「分からんでもない決断だけど、でもやっぱり寂しいよ…」トイ・ストーリー4 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
分からんでもない決断だけど、でもやっぱり寂しいよ…
『トイ・ストーリー』に第4弾が作られると聞いた時、正直驚いた。
だって、前作『3』でウッディたちがアンディからボニーに譲り渡され、新しい幸せを見つけ、素晴らしいまでの有終の美を飾ったから。
あれ以上語れるものがあるのだろうか…?
しかしいち早く公開されたアメリカでは、そんな不安を払拭する大ヒット&大絶賛!
やはりこのシリーズは特別!
日本でも公開が始まり、9年振りのおもちゃの世界は…
開幕はある仲間との別れ。今回のメインストーリーの一つの伏線となり、思わぬドラマチックな形で始まるが、変わらぬ縦横無尽な彼らの世界へスッと。
9年のブランクを全く感じさせない。
『トイ・ストーリー』の何がいいかと言うと、話。いつも話が魅力的。
今回もたっぷりと!
まずは、新キャラクターのフォーキー。
ボニーがゴミから作った先割れフォークのゴミ…いやいや、おもちゃ。
ボニーはとってもお気に入り。片時も離さない。
でもフォーキー、自分の事をゴミと思っている。
ウッディはそんなフォーキーの面倒見る事になるが、これが大変! 目を離すとすぐゴミ箱に戻ろうとする。
お惚け天然なフォーキーのキャラが面白可愛い。
確かに傍目にはゴミ同然のフォーキー。
でも、誰にだってあった筈。下手くそだけど、特別お気に入りのお手製のおもちゃが。
自分もよく、紙とか粘土とかブロックでお手製の怪獣おもちゃ作ったなぁ…。
買って貰ったおもちゃであろうと、下手くそなお手製おもちゃであろうと、子供にとって大切な“おもちゃ”なのだ。
おもちゃたちも一緒に家族旅行。
その最中、逃げ出してしまうフォーキー。
仲間と離れ、連れ戻そうとするウッディ。
何とか目的地の移動遊園地に到着。
ボニーや仲間の元へ戻ろうとするウッディがそこで“再会”したのは…
ボー。
かつての持ち主アンディの元に一緒に居た、陶器製の飾り人形。
『3』では登場しなかった為、『2』以来20年振りの登場となる。
開幕シーンで別れた仲間というのが、このボー。
ご承知の通り、ウッディとボーは“いい関係”。
そういや『4』が作られると聞いた時、今度はラブストーリーになるとの事だったが、相思相愛ながらも離れ離れになった二人が再会して…と、なるほどね。
しかしボー、随分とキャラが変わった印象。
以前も杖でウッディをグイと引き寄せる積極的な面はあったが、どちらかと言うとレディーの印象だったのに、持ち主はおらず、何処かの店に飾られてもおらず、自由に生きる“はぐれおもちゃ”。
この自立した勇ましい女性像は、如何にも今のハリウッドらしい。
ボーとの再会や自由な生き方が、ウッディの大きな決断を左右する事に…。
園内のアンティークおもちゃ店に迷い込む。
ここがメイン舞台の一つで、新キャラもたくさん陳列。
アンティーク人形のギャビー・ギャビー。可愛らしい女の子人形だが、一応今回のヴィラン。
その右腕である腹話術人形のベンソン。顔や仕草や登場の仕方がちょいホラー!
ボーと行動を共にするスモールサイズの女性警官おもちゃやバズが出会った射撃景品のぬいぐるみコンビも愉快だが、メチャ気に入ったのが、バイク・スタントのおもちゃ、デューク・カブーン! このキャラ、最高!(オリジナルの声はキアヌ・リーヴスで、レンタルになったら字幕で是非見よう)
舞台となるアンティークおもちゃ店や遊園地内で、ウッディらお馴染みの面々や新キャラたちが繰り広げるスリルやアクションは、これぞ『トイ・ストーリー』!
そんな楽しさだけではなく、
フォーキーを捕らえ、ウッディのある物を狙い、確かにヴィランであるギャビー・ギャビーだが、根っからの悪役キャラではない。
彼女にも悲しい面が。あるシーンからは同情を禁じ得なかった。そんな彼女に遂に訪れた“幸せ”…。
おもちゃ一つ一つのドラマもそつなく。
話の展開としては、
フォーキーを連れ戻し、新たな仲間と出会い、ボニーや仲間の元に果たして戻れるか?…なのだが、
ラストでウッディが、まさかまさかの驚きの決断。
ここが、アメリカでの絶賛とは裏腹に日本では賛否分かれている。
かく言う自分も考え込んでしまった。
それに触れる前にまず、今回ちと感じた難点不満点や違和感を。
話やキャラは今回もいい。
が、自分の事をゴミと思っていたフォーキーが、自分もおもちゃであると自覚する描写が、途中から急におざなりになった気がする。これまでだったら一本の話が出来るくらい、丁寧に描く事も出来た筈。
ボニーの元で幸せに暮らしているウッディだが、最近あまり遊ばれなくなったのが寂しい…。
と言うかボニー、ウッディに対してちと冷たい気が…。
アンディから譲り渡され、アンディの一番のお気に入りなのに、何かほとんど関心無いような…。ラストにも触れるが、ウッディが居なくなった事に対しての描写も無い。
それでもボニーの幸せを願うウッディは一途で健気だが、ウッディが可哀想…。
そして、最大の賛否のポイント。
ネタバレチェックを付けるので触れるが、
ウッディはラスト、ボニーや仲間の元に戻らず、別れを告げ、ボーらと自由に生きる道を選ぶ。
擬人化されたおもちゃたちは、我々人間そのもの。
だから、我々人間が人それぞれの考えや生き方があるように、おもちゃにだってそれぞれの考えや生き方がある。
それは分かる。
でも…
おもちゃはずっと子供たちの傍に。持ち主が大人になっても新しい持ち主に譲り渡され、おもちゃたちは子供たちとずっと遊ばれていく…。
そんなメッセージのシリーズ、感動的だった前作『3』を、全てひっくり返してはいないだろうか…?
自由意思のアメリカ的な考え、物を大事にする日本的な考えの違いとでも言うべきか。
どっちがいい悪いなんて付けられない。
それだけに…。
感動的でもあるし、違和感も感じるし…。
見終わった後のモヤモヤ感。
だけど、こう考えたら…?
朝起きて、大事なおもちゃの一つが突然居なくなっていたら…?
内なる声はこう言ってる。
やはり、寂しいよ…。
酷評意見は、「見なきゃよかった」「作るべきではなかった」とまで…。
さすがにそこまでは言わない。今回も充分楽しいし、面白い。
採点は4か3・5で悩んだが、『3』は4・5、『1』『2』はレビューは書いていないが採点付けるとしたら4~4・5。
今回はシリーズワーストとは言わないが、以上色々の感想踏まえ、ちと前3作より控え目に3・5。
これでウッディたちの物語を終わりにするか、
これを受けて『5』を作るか、
これまた考えてしまう。
返信ありがとうございます😊。価値観の違いなのかな?でも、やはり おもちゃの幸せって何?ということから見るとなんか間違ってる気がします。人間だったら理解出来ない事もないけど。バズと別れたのも嫌だったし、最近のディズニーの女性の描き方にもちょっと違和感あります。やたら強い!?ポーもキャラ変してて!でもムーラン楽しみです!
近大さん 私はウッディの選択に失望してしまい、4はなかった事にしたいくらいです。 アンディがボニーの所に一番大好きだったウッディが居ないと分かったら どんなに悲しむだろうか? そして ウッディはあの状況では もうアンディに逢う事は永遠に無いのだ…!見つけてもらえないのだ!そう思うと3でのアンディがウッディを連れて行きたかったのにボニーが望むならと 寂しさを堪えてウッディと別れたのはなんだったの!?と怒りしか湧きませんでした。
「5」が目的なら、ウッディはボニーの元に戻したでしょうね。
一番感動したのは、ギャビーギャビーが拾われた時だったので、やはりおもちゃには持ち主が必要なんだ、と。
ならば何故旅立ったのか。
PIXARユニバースでも作るのでしょうか、と勘繰りたくなります。