いたい。もう、CMとかみても、「可愛くてまだ女優のたまごなすずちゃん」に見えなくなってしまった。
あんなに、可愛くてピュアイメージなのに、レイプシーンさせるなんて!
しかも、リアルすぎてきつい。叫び声とかカメラワークとかがリアルさを追求してて、もう、つらい。
「海街diary」では可愛いなあ位にしか思ってなかったけど、すごい女優さんだと思い知らされた。
それにしてもよく事務所もこんなシーンOKしたなあ、なんてことも思ってしまう笑
宮崎あおいが風俗嬢ってのも意外すぎるし、渡辺謙も腹出過ぎでやばいし、綾野剛も首のエロさがはんぱないし、妻夫木くんもザ・ゲイ感、そしてあやしすぎるマツケンと、森山未来。
役者さんがみんな自分のキャラクターを余すことなく演じきってる印象がとてもよかった。
最後にたくやくんが田中の住処に来たシーンは、とにかく怖くて、たくやくん逃げて!逃げて!早く!出口は…そこしかない!やばい殺される!ああぁあぁ!、と震えた。
森山未来はさすがで、殺すのか?と見せかけて抱きしめたり、逆立ちしながら「頭に血がのぼってないとだめなんだよねー」のセリフなど狂気の演技が最強。そしてそれを受ける佐久本さん(たくや)もより恐怖を体現していて、すばらしい!
ただ難をつけるとすれば、ストーリーにまとまりが足りないこと。
3つの別々に起きてる話を1つの映画でまとめるからそりゃ難しいとは思うけど、もう少しまとまりが欲しかったと個人的には思う。特に終盤の落ちのつけかた。広瀬すずがなんか叫んで終わるってちょっと安易じゃないかなあ。
同じ監督でも「悪人」は1つのストーリーだからシンプルでまとまってて好きだったんだけど。
あと犯人は森山未来って結構すぐわかってしまうのが残念。犯行のシーンときのシルエットでだいぶわかってしまってた。
それでも、何もできない自分、信じられなかった自分への怒りや、被害者としての怒り、見下された怒り、それらを消化できず人を傷つけてしまう衝動としての怒り、色々見せられた。
見終えた後、すっきりはしないけど、よかったねと思える部分、思えない部分あり、ちょうどいいのではないか。
しっとりとした上質なサスペンス
PV、冒頭の凄惨なシーンやタイトルからは想像もつかないものすごく丁寧なサスペンス。異なる3つの場面でじっくりじっくり疑心を育て、待っている結末はどれも心揺さぶられるもの。つまり、すっきりした気分で映画館を後にできないので、カタルシスを求める人にはお勧めできない。
場面が3つもあるのでなかなか感想を書きにくい…。どれがよかったなんて考えるわけにもいかない。なぜなら3つともすべて味わいが全く違うからだ。
犯人候補の不気味さはどの場面でも雰囲気に現れている。それでもドジなところや生真面目なところがあって、人間臭さがある。だから最後まで犯人が誰か確信を持てない。そして犯人でなかった人への憐れみやその周りの後悔の念が心に突き刺さる。
うーん、どれもオチですべての決着をつける展開なので、ネタバレ防止機能があったとしても内容については書きたくない。ただ、どの場面も面白いし、PVで出てきた叫びや泣きもすべてに感情移入できる。ただ泣いたり怒ったりしているわけではないのだ。それがタイトルの怒り。
PVを観て「まーた泣いたり叫んだりして盛り上げるタイプの邦画かー」なんて思っている人には観てほしい。
なるほど!
妻夫木と綾野最高
これはミステリー?
傷を抱え生きていくことの難しさ
前半はさまざまな人たちが抱える人には言えないような苦悩や秘密を現在の日本が誇る名俳優たちが演じ見ている人を引きこんでいきます。
中盤に起きる広瀬すずが米兵たちに犯される場面ではあまりにも可哀想で一気に映画館内が張り詰めた空気になりました。
そして謎の男たちの素性が明らかになっていく後半ですが少し無理のある展開があるものの愛する人でも疑いだしたら全てが怪しく見えてしまう怖さと何かおかしいと思いながらも自分の弱さから他人を信じてしまう怖さをうまく表現できていると思います。
市橋逃亡劇や世田谷一家殺害事件など実際に起きた事件の要素が散りばめられ実録もののような側面もあり2時間を超える映画ですが興味深く見れます。
怖い
最初の印象は怖いという感じ。山神の狂気たるや、恐怖しか感じなかった。そして、愛するのことの難しさを如実に表していた。怒という漢字の意味は明らかにはされていませんでしたが、色々な考えが浮かぶ結末だったと思います。山神を殺した学生の結末が気になります。
絶望と諦め以外に選択肢がないことの重さ
【2016.10.8追記】
泉ちゃんのこれからのことを前回レビュー以降も考え続けてしまいました。
失った人や時間や後悔を100パーセント取り戻す事は出来ないけれど、かたちを変えて快復していくことはできるのかもしれません。
槙親娘はこれからの共同生活のなかで、優馬くんはこれから出会う人との関係性のなかで、今度は信頼仕切ってみようとまえを向く術はある。辰哉くんも、刑に服する(罪を贖う)ことで、なすべきことがそれなりに見えてくる。
ところが泉ちゃんだけは、なにも出来ないし、選択も出来ない。もし、被害を公にして闘おうとしても、日米地位協定等国家レベルのシステムが大きく立ちはだかる。秘密を共有する辰哉くんとはおそらく『さよなら渓谷』よりも難しい関係で、支えてくれる存在にはなり得ない。あの日、逃げることの出来ない恐怖の中で受けた心と身体の傷は自分一人で抱え続けて行くしかない。
泉ちゃんにとって選択肢は『絶望すること』と『あきらめること』のみ。泉ちゃんの咆哮が、『深くて重い』理由のひとつかもしれないと思いました。そして、現実の世界にも、そのような状況(決して犯罪被害者だけではない)の人びとがたくさんいるということに、もっと想像力を働かさなくてはいけないのだということにも気付かされました。
【以下、前回レビュー】
世の中には理不尽で邪悪なこと、もの、人が存在する。多くの人々は、幸いにもそんなことに巻き込まれることなく日常生活が送れているが、もし、自分もしくは家族や近しい人が巻き込まれたら?
そんな想像もしたくない、けれども誰にも、何時でも、起こり得るということを容赦なく突き付けてくる凄まじい映画。
これから始まる辰哉くんの裁判で、泉ちゃんがもし、あの事実を証言したら彼の罪は軽減される。けれど辰哉くんは、何もできなかった贖罪の気持ちからそれを拒むのはわかっている。証言するかしないかは泉ちゃんの決断次第。そもそも田中さんに声かけて遅い時間まで飲むことになったのは自分のせいだし、などとあれこれ考え葛藤すると、被害者だった泉ちゃんさえも負い目を感じて自分を責めることになるかも知れない。優馬くんも槙親娘も皆、自分に怒り(強烈な自己嫌悪)をぶつけるしか無い状況で慟哭する。
そんな中、唯一、怒りを外(他人)にぶつけた者だけが、邪悪な存在(加害者)となっている?
卑近な話で恐縮ですが、組織におけるパワハラ(いわば、身近にいそうな邪悪なひとの例です)の加害者も自分のことは差し置いて(内省することなく)弱い他人に攻撃するタイプが多いような気がします。
本作で描かれたように、取り返しが付かないことになって初めて、何か出来ることがあったかもしれない、と思うことは現実にはたくさんあるし、解決出来ないことの方が圧倒的に多い。自分が出来ることは、せめて、邪悪な側(たとえば、パワハラ上司の顔色を伺っているうちに、自分も弱い立場の人にとっては邪悪なイジメる側に安住してしまうようなこと)にならないようにすることだけかも、と思い知らされました。それと同時に、もし自分が自分でコントロール出来ないような怒りに駆られたら、簡単にヤマガミになり得るのだという恐ろしい現実も認識させられました。でも、そう思うことにこそ希望もあるのかもしれません。そう思わないと、なかなか立ち直れないほどの衝撃でした。
最後の泉ちゃんの咆哮は、ある意味、東京駅でのシンゴジラよりも深くて重く、少なくとも、これでひと段落ではないと思いました。
篤姫・あおいさんのインセプション・ワタナベさんを圧倒する渾身の演技、悪人・妻夫木さんがロクヨン・浩市さん以上にみせる慟哭、海街・すずちゃんの体当たりの、という月並みな表現を超える出し切り感のある演技‥‥これだけでも五つ星でした。
表すことのできない感情
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