女神は二度微笑むのレビュー・感想・評価
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ヴィディヤ役の浅黒い肌にスラッとした顔立ちに心を奪われた
この映画で面白かったのは以下の3つ。
ひとつめは、「ヴィディヤ役が美しかった」。
浅黒い肌にスラッとした顔立ちに心を奪われた。
「子供の心をつかむのが上手いな」ラナも言ってたけど、子供の前で見せるヴィディヤの笑顔がステキ。お姉さん、と慕ってくれる弟分の前ではまるで自分の子供かのように接する。自分の子を無くしてるから、その分他人の子に愛情をそそぎたくなったのかな。もしヴィディヤの子が生まれてたら、ヴィディヤは子想いの優しい母親になってただろう。
正直インドに美女のイメージが無かった(インドの方すみません)ので驚きだ。インドに行って美女に囲まれたい、囲んでください。
ふたつは、「ヴィディヤが貧困の生活に慣れていくこと」。
都会暮らしで裕福な生活をしているヴィディヤが、インドの貧困を体験しても嫌な顔しないのが嬉しかった。もし貧困を見下してたら、いくら美人でもヴィディヤを嫌いになってただろう。
ヴィディヤはインドに来て貧しい生活に触れる。お湯が出ない水道、手書きの宿泊帳、路地裏の死体。「今時手書き?PCは無いの」と民宿でヴィディヤが指摘したり、路地裏の死体の臭いでゲロったり、ヴィディヤはかなり驚いた様子。インドってそんな遅れてるイメージ無かったから。貧困街だと当たり前なのかな。
みっつめは、「ラナの叶わない恋物語」。
ラナが徐々にヴィディヤを好きになっていくのが切なくて心がウルウルした。
「人妻だから無理だよなぁ...」と思いつつも、最後はラナとヴィディヤが結ばれるんじゃないかと期待してる自分もいた。これは私が歳上好きかつ、人妻好きってのかもあるのだけれど。でもラナとヴィディヤが結ばれてたら、ミステリーよりも恋愛物語になっちゃうか。
正直インド映画をなめてた。初めてインド映画を初めて観る人にもおすすめ。インド映画には珍しく短い尺(2時間)で、歌や踊りのミュージカルみたいなのが無いから安心して観れるから。
きっとアナタもインド美女の虜になるはず。
万国受けする内容+その国独特の背景=傑作が生まれる
私事ながら…
1年4ヶ月に渡る癌闘病の末、つい先日、母が亡くなりました。
ここ数日はまともに映画も見れませんでしたが、少し落ち着いたので、久々にじっくり腰を据えて鑑賞。
前々から気になっていた本作は、世界一の映画大国インドが放つ、上質のサスペンス・ミステリー!
地下鉄で毒ガスによる無差別テロが発生したインドの大都市コルカタ。
2年後、行方不明の夫を探しに僅かな手掛かりを頼りにこの地へやって来た妊婦ヴィディヤ。
地元の警官の協力を得て、夫の行方を探すが…。
歌も踊りもコメディもナシ。
あのインド映画独特の作風を封印した、シリアスな第一級のエンターテイメント。
インド映画はクセがありすぎてちょっと…という方でも問題ナシ!
まるでハリウッド作品を見ているような…いや、ハリウッドもひれ伏すほどの完成度・見応えに引き込まれる。
単なる夫探しのサスペンス・ミステリーかと思ったら、どんどんスケールが広がっていく展開。
夫の行方を探すヴィディヤの前に立ち塞がる国家の壁。
夫は2年前のテロ事件に関与の疑いが…。
サスペンス・ミステリーから陰謀スリラーへ。
そして、文字通りの驚愕のラストへ…!
ネタバレ厳禁映画なので、詳しく語れないのがもどかしい。
一度見終わってから考えると、あちこちに伏線が巧みに散りばめられている。
それらが繋がるラストのカタルシスは、さながら「ユージュアル・サスペクツ」。
ちょっと触れるが…、序盤、コルカタに着いたばかりのヴィディヤがタクシー運転手との何気ない会話“人の二面性”がいきなり大きな伏線であった。
本作最大の見所の一つが、すでに多くの方が挙げている通り、主人公ヴィディヤを演じたヴィディヤ・バラン。
何と美しく魅力的な女優!
夫を探す身重の体なので弱々しいヒロインかと思いきや、タフで凛々しく、ネタバレ厳禁のラストはこれまた文字通りの“強い女”。
ヒロインに協力し淡い想いを抱く地元警官役の好演、怪しそうな登場人物の中でも、パッと見冴えない風貌の殺し屋がゾッとするほど不気味!
画面から空気が伝わって来そうなコルカタの景観も作品のムードの盛り上げに一役買っている。
万国受けする内容+その国独特の背景と言うと、見ていたら、ジャンルも製作国も違うが、イラン映画「別離」を思い出した。
万国受けする複雑な人間模様とイラン独特の宗教観が見事に合わさった素晴らしい作品であった。
本作はハリウッドリメイクが決定しているとか。
ハッキリ言って、これ以上の作品が出来るとは思えない。
(そう考えると、スウェーデン「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」→ハリウッド「ドラゴン・タトゥーの女」は奇跡の作品であった)
二度って何だよ!?そもそも微笑んでないぜ!
やっと観ました!観られました!
面白かった!“マダム・イン・ニューヨーク”の時も思ったけど、インド映画
すげ!やっぱインド映画チェックしないと!と改めて思って「インド・オブ・ザ・デッド」も観ちゃいましたよ(笑)これも、意外と面白かったっす。ゾンビ映画の舐め方が、ソンビーバーレベルです(笑)
さて、本作の主人公は、失踪した夫を探しています。
ふと、0の焦点が頭を過ぎるけど、当然違います。
できれば主人公と敵対する刑事は、女性がよかったんですよねー。
何故かというと、私はこの主人公が早い段階で妊婦の振りをしてるのに気付いたからです(あれ?ネタバレ?)。
パソコンスキルもあるようなので、一枚しかない夫との写真だって合成だろうな-って。
誰も主人公を訝しがらないストーリーは、ちょっと緊迫感に欠ける。
同性の刑事に、そんな主人公を怪しがって欲しかった。
そんな女性の攻防が観たかった!欲張りでしょうか?
インドで女性刑事が主人公の映画もあるし、男性だけの職業ではなくなってるんじゃないでしょうか。
それでも冒頭のサリン(?)事件と、主人公がなんで妊婦のふりして夫を探しているのかは、最後まで謎なんですが。
面白かった!そしてラスト、泣けた。
原題KAHAANI
意味は物語。ラストに効いてくるタイトルですが、邦題の二度というのは何でしょう?主人公、微笑んでませんし。
鍵を握るのは「二面性」
とにかく主人公が強く美しい!
そしてそれに負けず劣らず、画面から伝わってくるコルカタの雑踏のむせ返るような熱気がたまりません。
ストーリーはというと…
主人公のヴィディヤはコルカタに消えた夫を探すため、警察官のラナと共に時に違法な手段を講じ、そして謎の暗殺者に命を狙われながらも夫、さらには夫と瓜二つな地下鉄毒ガス事件の犯人・ミランを追います。
しかし物語後半、ヴィディヤは自分がミラン逮捕のためにインド国家情報局に利用されていたことを知って憤慨し、ラナとの信頼関係も崩れてします。
そんななかミランに呼び出されたヴィディヤは、たった一人でミランと対峙しますが…。
それまで全く見つけられなかった毒ガス事件の犯人を、ヴィディヤ(ITの専門家とはいえ民間人)が介入してきた途端に発見できるとか国家情報局どんだけポンコツだよ、と正直そこで一気に気持ちが冷めてしまいました。
しかし最後のどんでん返しには劇場の座席で引っくり返らんばかりに驚かされました。
夫に関する回想シーンはあるのにお腹の子供に対する思いがほぼほぼ描かれないとか、妊婦にしては少し動きや腹のラインが雑…とか、演出の手抜きと思われたものがまさか伏線だったとは…。
しかし言われてみればその通り、部屋の掃除、サイン拒否、白と赤のサリー、そして同一人物に二つの名前…と気付かないうちに伏線を張られまくっていたんだなあと惚れ惚れしました。
伏線はこれだけではありません。
冒頭でヴィディヤがタクシーに乗っている間、コルカタの風景と共に流れていた「aami shotti bolchi」という曲にも、繁栄と虚構、狡猾で間の抜けた…とコルカタの「二面性」が歌われています。
さらに今作の舞台となるコルカタは、ヒンドゥー教の女神ドゥルガーを奉るドゥルガー・プージャーで沸き立っています。
このドゥルガーは「外見は優美だが、実際は恐るべき戦闘の女神で魔族を倒した」とされています。こんなところにもみっちり伏線が張られているように思えてなりません。
答えははじめから目の前にあったのに、なぜ最後の最後まで気付けなかったのか…。
カーン警視の「誰も妊婦を疑わない」という言葉がやられた〜!!と混乱する脳に突き刺さります。
ラストではヴィディヤに思いを寄せていたラナの気持ちの切り替えが早過ぎて心配になるレベルなのですが、ドゥルガー・プージャーの雑踏に消えるヴィディヤを見送るあの晴れ晴れとした笑顔を見るに、真相を知った時点で彼の彼女に対する思いは恋愛感情というより崇拝に近いものに昇華されていた、ということだったのではないでしょうか。
やはりヴィディヤはドゥルガーだったのだなあ、としみじみ思います。
地下鉄での見慣れぬ演出や、ラストの怒涛の伏線回収の乱雑感はありましたが、とても楽しめました。
ハリウッドでのリメイク権も獲得されたということで、公開されたらそちらも見てみたいと思います。本作の空気感を超えられるのか、それも含めて今から楽しみです。
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