「「次は自分のために頑張れや」」みんなの学校 こごみさんの映画レビュー(感想・評価)
「次は自分のために頑張れや」
『みんなの学校』ふつうの子も、特別支援の対象となる子も、自分の気持ちをコントロールできない子も、みんな同じ教室で学ぶ、大阪市立南住吉大空小学校を一年に渡って追ったドキュメンタリー。
大空小学校では一人ひとりが能力に応じて大切にされる。担任だけではなく、教師、 アシスタントティーチャー、ボランティア、パトレンジャー、大人達が情報共有しながら関わり、大人も、教室の子ども達も成長する。クラスメートは、反抗して反対言葉を使う子のことを、いち早く見抜き手を差し伸べる。
木村泰子校長は子どもと向き合い、受容する。たったひとつの約束「自分がされれて嫌なことはしない、言わない」を侵した時、子どもは(時には教師さえも)やり直しをしに校長室を訪れる。子どもを支える輪が教室から地域に広がっていく。地域に開かれた大空小学校には、今の社会に足りないものがある。
今まで受け容れられないできた経験や家庭環境から通学に集中できなかった子が、遂に小学校卒業を迎える。遅刻したり、暴力を振るったり、その都度子どもに向き合ってきた木村校長が彼にかけた言葉は「次は自分のために頑張りや」だった。
どうしても見たかったこの映画を、幼い頃から知っているひとりの少年の事を思いながら観た。もし彼にこのような出会いがあれば、受け止めてくれる居場所があったなら。せめてこれからの人生で心が安らぐ生き方ができれば。映画そのものへの感動とは別に、涙が止まらなかった。
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