「邦題があながち悪くもない珍しい例」博士と彼女のセオリー ハルさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題があながち悪くもない珍しい例
異なるものを統一する理論、それは相対性理論と量子力学だったり理系と文系だったり男女だったりであり、さらには男や女同士でもある。原題のEverythingにはそうしたものが込められているから、堅苦しく「万物の」とするよりも良かったのかも、と思える。
才能ある二人は出会いそして別れるがそこにはお互いの思いやりがあるだろう。常人にはうかがい知れない葛藤もあったはずで、しかしそのあたりは饒舌ではないのも良い。いわば才能を伸ばすための適材適所であり、原作を書いたジェーンの自己弁護だけに見えないのが素晴らしい。そういう本だからエディはオスカーを獲得できたとも言えそう。
時間をテーマにするのも示唆に富む。あのタイミングでの出会いがなければ後の献身と栄光はなかった。そして行き違いも。万物は始まりがあって終わりがあるが、その過程で生み出されたものがさらに次の世代へと繋がっていく。ミクロとマクロ、科学と宗教‥‥色々と考えさせられる。
統一理論を求めて成功と挫折を噛み締めた二人の物語は予想以上に感動的だった。
コメントする