アメリカン・スナイパーのレビュー・感想・評価
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♪This is the end~
♪This is the end, Beautiful friend
This is the end, My only friend, the end♪
イーストウッド作品は毎回積極的に見に行こうとは思わない。
巧みな攻撃、完璧な守備、華麗なパスワークだけど終わってみたら
0対0のサッカーの試合を見たような気分になるからだ。
だが、今回は少し違った。
プレイヤー(主人公)が逝ってしまったからだ。
意図せずプレイヤーは神格化され、そのチームは勝利したかのような錯覚に陥る。
作品はあくまでも0対0のサスペンデッドゲームなのに。
自分の記憶の中では主人公が逝ってしまうのは監督・主演作品でいうと
『センチメンタル・アドベンチャー』『グラン・トリノ』
だけのような気がする。
この国の原罪やPTSDの蔓延の事実だけを放り投げて、
あからさまな糾弾をしないのは
嫌いではないし、『ミスティック・リバー』のように反旗(半旗ではなく)の象徴として
の国旗の出し方などはむしろ好きなほうである。
しかし本作単体でみると、明らかな主張をしない0対0は図らずとも一方の勝利という誤解を招く。
ましてや渦中のテロリストの顔写真なんか出すと、
確信犯的戦争肯定派に利用されてしまって、ダーティ・リバタリアンの44マグナムでも解決できない。
最後にちょっと待った、そうはさせまいと、
無言のエンドロールや、鎮魂曲としてはニニ・ロッソのトランペット1本の方が効果的ではあるが、
あえてそうはしないでモリコーネのオーケストラ版で震える心を沈静させたりとか、
ラストを文字だけの表現にした所で、もう抑えられはしないだろう。
「イーストウッドさんこの状況をどう考えているの?」
「わざとだよ、狙いだよ、これがアメリカンスナイパーだよ、戦略大作戦だよ make my day」
「しっつれいしました!」
♪じーすいずじーえーんd♪
感動の一作(戦争映画的な意味で)
自分がCMを見た限り父親の平凡な家庭と戦場を描いた映画かと思ったら、中身はカリッカリの戦争映画でビックリした。いい意味で裏切られた。がさほど印象に残ってるのがなくインパクトに少し欠けてたのが欠点か。
ノンフィクション
今まで見た映画の中で1番印象に残ってる映画。
考えさせられたし、リアルさがよかった。
実話だから再現できてるか疑ってたけど、戦争を経験したことない私でも伝わるような感情と過酷さが描かれてて、すごく心にきた(T-T)
さすがイーストウッド
前から見たかった作品でやっと鑑賞できた。イラク戦争において伝説と呼ばれた男の戦中、そして戻ってからの苦悩を描いている。
この作品はアメリカにおいて、賛否両論で批判する人も多かったようだが、それはその人の戦争に対する考え方による問題で、素晴らしい映画であることは間違いないと思った。あまり、派手な演出を行わず生々しいリアルを描写したクリント・イーストウッドはもちろん、ブラッドリー・クーパーの迫真の演技とシエナ・ミラーの情の溢れる演技は素晴らしかったと思う。イーストウッド作品のラストのシーンの描き方が個人的には好きで、今作品もラストシーンとクレジット含めてとてもと良かった。
イーストウッドの戦争への考え方がどうなのかは知らないが、クリス・カイルという"伝説"と呼ばれた男の生き方を描いた映画としては申し分なく、素晴らしい歴史に残る映画であることは間違いないと思った。クリント・イーストウッドとブラッドリー・クーパーに賛美したい。
アカデミー賞逃したかぁ~
米軍史上最高のスナイパーはひとりの優しい父親だった。国を愛し、家族を愛した男は戦場に心を残してしまった… 「PTSD」だ。
戦場に入り込んでしまう程、体感的。戦争が人の心身を、特に精神を蝕んでいく様を見事に描いている。同じ境遇に合ってこそ気持ちの共有が成せる。だから除隊後は帰還兵を助ける活動に従事したのだろ。贖罪の気持ちもあったのかも。
クリスの最期から無音のエンドロールへという流れ……全く動けなかった。
見つめる
スナイパーというだけあって、「見つめる」ことが随所に見られましたね。
当然、スコープを見つめる。
帰国時の家で、モニターを見つめる。
妻と二人のベッドで、虚空を見つめる。
新生児室のガラス越しに娘を見つめる。
そして見つめる先にクリス・カイルが見出すのは、常にありのままの外界ではなく、クリス・カイル本人の心だったのだろう思います。
今のアメリカをただ淡々と描き出そうとしたこの作品には、決して論争を呼ぶような政治的な偏りはないのだろうと思います。
ただただ、私たちはいったい何を見ているのだろうか、その自問をアメリカ国民に、そしてこの映画を観る者すべてに促すものだったのだろうと思います。
『グラン・トリノ』を撮ったイーストウッドの流れが、この作品にはあると思いましたね。
演出をおさえて無音でヒリヒリするリアルな感じがよかった。 実話ベー...
演出をおさえて無音でヒリヒリするリアルな感じがよかった。
実話ベースのフィクションでありドキュメンタリーではないのだけれど、終始緊張感でいっぱいでとても良かった。
予告編のほうも★5
使命感という“病魔”
スナイパーというのは、極めて隠密性の高い狙撃を行う人間のことの。
あなたの現在位置から突然弾が飛んできて、あなたは即死する。
即死しなかったら、あなたは痛み苦しみで倒れ、トドメの弾丸を再びもらうか、
あるいは、あなたを助けようと駆け寄った人間を誘き寄せる餌として、トドメを刺せずにする。
長距離射撃というやり方であるため、被弾は銃声より先に発生する。
正々堂々という意味では、極めて卑劣なやり方である狙撃。しかし戦場で正々堂々なんて言葉は存在しない。
いかに効率よく、いかに確実に殺すかが焦点になる。
第二次大戦時に狙撃手として名を馳せていたシモ・ヘイヘという人がいる。
彼は生前、おびただしい数の人間をライフルのスコープに捉え殺してきたが、その行為と功績についてを「上が命じたからやったまでのこと」だと語っている。
今作の主人公クリス・カイルも、シモ・ヘイヘ同様、一貫して感情的なものを語らず、「蛮人をやっただけ」と言い、自ら行った殺人についてを正当化し、愛国心を語った。
アメリカという国に住む人間が愛国心を掻き立てたのは、今日まで続くテロによる被害だ。
それはなにもクリスだけの話ではない。軍に志願した人間のほとんどが抱いた憎しみという形の愛国心を背負い、出兵した。
まさに“背負った”だった。
戦場で彼らは更なる憎しみをもらう。
仲間が身体障害をもらい、殺され、出兵以前からあった憎しみは更に強大化していくが、それらを積み重ねるたび、彼らの愛国心はより強固なものになり、活気づく。
しかし軍という枠組みで行動しているアメリカに対して、相手は不特定多数のテロ組織あるいは本意不本意からなる市民だ。
つまり終わりが見えない。シモ・ヘイヘが活躍した時代とは異なり、明確な終わりを見出だせない戦争に突入してしまったのだ。
先の戦争とは違い、不条理な状況を押し付けられる戦争。
クリスの愛国心に決着がついても尚、彼は現代の戦争という病魔に悩み続ける。
これが戦争。人体欠損といったショッキングな映像を見せる状況と共に、もっと身近な部分で戦争を感じさせる。
クリスを見て、何を思うか。
犠牲になるものとは
英雄と讃えられた男の心の闇と、
アメリカ社会が抱える暗部を描いた傑作。
「あの蛮人たちを殺した理由を、俺は神にきっちり説明できる」
いろいろと完全アウトな発言だが、
こうでも言わなきゃまともでいられない、
という心情がわかるとても印象的なシーンだった。
戦争に関わった時点で、
仮に生き残ったとしてももう何事もなかった日常には戻れない。
英雄と呼ばれる男ですら戦争の犠牲者。
制作中に起きた事件は起こるべくして起こったものだろうし、
図らずもその事件がこの映画の持つ意味を何倍にも増幅している。
非常にヘビーな内容とメッセージだが、
国籍を問わず、全ての人が観るべき作品だと思う。
リアルタイムな戦争映画
映画「ハート・ロッカー」や「マイ・ブラザー」に「エッセンシャル・キリング」と今、現実に起きているであろう戦争映画。
自分は序盤のカウボーイからB・クーパーもイマイチでハマれず途中からウトウト...zzz..。
砂嵐にノイズと不穏な映像に観にくい感もあり狙撃手同士の対決はいきなりアクション映画な装いに。
彼は何故?あんな人生の終わり方を迎えなければならなかったのか?
序盤はいらない
自叙伝が元になってるからでしょうか、兵士になるまでを時系列で見せてるいますが、全体を面白くする要素になってない。
途中で説明だけ聞かせるとかで十分だったかと。
戦場から日常に戻ってからの苦悩してるシーンには胸を締め付けられました。
●戦争が日常になるリアル。
狙撃手クリス・カイル。「レジェンド」の異名をもつ。いわゆる戦争映画だが、その実、家族との葛藤、深層心理をえぐり出している。
初めての任務。ターゲットは母親と子供。殺さなければ仲間がやられる。葛藤と緊張感。空気が張り詰める。
しかし、それがいつしか日常になる。任務中に妻と電話したり、同僚と冗談を言い合ったり。実にリアルだ。そうでもしなけりゃ、やってられないのだろう。
そして、砂嵐のシーン。息するのも忘れたわ。生きた心地がしなかった。
これが戦争なのだ。ハンナアーレントが言ったように、戦争は人の思考を停止させる。そういった逆説的アプローチの映画なのでわないか。
さらに妻がいう。「あなたは帰ってきたけど、心は戦場に置いてきたまま」PTSDとの戦い。
殺人マシーンに化した彼もリアルなら、国を守りたいという責任感も事実だと思う。イラクとはかけ離れすぎたアメリカでの平和な日常。
誰も戦争のことを口にしない。このギャップ。音響がジワジワくる。
病むよなあ。戦争は誰も幸せにしない。
靖国の先人たちがふと頭をよぎる。彼らが守りたかった日本という国は、こんな形でよいのかと。
巨匠クリント・イーストウッド。細部はともかく全体で魅せる技はさすが。
しかし、ラストは日付を先に出しちゃいかんよー。まあ、おいおいウソだろって気にさせられたから許すか。
ながく残りそうな名作
どんな立場から見ても極力公平な、俯瞰した視点で描かれている映画だと思います。
さまざまな解釈ができそうですけど、やっぱり根底に祖国愛への偏りが若干感じられます。そこをどうとるかは見る人の自由でしょう。日本人にはもう一歩深いところで共感はできないかもしれませんね。
しかしやっぱり作品全体としての、凛とした空気感には圧倒されるものがあります。名作として残りそうな作品。
戦場に英雄なんていない
クリント・イーストウッド作品だったので、ストーリー重視の傾向で作られているかと思えば、戦闘シーンにもかなり力が入っていることに、少し驚きました。器用な監督ですわ。
まず、映画のタブー的なことに触れて、現実のむごさを伝えるのが相変わらず、上手いなぁと…
更に、主人公が段々と戦争、戦闘マシーンへとなっていく姿が、何ともリアルでした。彼にとって、常に緊張感のある戦場で人を殺める事でしか、不安を解消することが出来なくなってしまったのでしょうか…
仲間を救っている分、相手を殺している。
殺した分だけ己の人間らしさも殺している様な印象を受けました。
重圧な映画でした。
因みに戦闘シーン好きな人も満足できると思います!(笑)
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