劇場公開日 2015年4月25日

  • 予告編を見る

「テーマ性にも共感するんだけど、芸人「ビートたけし」の滑り感がノイズに」龍三と七人の子分たち cani tsuyoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0テーマ性にも共感するんだけど、芸人「ビートたけし」の滑り感がノイズに

2015年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

暴対法以降に元ヤクザが暮らしにくくなった現代、オールドスクールな仁義と人情を持ったヤクザが半グレ&現代のコンプラが行き渡った社会に「喝だ!!!」と張さんばりに説教垂れるコメディー。

「抱腹絶倒」「あらゆる人にわかりやすい作品」という前情報と上記設定により、ひたすら笑える映画なんだろうなぁとハードルを上げすぎたのが問題だったのか、ギャグシーンが諸々ノイズになっってしまった。

現代社会で生活する上での生活を営む上でのヤクザ特有、高齢者特有のズレを笑いに転化しているようなのだが、あまり乗れなかった。
むしろノイズになってしまった。

おそらくそのズレこそ笑いにしつつもテーマとしており、「表面的なズレこそあれどヤクザだろうが、高齢者だろうが特殊な存在でなく、同じ人間だ。高齢者だろうが聖人君子ではなく、ヤクザだろうが普通の生活もある」「ガチガチの法律やコンプラの中で閉塞感があるような社会はつまらないし、それをすり抜ける小悪党みたいなやつの小物感には立腹だぜ!」みたいなことを言いたいのだろうと思う。
そのテーマを笑いで包むことはいいと思うのだが、残念ながらその笑いが微妙。
それぞれの笑いが悪いわけではなく、シリアスなたけし映画での笑いと違い、終始笑いを狙っている様になかなか乗れなかった…
僕個人とするとテーマと手段は悪くないのだが、その手段の中の笑いのアプローチがイケてなかったんだと思う。
大衆受けをここまで意識しなければ良作になった可能性もあり、残念。

ただ、クライマックスの決闘シーンの中尾彰のあのシーンに関してはたけしながらの毒を感じ、大爆笑でした。

やるならああいうのをガンガンやるべきかと。

cani tsuyo