壊れた心のレビュー・感想・評価
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芸術への投資と想像力の鍛錬を促す野心作だ。
ストーリー性が希薄、セリフは皆無、オール・フィリピンロケ、等々の理由から配給会社が付かず、クラウドファンディングによって日本公開が決定したという。しかし、愛に取り込まれたマフィアのボスが放った殺し屋が、肝心の女と恋の逃避行へと舵を切るプロセスを、監督(&俳優)が操るハンディカムがただゆらゆらと追い続ける物語は、頭より心を刺激して、何とも言えない映像的快楽をもたらしてくれる。昨今の説明過多な日本映画とは対極にある作品は、同時に、色彩に溢れた頽廃都市、マニラの極彩色を映し出してカラフルこの上ない。プリントのシャツとパンツをだらしなく着た浅野忠信(本作でもセクシーだ)が、ピンクとブルーに塗り分けられた墓地に迷い込む場面など、めくるめく万華鏡のようではないか!?そして、それらが完璧に計算し尽くされた演出と分かる時、作り手たちの高いセンスに舌を巻く。芸術への投資と想像力の鍛錬を促す野心作だ。
もっと注目されるべき意欲的な映像作品
浅野忠信が演じる殺し屋がマフィアのボスの女と愛し合い、逃避行へ。筋はシンプルだが、手法がユニークだ。 台詞を排し、音楽と詩の朗読で感情を伝え、ムードを牽引する。撮影監督はお馴染みのクリストファー・ドイルが務めたが、浅野自身も腕のギプスにはめたGoProのアクションカムで狭い路地を突っ走る姿を「自撮り」する。追っ手から逃げているのに何やってんだという話だが、この不自然な状況での自撮り映像が意外とリアル。こんなショットを放り込んでくるフィリピンのケビン・デ・ラ・クルス監督、要注目の才人だ。 監督は劇中曲の多くを作曲し、ピアニスト役で出演も。浅野もまた、劇中で打楽器やギターを奏で、吹き替えでなく演奏がそのまま使われている。2人が音楽家としても通じ合う部分があったのかも。ノワールという言葉で評される本作だが、裏社会で愛を貫く男女の潔さ、闇を越えた先の輝きが心にぬくもりを残してくれる。
あまり理解できませんでした
こういう感じの映画を初めてみました。 この映画はナレーションの無い殺し屋の密着映画と感じました。 現代映画で当たり前にあるセリフがこの映画にはほとんどありませんでした。つまり話の筋が映像と雑音と時折流れる曲からしかわからない、つまり臨場感があまり感じれない部分が多かったです。ただ、一部のシーンでは実にリアルに感じ取れる部分もありました。 この映画の良かった点は、映像がリアルで現実に起こりえることを題材だったことです。悪いと感じたところは、映画の中に音声が乱れている部分があり、それも作品の一部なのかはわかりませんが、良いとは思いませんでした。場面の移り変わりでもいきなり派手な演出をしますが、あまりストリーと関係があるとも思えないのでただ心臓に悪いぐらいでした。カメラワークが一台しか無いかのような動きでカメラはほとんど動いていました。(もちろん定点カメラもあります。) この映画は理解しにくいというのが感想です。現地では当たり前の風習やそういう作品かもしれませんが、もっと様々な映画を観ればわかりやすくなるのかな?
会話のない映像が見せた 恐ろしい世界は本当に怖かった
会話が無音ということで意識はとても映像にいく 映像は暴力的だがどこか魅力的で不思議な世界観 だった。浅野忠信の自然に怖い演技は本当に怖かったです。
壊れてる?
ほぼセリフや会話はなく映像と音楽でみせる作品。 ストーリーはあるけれど、根幹のところに触れることはなく、今起きていることをみていく感じ。 映像と音楽で芸術的にみせたいのだろうけど大した深みはなく、又、劇中歌を多用しその歌詞で状況説明をし過ぎている。 まあこんなもんかなと鑑賞していたが…大したセリフではないけれど、終盤で殺し屋に喋らせてしまったところで頭の中が??? こんなんならちゃんとストーリーとセリフと演出を練り込んで物語をみせて、ところどころシュールな描写を差し込んだ方が良くないか? 良い作品を撮りたいというより、評価されたいって感じですか?
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