「誰もイーストウッドに勝てない」アメリカン・スナイパー ヒートこけしさんの映画レビュー(感想・評価)
誰もイーストウッドに勝てない
圧巻。途轍もない大傑作。やはり誰もイーストウッドに勝てない
『アメリカン・スナイパー』の戦争観とか云々は既に色々な評論家が論じとるし(パンフレットはコラムが充実してておすすめ)個人的に「実はこういう見方もできるよな?」と思ったことだけ書き記しておくぜ
実は『ダーティハリー』に近い作劇方法に思える。要は西部のガンマンをイラクに「派遣」したマカロニウエスタン
敵狙撃手ムスタファはスコルピオのように背景描写が極力排されている。クライマックスの展開はほとんどメキシカン・スタンドオフ。ハリーがスコルピオを殺した後警察バッジを投げ捨てたようにカイルもムスタファを殺しライフルを捨てて戦場を去る。最後に流れる曲はエンニオ・モリコーネ。という具合
もちろん通底するのはイーストウッドの作家性。月並みな言い回しやけど「本当の正義とは何か?」ってこと。そんなことわかるはずもないけどエンドロール中ずっと考えを巡らせた。というかあのエンドロールの無音演出はそう向かわせる明確な意図がある。すぐ席を立った観客は「許されざる者」ですよ
『アメリカン・スナイパー』は『アウトレイジ ビヨンド』を超えるドリル描写があった。たけしもびっくり
アメリカでは『アメリカン・スナイパー』を巡って右翼と左翼が論争を巻き起こしていると聞いて一番想起したのはRHYMESTERの「グレイゾーン」だったりする。右も左も危なっかしいぞ
『アメリカン・スナイパー』のレビューを読み漁る。大方絶賛で嬉しい限り。こんな時代やさかい右も左もないってことよ。「イーストウッドはタカ派でもハト派でもない、硬派である。」とは松田政男の言葉らしい。言い得て妙とはこのこと!