「アメリカンスナイパーがどうのこうのというより、敵となる中東の人々の思いがすごく感じられました。」アメリカン・スナイパー Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
アメリカンスナイパーがどうのこうのというより、敵となる中東の人々の思いがすごく感じられました。
クリント・イーストウッド監督作品。ファンなので、かなり期待していました。
実話なのでしょうがないかもしれないけど、作風は今まで見てきた自分好みの作品と違うような感じで、見ていてかなり不安でした。
見ている間、このままだと普通の戦争映画というか、アクションヒーロー物になってしまう気がしてしょうがなかったです。
そのまま終わるのか?と思っていたら、最後の最後のシーンで、ファンの期待に答え、帳尻を合わせてくれたような、微妙な作品でした。
正義感の強いカウボーイのクリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)は、アフリカで戦う米軍の姿をTVで見て、自らも入隊して戦うことを決意する。海軍のネイビー・シールズに入ったクリスは、タヤ(シエナ・ミラーズ)と知り合い結婚。その後間もなく、イラク戦争が始まり、クリスもイラクへ派遣される。イラクで、狙撃兵として活躍したクリスは、いつしか米軍歴代最高のスナイパー、レジェンド(伝説)とまで言われるようになる。だが、敵にも射撃のシリア代表のオリンピック選手だったスナイパーがいた。二人はいろいろな戦場で、対決することになるのだが・・・?
逆の視点からは描かれていないけれど、アメリカンスナイパーがどうのこうのというより、なぜか敵となる中東の人々(この映画では主にイラクの人)の気合いが、すごく感じられました。
圧倒的に不利なのに諦めないし、自分の命をなんとも思っていないような自爆攻撃をする。
昔の日本軍の特攻攻撃とはだいぶ違っていて、組織的なものというより、かなり個別的な感じがする。
たぶん宗教が大部分で、殉教ということなのだろうけど、それだけではないような気がしました。
正しいのか間違っているのかわからないけれども、これだけ気合いが入っているのなら、なんでもアリで自由、誰に何を言われる筋合いもないと思う。(しょうがないのかもしれないけれど、他の人を殺すのは、やはりいただけないかも・・・?)
ある意味中東の人々をこんな思いにさせた、アメリカ(欧米)のせいかもしれない。
昔のマンガに例えれば、アメリカは、バイオレンス・ジャック(暴力を呼ぶジャックナイフ、現れると暴力の嵐が吹き荒れるという怪物。)だ。
そして中東は、「バイオレンス・ジャック」の関東無法地帯(地震が続き、国家に見捨てられた地区。いろいろな勢力が跋扈している。)になったような気がする。
そのうち「バイオレンス・ジャック」の中のキャラクター、スラムキングのような人が統一するのかもしれない。
そして、その人物をまたバイオレンス・ジャック(米国)が倒して、元の状態に戻るみたいなことを繰り返していくのかも・・・?