「国家が合法的に“人(敵)を殺せ!!“と命じることの悲劇!」アメリカン・スナイパー 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
国家が合法的に“人(敵)を殺せ!!“と命じることの悲劇!
特別な視力と、特別な指先の感覚。
クリス・カイルは特別なライフル射撃の名手だったのだろう。
天性のスナイパーだった。
1920メートル先の標的に命中させる腕前。
19999年〜2009年の間に4回イラク戦争前線に派兵して、
狙撃の名手として「ラマディの悪魔」と敵に恐れられて、
首に懸賞金をかけられた。
「伝説のスナイパー」として、
アルカイーダの戦闘員を160人殺害した、とされる。
クリス・カイル(1974年生まれ、2013年2月2日死亡)
彼はほぼ2キロメートル先の標的に命中させる腕前。
これは五輪メダリストを大きく凌駕するといえる。
オリンピックでは、2キロ先の標的なんて狙わない!!
カイルのライフルにはスコープ(拡大鏡)が付いてるとは言え、
クリス・カイルが超人的腕前なのは間違いない。
1999年〜2009年にかけてイラクへの4度の派兵、
延べ1000日。
帰ってくる度に、妻から、
「心が戦場から戻っていない」と、指摘される。
恐怖や刺激(スリル)と非日常に麻痺したカイルに、
帰国後の生活は【仮の生活、仮の住まい、仮の姿】
その落差に妻もカイル自身も戸惑う。
カイルが兵士を辞める決意をする場面。
不思議なことにカイルは身の危険の差し迫った場面で、
妻に電話をしながら照準と対峙したり狙撃したりしている。
その場面、妻はカイルの死を非常に身近に感じる。
スリルの臨場感のお裾分けというか?
危険の共有をする=それが彼ら夫婦の絆だった。
イラクの戦地で出会っているから、妻のタヤも当然、
軍の関連機関で働いていたのだろう。
戦地の前線で妻に電話するカイル。
ママにすがる子どものように、日常会話を交わす。
それでママ役の妻は危険と死を共有してパニックになり、
そして強い妻は乗り越えて行く。
非常に興味深い・・・カイルは戦場の最前線で妻に精神的にすがる。
妻は堪ったものではない、臨月の時すら電話する。
それだけ絆の強い夫婦でした。
そして3回目の派兵でカイルは狙撃兵仲間のビクルスをイラクの有名狙撃手に
撃たれる。
ビクルスは、弾の跳ね返りを顔面に受けて失明する。
そしてカイルは4回目の派兵に向かい、ビクルスの敵のイラク有名狙撃兵を
向い討ちにするのです。
それが1920メートル先の標的《イラク狙撃兵》
これは見事にカイルらしく成功します。
敵を返り討ちした瞬間です。
しかしご存知のように、敵を狙撃するということは、
当然自分の居場所が明らかになるのです。
イラク兵はカイルの狙撃現場のビルに大挙して押しかける。
凄いですよ。
四方八方から蟻のようにイラク人やイラク兵が群がってくる。
武器を携えて・・・。
ここからヘリコプターを呼び、爆弾を投下して貰い、現場を目眩しをして、
カイルたちはジープに乗り、生命からがらやっとこさで避難をします。
この部分でも半泣きで妻に電話します。
本当に妻は、同僚の兵士のように支えている。
精神的支柱。
本当にアメリカ人は、我々戦争を80年近く体験していない日本人とは
大違いです。
戦場で生死を懸けて戦っている夫を陰でサポートし、
帰ってきたら彼のPTSDと向かい合う。
なまじの苦労ではない。
その後、戦場では偵察ドローンがら攻撃用のドローンが活躍する場に
大きく変わった。
しかしロシアとウクライナの戦争で多くの戦車が使われたことに
私は内心驚いた。
ロシアとウクライナという広大な土地だからこそ戦車が活躍するのだろう。
ウクライナではスナイパーもやや手持ち無沙汰で、1日中待機して敵を待つ
場合もあるという。
イラク戦争の英雄カイルはPTSDの退役軍人に近距離から射撃されて、
わずか38歳で命を落としている。
「殺して終わり」的な短絡的な思考。
そういう暴力を激しく嫌悪する。
狙撃兵に焦点を当てた戦争映画。
アカデミー賞6部門ノミネートでも、作品賞はおろか監督賞も
主演男優賞も与えられず。
アカデミー賞は人畜無害な「アルゴ」に与えられても、
「アメリカンスナイパー」のような現実を晒す作品には
決して与えられないのです。
他作品へのコメントイイねありがとうございました😊クリス・カイルは天才ですね、最初、中年近くになってロディオからの参戦は違和感マックスですが、スナイパーとして優秀ですね。PTSDも生々しい。史実として最後の最後は意外な刺客に・・【劇中は描かれていない記憶❓】ただ零戦の坂井三郎の撃墜数のはてな❓感同様、スナイプ数は本人とやられた人しか真偽はわからないかもですねぇ。戦国時代みたいに生首持ってくる訳でないので。ただイーストウッドさんの作品としては もたつき が少なくピカイチでした。
私は残念ながら 文学青年 ではなく 受験青年 でした。昭和末期ですから、小説は勿論読んでいます、他の凡人の方々同様 太宰治 と 三島由紀夫 の両極端な破滅 には惹かれました。
【少女は卒業しない】客席一人で悲しかった。せめてもう一人いれば楽でした。是非配信等でご覧ください。
失礼します。