劇場公開日 2015年3月7日

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「ラストシーンでの一貫性の欠如が感動を今一つに…」パリよ、永遠に KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ラストシーンでの一貫性の欠如が感動を今一つに…

2024年8月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

母国ドイツを加害者視点で描く
「ブリキの太鼓」の
フォルカー・シュレンドルフ監督による
パリ破壊阻止エピソード作品を
「シャトーブリアンからの手紙」と
「魔王」に続いて初鑑賞したが、
パリの運命を握ったのが
何故スウェーデン総領事だったのか、
ここでは総領事のパリを愛する個人的な
理由とされたものの、
実際、パリ破壊阻止に
どの程度影響のある交渉だったのか、
どこまでが創作なのかが
分からないまま鑑賞を終えた。

それにしても、
「シャトーブリアンからの手紙」の中での
パリ駐在の将官達もそうだったが、
ヒトラーに反目しながらも
戦争を遂行する将軍らの数々の描写は、
各ヒトラー暗殺計画での軍人は
言わずもがなだが、
こちらも合わせて当時のナチス体制下での
ドイツ軍人の複雑な一面を表しているように
見え、興味深かった。

さて、この映画としての出来だが、
演劇風をそのまま持ち込んだ
ディフォルメ感満載の
主要2人の長い会話に徹した作風や、
タイミングの良過ぎる将軍の喘息などの
創られ過ぎ感などもあって、
舞台劇の映画作品としては
今一つの出来に感じた。

その中でも抵抗があったのは、
ホテルの支配人らしき人物?が「お見事だ」と
あたかも戦略であったごとくに
総領事の説得術を褒め、
特に急ぐこともなく退場したラストシーン。
この作品での交渉の肝は、
将軍の妻子の安全確保と
パリ破壊指令貫徹との天秤なのだから、
支配人の「車で行くか」の申し出に、
「ありがたい、急いで手配しないといけない
ことがあるので、是非その車で」
と応じることで話の一貫性が生まれるはず
なのだが、そんな徹底性を欠いたのが、
今一つ感動に結びつかなかった原因と
思われ残念だった。

KENZO一級建築士事務所