劇場公開日 2015年9月19日

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「実写版見た後での鑑賞で超マイナス評価でのスタートだったが・・・」心が叫びたがってるんだ。(2015) mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0実写版見た後での鑑賞で超マイナス評価でのスタートだったが・・・

2024年1月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

楽しい

幸せ

アニメ版より評価の高かった実写版を見てからの鑑賞だった。実写版はなんかラストの感動ありきから、まるで設定された感動スポットを遡るだけのあざとい作品に見えて個人的にはどうしても入り込めなかった。その印象でのこのアニメ・・はじめは斜に構えての鑑賞スタートだったが・・・。ところがである、目が覚めるような秩父の風景がまるでこの世に存在しない常世の様な美しさと、単なる美しいだけでなくその画角、アングルの妙、更にはその風景が見事なカメラワークからのズームインにズームアウトを繰り返し、どんどんと視聴するものの目を引きずり回し始める。さらにはそこに佇むキャラクター達。実写で見て、設定も性格もすべてわかっているはずのアニメキャラたちの存在感の凄さ、その演出の妙、更にはやはりその表情を追うカメラワーク・・・。しかも出てくるキャラは一人二人ではない。多くの青春群像たちがひとりひとり明確な設定の下、命を吹き込まれており、驚くべきはその個々のキャラたちが極めて繊細な、かつ丁寧に設定されたシナリオの下、ちょっとでもズレたら興ざめになりかねない危うさを持ちながら、織りなすタピスリーのように物語が進行する。当然実写版で大筋のシナリオは理解していたにも拘らず、微に入り細に渡り生き生きと立ち回り、そのアニマは大きなうねりとなって最後の大団円へと観るものを誘う。まるで名指揮者と才能豊かな演奏者が一体となって上り詰めるオーケストラの演奏のように・・・。気が付いた時には見る者はもはや自分の意思ではコントリール出来ないほどの細やかな織物の中に編み込まれ、大号泣の果てに壮大のテーマを自らの中の問題へと取り込まされていく。このアニメの背景にまさに実録🎦ハケンアニメ!の姿を見た。出来上がった作品の凄さのみならずそれを作り上げた作画、キャラ設定、キャラ動画、背景、脚本、音楽。色彩設定、CGなどの各パートを司る人間たちの本気度と繊細さ、これを一つに纏め上げた監督、長井龍雪の凄さはもっと評価されて良い。さらに驚くべきはキャラデザインの田中将賀。80年代日本のアニメキャラの典型ともいえる所謂、萌少女キャラそのものとも言える主人公・成瀬順に見事に命を吹き込んでいる。逆に言えばアニメでしか存在できない様なキャラを実写で演じた芳根京子は偉かったとも言える。とにかく原作を持たないオリジナルストーリーでの日本の劇場アニメが興行収入10億を突破した実績はジブリ系以外では細田と大友、井上位しかいない。この事実もこの映画の凄さに完全に観客が取り込まれた証でもあろう。コケにした様で恐縮だが実写版も感動の名作に仕上がっている。実写の出来が悪いのではなく、このアニメが凄いだけなのだ。出来得ることなら実写を見てからこのアニメ作品を見て頂くとこのアニメ作品の凄さがひと際際立つ。名作であり傑作である。惑うことなく断言できるお薦めの一本である。アニメは最後の最後まで見て欲しい・・アニメを楽しんで作るスタッフの姿を垣間見れます。アニメに興味ある人なら思わずクスって笑うはず・・・もちろんネタバレっとは無縁のワンカットですww。

mark108hello