「日本人には酷評されがちだけど」トイ・ストーリー4 白雪さんの映画レビュー(感想・評価)
日本人には酷評されがちだけど
あの終わり方に日本のトイ・ストーリーマニアは憤怒しているのを知っていた。
海外のトイ・ストーリーマニアは真逆で、絶賛している。
私は前3作を観てきてはいるものの、
マニアだという訳では無い(あまりにもポップコーン入りのボックスが可愛すぎて購入してしまった人)。
逆に私の姉は大のトイ・ストーリーマニアで、
今作も観ようと思ったのは姉との
共通の話題になるかな、くらいの動機である。
マニアではない私の感想は、ボロボロ泣いた。
映画を観て劇場で感極まる事は少なくはないが、涙を流すことはそう多くはない。
ただこの映画は、おもちゃとしては感情がとても人間らしいウッディの葛藤が醍醐味のシリーズで、
とても異質といえる作品になったことは確かだ。
だから賛否両論起こりやすいのは仕方が無いのかもしれない。
むしろ、それを目的とした結末のようにも思えた(深読みのし過ぎでもはや分からないが)。
ウッディの最後の決断は今までの
「おもちゃとしての使命」とは大きく逸れたもの
だっただけに、やっぱりマニアの人には
ショッキングだったんだろう。
私は逆に、酷く自然に思えた。
私がおもちゃだったら、余りにも辛い現実が
半永久的に続くことに嫌気が差して
そそくさと自由になりたいと望むはずだ。
ウッディだから、おもちゃだから、
壊れるまで子どもに尽くすべきだ、という考えは
あまりに悲しくないか?
段々と飽きられ、忘れられ、また次の子どもの元に行き、それを繰り返す。
とても酷だなと思った。
人間はいつか大人になる。
成長する。
ウッディも、成長していっただけなんじゃないのか。
ウッディが「忠誠心」と言葉を口に出した。
すごく違和感のある言葉だ。
キミはともだち、と歌いながら主従関係だったのかと。
でも、確かにそうなのかもしれない。
アンディとウッディはともだちだったのかもしれない。
ボニーとウッディはともだちではなかったのかもしれない。
「もう俺にはこれしかない」そんな言葉が出てしまう。
ボニーが悪い訳では無い。
子どもの酷く自然な純粋な感情が、
ウッディを自分の信念と目を背けていた本当の気持ちの間で揺さぶっていたように思う。
ボーとの再会がウッディを変えたように見えたが、
ほんのきっかけに過ぎなかったのではないかと思う。
忠誠心のその先にあった、本当にずっとこのままで良いのかという当たり前の感情を自覚した。
私は心のままに選択したウッディは、それもまた楽ではない道を選んだと思う。
それでもクローゼットで眠るより、生きる方を選んだ。
とても人間的だと思ったし、今までよりウッディをすごく身近に感じた。
アンディに囚われたまま、ボニーのおもちゃにもなりきれなかったという脚本にはとても心が痛んだけど。
でもただのウッディのまま、生きていく事も大人の私にはとてもグッときた。
語彙力が著しく低下するが、涙が出た。
ただやっぱり今までの主要キャラの出番少な過ぎないか?
ウッディとボーに完全にスポットライトを絞ったね。
それはちょっと寂しかったな。
個人的にはとても楽しめたし、考えさせられた。
大事にしていたクマのぬいぐるみを失くしたことを思い出した。
子供に見せたい映画なのは変わらないかな。