「彬とアトム。」龍三と七人の子分たち ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
彬とアトム。
正味111分がけっこう長く感じられた作品。
人気女性映画コメンテーターが番宣でかなり誉めまくっていて、
「もう笑っちゃって仕方ない」と言うのだが、私は今作のどこで
そんなに笑えたのか聞いてみたいくらいだった。ほぼ失笑状態。
わざと外しているのも狙っているのもなんとなく分かるが、
これだけの面子を使うんなら(いつどうなるかも分からないし?)
もっと派手に笑える痛快活劇に仕上げて良かったような気がする。
北野映画らしいと思うが、面白さで何の勢いも感じられなかった。
インタビューで龍三を演じた藤竜也が、監督はすぐ隠れちゃうし、
これでいいのかと不安で仕方なかったと言っていたけど、それが
画面にも顕れていた。いいのかなぁ?これで?という彼の表情が
どこか落ち着かなく(そこも狙いかもしれないが)安定していない。
ヤクザが不安なんだからこちとら観ている方はもっと不安だ^^;
「京浜連合」「一龍会」なんて如何にもなネームなのに、若手連合が
ほぼ皆して弱い。昔のやくざをナメんなよ。は大いに伝わるが、
この悪たれジジイ共を何とかしてやろうというところまで今時の
「自称ヤンチャ」たちは思わないのだろうか。突如惨殺するような
行為はできても、ジワジワと相手を追い詰めては恐怖に陥れる
心理作戦みたいなことはめっぽうニガテな様子で、面白くない。
相手にならない闘いを延々見せられても痛快対決にはならない。
堂にいったジジイ名優たちは慣れない役にもとっても楽しそうで、
(おそらく)監督の狙い通りに動いているのが分かるだけに惜しい。
彬とアトムはよく頑張りました。
(オレオレ詐欺は冒頭だけ。全員が騙されて復讐に燃えるのかと…)