カプリコン・1
劇場公開日 1977年12月17日
解説
打ち上げ寸前だった有人火星宇宙船カプリコン1の3人の乗組員が船外に連れ出される。宇宙船の故障が発覚したものの、それを公表できず、やむなく関係当局は大掛かりなセットを組んで、その成功をでっち上げることに。中継映像から不審なものを感じた新聞記者コールフィールドは調査を開始。一方、3人の乗組員たちは闇に葬られようとしていた! 全世界をあざむこうとする陰謀に立ち向かう者たちの戦いを描くサスペンス巨編。
1977年製作/129分/アメリカ・イギリス合作
原題:Capricorn One
配給:東宝東和
スタッフ・キャスト
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2021年12月8日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波
有人の月探査ミッション「アポロ計画」が終了してから、大幅の予算カットに苦しんできたNASAは、それでも予算獲得のために叡智を振り絞り、今日を迎えますが、当時の時代背景からすれば、火星探査は自然の成り行きで、それを偽装する流れも、有ってもおかしくないリアルさでした。
お話としては、NASAが悪役=陰謀側として扱われており、「アポロは月に行ってない」説の強烈な援護射撃になった皮肉な作品です。
今のレベルで見るには少々古臭さが勝ちすぎますが、悪貨は良貨を駆逐するということわざをまさに体現した、いい教訓を得られた映画でしょう。
2017.7.10
2021年3月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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アメリカによる有人火星探査宇宙船「カプリコン・1」を巡るやらせ物語。
捏造を強要された3人がとにかく悲惨で敵からの攻撃を避ける為、死に物狂いで逃げるシーンは手に汗握るぐらい、ドキドキさせられた。どこまでも追いかけてくる様子はまさに恐怖でした。
【総合評価】
よく練られたストーリーや演技力はどれも高く、本格サスペンス映画だと思いました。
2020年6月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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総合:70点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
国家が運営する大計画を国家ぐるみで誤魔化すならばまだわかるが、たかだかナサの計画責任者ごときがこれだけ大きな誤魔化しをして隠しきれるわけはないだろう。宇宙船は常に他国からも含めて行きも帰りも電探で追跡されるだろうし、公開される火星の映像は世界中の専門家が分析をするし、宇宙からの無線もその電波の方角も含めて世界から受信されるし、設定上のそういう技術的考証が緩い。それに正しいことをしていなくて後ろめたい時の情報は組織内部のどこから漏れるかわかったものではない。最初は専門的技術を無視したこのくだらない設定にかなり呆れながら観ていたし、面白いものではなかった。
面白くなってきたのは後半の記者の調査と自らが抹殺されると予想しての宇宙飛行士の脱出劇からで、陰謀を感じて調査していく記者と宇宙飛行士がどうやって逃げていくのかの部分は緊張感があった。それでもわずか2機の回転翼機と農薬散布機だけで軍も記者も広い砂漠から宇宙飛行士を簡単に見つけるし、爆音のする回転翼機が近づいても気が付かず隠れることもしない宇宙飛行士の行動はあり得ないし、このあたりも技術的考証が安直だとは思った。それから捕まった2人の操縦士は殺されたのかどうかが気になる。
登場人物で一番好きなのは農薬空中散布のA&A Crop Dusting Serviceの経営者兼操縦士のアルベインで、自分がこの会社の責任者だということを知らせるだけにどれだけ駆け引きがあるのかという部分だけでも自分のやり方に時間をかけて巻き込んでいくのが良かった。だがさらにその後の料金の交渉が25ドルから100、125、さらには追い込まれた状況で強盗した金額の1/3から最終的に半分にまで分け前が上がっていくのがまた痛快だった。
アルベインはおんぼろ飛行機を操縦しながらの軍隊の回転翼機との機銃を撃たれながらの空中追跡劇に全くひるむことない操縦士であるだけでなく、とんでもない凄腕の交渉人で、砂漠のしがない農薬散布操縦士にしておくのは惜しい爺さんだった。私の予想ではきっと朝鮮戦争かベトナム戦争の生き残りだろう。結局料金はいくらで折り合いがついたのだろうか、しっかりと交渉の結末まで見せてほしかった。
2020年5月14日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
Blu-rayで観賞。
何度観ても面白い。
キャストは概ねテレビ系の俳優たちだと思う。
アポロ計画の月面着陸は捏造だったという都市伝説がある。
月に降り立つ映像の製作をキューブリックに依頼したとかしないとか、という話まである。
まぁ、それはデタラメなのだが、本作の着想元になっているのかもしれない。
一番可哀想なのは、最初に違和感を持った航空宇宙局の技師だ。彼は口封じの最初の犠牲者となったのだろう。
次に哀れなのは、逃亡途中で絶壁をよじ登った宇宙飛行士(サム・ウォーターストン)。登りきった頂上で彼を待っていたもの…その絶望感たるや、想像を絶する。
主人公はキャプテン(ジェームズ・ブローリン)と記者(エリオット・グールド)の二人。
キャプテンは冷静沈着で頭脳明晰な正義漢。人望もあって、正にリーダーにふさわしい人物。
記者は一流とは言い難い、半端者。この男が疑念を抱いて真実追求に突進するから、面白い。
不具合が発覚したにも拘らず計画を進行させ、捏造を余儀なくされた有人火星探査計画。
この捏造計画はかなり用意周到に進められたにちがいない。そのリソースを不具合解消に注げなかったのか。
最初から3人の宇宙飛行士は殺してしまう計画だったのだろう。恐ろしい!
記者は再三命を狙われる。その割には警察に駆け込んだりしない。政府が絡んでいると睨んだからか。
それにしても、車の細工事件は隠しようがないはず。社会インフラに損害が出ただろうから。なのに、「殺されそうになった」と訴えても上司は知らん顔。そんなバカな!
脱出劇の結末で遂にキャプテンと記者が初遭遇するという、サスペンスにおけるカタルシスが存分に味わえるクライマックス。
農薬散布屋のおっさんキャラ(テリー・サバラス)がまた、たまらない。
だが、キャプテンの帰宅後いったいどうなったのか、誰しも気になるところ。
しかし、サスペンスアクションは「後かたずけ」を描いてしまうと興冷めするので、割愛でよしとしましょう。
捕らえられ(恐らく殺され)たもう一人の宇宙飛行士は、あのO.J.シンプソン。
この映画で初めて「ヨセミテ国立公園」を知った無知な学生だったことを思い出す。
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