パレードへようこそのレビュー・感想・評価
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重めのテーマを優れたユーモアセンスで軽やかに描く
WOWOWで録画したのを何気なく観始めたら、これが滅法面白くてびっくり。
まだLBGTという言葉もない80年代の英国で、ゲイやレズビアンの若者たちが偏見や誤解をなくそうと活動を始めたが、思うように成果がでない。テレビで炭鉱労働者のストを見て、社会的弱者同士で連帯しようと思いつく。
同性愛の仲間たちは支援金を募り、遠く離れた炭坑町に車で届けに行くんだけど、やっぱり田舎には偏見を捨てられない人も多くて、善意をあだで返すことも起きる。それでも、少しずつ、良い方向に変わっていく。
エンディングで説明があるように、これは実話に基づく映画。今はLBGTの権利が少しずつ認められてきたけど、昔のこうした苦労の積み重ねのうえに今があるんだな、と実感させられる。
有名どころはビル・ナイぐらいだけど、味のある俳優たちがたくさん出演。特に同性愛チームはそれぞれキャラが立っていて、いとおしくなる。
革命を描いた胸が熱くなる作品
レズビアン・ゲイと活動家が力を合わせ、炭鉱労働者とその家族に支援活動を描いた、史実に基づいた作品。
ゲイも労働者階級も、サッチャー政権下で苦しむ同じ仲間だ!って理由から始まった、炭鉱夫支援同性愛者の会(LGSM)。
認めてもらえない権利や正しい仕事が無いといった、鬱屈したテーマを明るくどこかコミカルに描いており楽しいです。
でも邦題はちょっと軽すぎかな?とは思いました。
クライマックスの場が「ゲイ・プライド・パレード」なので、そのままでも良かったのでは?
活動はお金を集めるよりレズやゲイを認めてもらう方が難しく、観ていて少し歯がゆいんですね。
そんな中でも段々と理解が増えていくのはやっぱり嬉しい。
それでもやはり許せない人もいて衝突があったり、そんな中で成長があったりと、何よりLGSMの皆が主人公のように描かれているのが好きです。
そんな紆余曲折を繰り返し、何とかたどり着いたゲイプライドパレード。
その行進のシーンは、実に爽快で美しいのです。
しかもバックで流れるは、ビリーブラッグ「団結は力なり」。
これ以上ない選曲ですね。
そして皆のその後が記されたクレジット、その一つ一つが感慨深いんです。こんなの絶対涙でますよ。
全然内容は違うのですが、どこか「グッド・ヴァイブレーションズ」を思わせる胸の高鳴りがありましたね。
権利や自由を手にする。そんな革命を描いた、胸が熱くなる作品でした。
それとこれ図書館で借りたんですが、このテーマの作品が図書館に置いてあるのが嬉しいですね。
【1980年代中期のサッチャー政権下での炭坑労働者と同性愛者グループの、境遇の違いを乗り越えた友情を綴った実話ドラマ。 】
ー 冒頭、「ザ・スミス」の”スティル・イル”が流れた時点で、この映画はサッチャー政権下のイギリスで起きた事柄を描いた作品であると、推測できる。-
■1984年のイギリスで、政府による炭鉱閉鎖に対するストライキ運動が激化。
同性愛者のマークはその趣旨に賛同し、仲間たちと募金活動を実施する。
彼らはその寄付金を送ろうと炭鉱労働者団体を訪れるが、同性愛者だという理由で門前払いを食らってしまう。
ー 私事で恐縮であるが、私は中坊の頃から親に頼んで「ロッキング・オン」を買っていた。渋谷陽一氏が編集長を退いた頃である。
扱われるミュージシャンは、英国であれば”ザ・スミス”を筆頭とした当時の労働者階級に厳しい政策を行っていたサッチャー政権への批判をするバンドが多かった記憶がある。-
◆感想
・今作は、当時の英国の状況を知らない方にはやや分かりにくいシーンが多いと思う。
だが、作品の根底には今でも多くの映画の制作理由になっているLGBTQが明らかにある。当時はホモセクシュアルは不治の病であったHIVの問題があり、世間的にはキツイ状況下に有ったが、今作では彼らと炭坑労働者が結束していく様が描かれている。
・俳優で言えば、英国紳士と言えばこの人”ビル・ナイ”や若き”ジョージ・マッケイ”が印象的である。
・音楽で言えば、劇中に流れる”カルチャー・クラブ”の”カーマは気まぐれ”等の効果であろう。ご存じの通り、ボーカル、ボーイ・ジョージはゲイである。
<今作は、サッチャー政権下のイギリスで起きた、炭鉱労働者団体とゲイ解放グループの結束までの過程と、互いに偏見を乗り越えて絆を深めていく姿を描いた作品である。
だが、エンドロールでテロップで流れた通り、主要人物はHIVにより、若くして病死している。
今作は、同性愛者と、労働者とが時代背景もあり、奇跡的に結びついた作品なのである。>
わたし、これ、だいすき。 みんなで歌うシーンがあるものになぜか基本...
わたし、これ、だいすき。
みんなで歌うシーンがあるものになぜか基本弱いんだけれど、
この映画は特に最高!すごーーーく元気がでた!!
と同時に切なさも。みんなで足掻いて繋がって、人と人が繋がれるってすごくすてき。希望だ。!!
原題はPRIDEなのに
パレードへ~とか軽々しい邦題はいかがなものかと!
本来は重いテーマを笑いあり涙ありで重すぎない内容にはしているからといって
軽々しい邦題はつけて欲しくないな
社会的に偏見の目で見られていた同性愛者たちが、サッチャー政権下で苦...
社会的に偏見の目で見られていた同性愛者たちが、サッチャー政権下で苦しむ炭鉱夫を支援する。実話が元になっている。
アメリカでは同性愛者への偏見があったということを映画で知ったけど、イギリスでも同じように偏見があったのだなと。
そんな彼らがどんなに社会的にたたかれても立ち向かう姿に勇気がもらえる。
立ち向かう姿に人々が共感し、大きな力になり、人々がつくりあげるプラスの力は素敵だし、すごい。
作中で人生は短いという言葉。だからこそ人生をよりよくするため自分らしく幸せに生きていこうという気持ちになる。
暗くなるということはなく、明るくて楽しくストーリーが展開されていくので惹きこまれるし、観ていくうちにどんどん元気が出てくるようなそんな映画でした。
幸せの法則
情けは人の為ならず
そして、ピンチはチャンス。転ばされたなら、それを使ってより高く跳べばいい。
そんな知恵を授けてくれる、笑って、憤慨して、ハラハラして、涙して。そして皆とパレードしたくなる。そんな映画。
政治経済的には、手放しでサッチャー女史が悪とも言い切れないから複雑…。サッチャー女史も国を立て直すためにプライドかけてやっていたわけで…。
それぞれのこだわり=己の生き方=プライド:LGBTであること、炭鉱夫とその家族であること:が、ずんずん胸に迫ってくる。オタクとか、今の世の中、ほとんどの人が何かしら抱えているこだわりに、胸を張っていいんだよと、背中を押されている気分になってくる。
予告にある「あなたたちがくれたのはお金だけではない。友情です(思い出し引用)」。クライマックスの言葉かと思っていた。ところがどっこい、前半のスピーチ。
そこから、一転、二転…。ストーリーは大きく分けて、起承転結にきれいに収まっているのだが、”事実”を知らない私にはハラハラドキドキ、そして大笑い。ノリの良い音楽や「パンと薔薇」のような心にしみわたる歌等にのせて、グイグイ引き込まれる。
彼らの連帯の敵は、炭鉱側にも、LGBT側にも、一般ピープルにもいて…。
そのうえでのこのクライマックスとテロップで流れる後日談。ああ、一緒に歓喜のパレードをしたくなる。
最高に勇気づけられる映画。
日本の労働争議だと、自分たちの利益と権利の主張ばかりしか、耳にしないけれど、こういう連帯には胸が熱くなる。
途中で、ジョーが母に「人生で最高の…」と語る場面があるけれど、こちらまで高揚してくる。
けれど、勢いだけの映画ではない。
何度も見返していると、カップルの在り方にもジーンとくる。
「44年連れ添ったの。…あなたもそういう人を見つけて(思い出し引用)」と語るグウェン。レジー&レイやステラ&ゾーイがお互いを大切に思いながら寄り添う姿を見て、ご自身の亡くなったパートナーを思い出したようだ。
いち早く、LGBTのメンバーを受け入れたダイには、彼を理解してくれている妻マーガレットがいる。
自身が怪我してもそれよりもジョナサンを気遣うゲシン。そのジョナサンは、恐る恐る帰還したゲシンを気遣う。
反対に、夫の尻ぬぐいばかりのゲイルの、中盤の言動がスカッとする。
そして、シャンの変化に伴い、自身も変化していくマーティン。
ジェンダーで規定されたような役割に対する投げかけ。男たちが座り込みに行っているからかもしれないが、組合員としてこの組合を切り盛りしているのが女性であるように見えるところも、面白い。
そして、もう一つの基軸。
ゲシンの帰還。
ジョーのアイデンティティの自覚。
モーリーンの息子の変化。
「人生は短い。無駄にしてはいけない」
役者では、スコット氏が賞をおとりになったそうだ。
けれど、彼だけではなく、称賛したい人がたくさん。
ヘフィーナを演じるスタウントンさん。『ハリポタ』のあの教師の印象が強かったが、強気で自分の意見を押し付けるところは同じだけど、こんなおちゃめな方というのが可笑しい。賞受賞。
クリフを演じるナイ氏の抑えた中でも燃え滾る闘志、でもしどろもどろな姿も素敵。
ダイを演じるコンシダイン氏の実直さ、そして終盤のちょっと疲れの見える微妙な演技がすごい。
ジョーを演じたマッケイ氏にも賞を進呈したい。最初の坊や坊やからの成長。彼を追うだけでも『プライド』という題にふさわしい。
マークを演じるシュネッツァー氏は「君は本当に美しい」にはちょっと異論があるが、(ジェフを演じるフォックス氏がきれいすぎるから)、立ちふるまい・歩く姿は本当に美しい。受賞は逃したが、ノミネートされている。
「苦しい時、どこかで自分を思ってくれる人がいる。それが、力になる(思い出し引用)」
そんな風に思ってくれる誰かと出会えたら、それだけで生きていける。そんな誰かが現れるような生き方をしないとな。
でも、その前に、損得・見返りなしに、”誰か”を思う側になりたい。
相手の幸せのために行動すること。受け入れてくれる人がいなくても続けること。そして、少しずつ増えていく、受け入れてくれる人。それが最高の時。
そんなプライドを持って生きたい。
そんな風に思った。
エイズ。幸いにして、感染経路もわかって、予防できる病気になった。そして完治こそ難しいが、状態によっては罹患してからの平均寿命も延びた。医学の発展に寄与している方々に感謝したい。
そして、マーク・アシュトン氏のご冥福をお祈りします。
これだけの才能が若くして散ることが悔やまれてならない。もし、今ご存命なら、世界にどれだけのムーブメントを起こしていたのだろうか。
予防法が判らなかったのだから仕方がないが、命を・自分を大切にしていただきたかった。
(映画の登場人物は敬称略。ごめんなさい)
イベントでの鑑賞
マークは殺された
2015年の作品。エイズは存在するものとして語られている。
現在アメリカの研究ではエイズは死に至る病気では無いと多数の論文が出ている。
治療薬=免疫低下を招く。
製薬会社も該当する薬が認可されるとは思わなかったという劇薬だ。
つい先週そんなアメリカの本について知った。
『The Lies of AIDS 』
日本語翻訳はまだ無い。
その前にこの映画を見ていたら、見る視点が違っていただろう。この映画で心が軽くなった自分はもういない。
この事実に衝撃を受けたタイミングに星4.5を付ける。
共にパンと薔薇を要求しよう
炭鉱労組とLGBTQが手を結んで共に闘い国を動かしたという、ほとんど知られていなかった1984年の実話を取材して映画化した作品。
当時の英国社会、特にキリスト教信仰の篤いウェールズ地方では同性愛者への偏見が強く、またエイズという疾病が認知された初期の頃でもあり、皆の意見をまとめるのは容易でなかった様子が描かれる。
そんな中、真にリベラルな考え方ができる炭鉱労働のおじさま、おばさま方がカッコいい。特に「パンと薔薇」というアメリカ発祥の労組運動の歌が女性達によって歌い上げられる場面は感動的だった。
このような骨太の内容を愉しく仕立てた脚本、演出が見事だと思った。
素直に感動出来る
《お知らせ》
「星のナターシャ」です。
パソコンを買い換えて諸々操作しているうちに
うっかり前のアカウントが引き継げない状態にしていまいました。
前のアカウントの削除取り消しもできないので、
これからは「星のナターシャnova」
として投稿して行きます。よろしくお願いします。
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イギリスの労働者映画の名作
『フル・モンティ』、『ブラス!』、『リトル・ダンサー』等に続く
観て笑えて、考えさせられて、最後に感動が押し寄せる映画。
性的マイノリティーを扱った題材でいつも思うのは
相手がゲイだからって、
「すぐに自分が狙われると勘違いするムサい男ども!」
真っ直ぐでストレートなおばちゃん達に
「あんたがそんなにモテる訳ないでしょ!」と一喝!される。
本当に痛快だわ!!
宗教的な事も相まってキリスト教社会では
日本人が思う以上に同性愛者への偏見が激しい。
この手の映画を観るといつもそう思う。
同じ人間同士、共生する道をこの映画は教えてくれる。
社会的弱者だから自分たちは助けられて当たり前!
ではなく、弱者でも自分に出来る事で
誰かのために努力する。
その心がやがては相互理解に繋がる。
こんな風に書くと説教臭く思うかもしれないけど
この映画はそんなところ、微塵も無い。
兎に角楽しい!
本年度私的ベスト5入りは確実です。
偏見や差別の無い社会へようこそ
サッチャー政権下の1984年のイギリス。
炭鉱夫たちによるストライキ。
イギリスの労働者階級の実態を描いた作品には秀作多いが、本作はユニークな味付けが。
炭鉱夫たちを支援したある団体が居た。
“LGSM”=“レズとゲイの会”。
イギリスで実際にあった感動的な実話に基づく物語。
発案はストライキのニュースを見た一人のゲイの青年。
あれよあれよという間にゲイやレズたちの賛同者が集まる。
無論彼らの動機は、目立ちたいとか自分たちの立場を変えたいとか己の欲は皆無で、ただ何かの力になりたいってだけ。
本当に純粋な善意。
でも、それが通じない世の中。何故なら、アイツらはゲイやレズ連中だから。
支援して貰ったりすれば、笑い者になるし、ヘンな関係でもあるんじゃないかと思われる。
せっかく集めた基金もことごとく断られ、LGSMの活動はなかなか進展せず。
そんな時、ウェールズ地方の炭鉱町から初めての受け入れが。
早速赴く。
のどかな田舎町。代表者は実はゲイとレズの活動団体とは知らなかったそうだが、それでも彼らの善意を受け入れてくれた。
見知らぬ人たちからの好意は何と心強い。
…が、全員がそうではない。
まるでバケモノかビョーキを見るような目、目、目…。
偏見と言われても、これが現実だ。
町では、受け入れる側と断固とした偏見/差別側で対立。
LGSMの面々は、支援を受け入れてくれたお礼として、コンサートを行うが、言うまでもなく町や個人個人にひと波乱が…。
紳士の国と言われるイギリスだが、こんなにもゲイやレズへの偏見/差別が強いとは…。
そういや、『イミテーション・ゲーム』のアラン・チューリングの事を思い出した。その昔、イギリスでは同性愛は罪に問われた事を…。
まだまだ寛容が薄かった時代。
抵抗は勿論あっただろう。
が、ひと度知り合えば…。
ノーマルな人たちより優しさや人間味に溢れている。
社会に虐げられる辛さや悲しみ、苦しみを知っているから。
そんな経験をした人たちは、決して他人に同じような仕打ちはしない。
それが、“人”ってもんだ。
中盤のコンサートでの合唱が心に残る。
皆の交流が深まったと言える瞬間。
劇中彩る80年代のヒット・ナンバーも魅力。
イメルダ・スタウントン、ビル・ナイらベテランの好助演。
シリアスになりがちな題材を扱いながらも、ユーモアで包み、この交流や友情を温かく。
偏見や差別の無い社会へ。
5点をつけないと後ろ指をさされそうなテーマ
同性愛者の権利という、5点をつけないと後ろ指をさされそうなテーマですが、私は人目を気にしない馬鹿なので1点をつけます。
1点を付けたからといって別に同性愛者は嫌悪はしてません。単に演出や構成も下手で良質なエンタメとはいえず、つまらないから1点です。
人生は短い。誇りを持って生きるということ。
ストライキを起こす炭鉱労働者たちと同性愛者たちの友情を実話を元に描く。
キャラクター一人一人が愛らしい。きっともっと重々しく描くこともできた題材を人と音と服が鮮やかな色付けをしてくれてとても観やすい作品でした。
人を変えられるのは人だ。
自分を勇気つけたい時にまた観たい一作に出会いました。
2回目も泣けた〜!
単館モノだったから、わざわざ新宿か銀座まで行って観た時もエライ感動したのに、レビューを残してなかったので、地上波オンエアきっかけでまた観ました。
やっぱり名作は何度観ても泣けますわ〜…>_<…。最後のパレードが素晴らしかったし、性的マイノリティ達の優しさと勤勉さ。あの集めたお金を見たら、誰だって文句言えないでしょ。
21歳のジョーの誕生日のシーンもいいな。あの子、「はじまりの旅」でしっかり者のお兄ちゃん役やってた時も引き込まれたなぁ。
80sはラジオ番組でもしょっちゅう特集されてるくらい、日本人の大好物な時代、あの時のカラフルな感じもしっかり伝わる、キュンキュンさせる映画でした。
マイノリティの強さと団結する温かさを感じたい方に強くお勧めします。
ウェールズの女たち
主要な登場人物をバランス良く描写し、特にウェールズの女性がお婆ちゃん集団が魅力的だった。
炭坑夫の男たちは頑固で基本的に詰まらない思考な連中で女たちは理解があって頭の柔らかい逞しい感じが素敵。
悲惨な描写が無く結構スムーズに描かれているが人が他人の為に人間は優しい生き物だとシンプルに思える作品だった。
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