惑星ミズサ

劇場公開日:2014年10月18日

解説・あらすじ

うだつのあがらない青年が、宇宙人を自称する風俗嬢に恋をしたことから、地球が奇妙な事態に陥っていく様を描いたラブストーリー。田舎町に生まれ育ったヨシスケは、日常に変化を求め、軽い気持ちで風俗店に足を運ぶ。そこで知り合った風俗嬢のミズサと何度か会ううちに、ヨシスケは彼女に特別な感情を抱くようになる。ミズサは「自分が風俗を辞めると地球が滅亡する」というが、ヨシスケの頼みで風俗を辞めることに。すると、謎の黒い物体が地球を覆い始めて……。深川栄洋や筧昌也の現場で映画制作に携わってきた、佐藤竜憲監督のオリジナル作品。ヒロインのミズサ役を「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」「鈍獣」「横道世之介」など話題作に多数出演する佐津川愛美が演じた。

2014年製作/96分/日本
劇場公開日:2014年10月18日

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映画レビュー

3.5 「あんたバカァ?」で外れるか?

2022年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 提灯を作る小さな工場。オープニンだけ見ると一級品の芸術映画の趣さえある。最初に入店したときは雑談しただけで時間が来てしまったが、帰りの最終バスに乗り遅れ、ぼんやり歩いていたら、指名したミズサが自転車で送ってくれると言う。

「君って何者?」
「宇宙人」

 ふわーっとしたエセ関西弁のミズサ。謎めいているが、風俗嬢の過去を問うのも失礼だ。互いに好意は抱くものの、一定の距離感を保っているヨシスケとミズサ。何度かデートもするが、それは「一緒に遊ぼう」というこども感覚のものだった。この距離感こそがダークマターとは言えまいか。目には見えない暗黒物質。理論上存在することはわかるが、直接観測は出来ないモノなのだから。それぞれの人物が惑星だと考えたほうが伝わりやすいかもしれません。

 田舎道にある伝言掲示板が通信手段。それでも確実に相手に届く。そして畦道とプラネタリウムという不釣り合いなデート場所。そして彼女はミステリーサークルを作り、人々を驚かしたりする。一方、ヨシスケは死んだと思わされていた父親にパチンコ屋で遭遇。もうこれは第3次接近遭遇だ。

 元野球部の先輩大野や、幼なじみのヒカリ(入来茉里)の存在もストーリーの中核にあるはずなのにそれほどの変化がなかったり、中盤以降はユルい展開のドラマとなっているのが残念なところ。予算がもっとつけばパニックに陥る人々だって描けるのだろうけど、このユルさが宇宙人ミズサから発せられたものとも言えるのかもしれません。

 この監督の作品をもっと見てみたいのに、これ一本だけなんですね!エロいかと思ったけど、全くだったし、むしろ田舎町によくある閉塞感と田舎を飛び出せない小胆さによってノスタルジーを感じることが出来る。キム役宇野祥平も味があるし、リリー・フランキーも雰囲気よし

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kossy

5.0 ファンタジーなのに不思議とどこか懐かしい

2021年12月19日
PCから投稿

ああいう独特な世界観は監督の好みなのかなぁ。
漫画っぽいけどリアルで、不思議な気分にさせてくれる映画で自分は好きだった。

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ronron

3.0 タイトルなし(ネタバレ)

2020年9月30日
スマートフォンから投稿
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collectible

5.0 恋愛の正解は難しい。全ての"逆上がりができない男子"に捧ぐ!

2015年12月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

田舎町。ミステリーサークルが現れる。のほほーんな雰囲気と、なんだか若干の不穏さ。閉塞感と、お洒落感。不思議なムード。
提灯屋の息子のヨシスケ(藤岡英樹)は、ふらっと入った風俗店で、ミズサ(佐津川愛美)という風俗嬢と出会います。
ミズサは関西弁の可愛い女の子で、自分は宇宙人だと名乗る。しかも風俗嬢としてHなことをし続けるのは、地球を救う為だと告白してきます。Hなことを止めると、地球が滅亡してしまうのだとか。
でも、なんだか不思議な魅力のあるミズサが、気になるヨシスケ。
田んぼのあぜ道に立っている掲示板で言葉を交わすうち、ヨシスケはミズサのことを好きになるんです。
当然、こう言い出します。
風俗嬢を辞めて欲しいと。
ミズサが風俗嬢を辞めて暫くすると、本当に得体の知れない黒い物体が空を覆い始める……。
びびったヨシスケは、ミズサにこう言います。
「風俗嬢に戻ってくれ」

ラストで、リリー・フランキー演じる風俗店主が「逆上がりはできなかった」と言います。
店長は常々、地球最後の日には子供の頃にできなかった「逆上がり」をするって宣言してたんです。
黒い得体の知れない物体を見たのでやってみたけど、できなかった。
風俗嬢に戻ったミズサは、それを聞いて涙を流します。
この涙を見て、ミズサってやっぱ宇宙人で地球を救う為に風俗嬢に戻ったんだ!
って思うのには、私はちょっと年を取り過ぎています。
つまりですね。
ミズサにとっての"世界の終わり"と"逆上がり"ってなんだったんだろう?ってことです。
過去につらい経験をした女性には、それぞれに正解スイッチが存在するってことなんです。
そこを押されないと、どうしても怖くて前に進めない。
ミズサの場合の正解は、「お前が他の男に抱かれるくらいなら、地球なんか滅びてもかまわん!」
だったんじゃないでしょうか。
一緒に滅びよう。風俗嬢に戻らんでもいい!
そうすればミズサは、王子様に戻ったカエルになれたような気がします。
であれば、空を覆う得体の知れない黒い物体の正体は、風俗嬢のミズサの過去を受け入れることができない、ヨシスケの心に広がった不信感のメタファーだったのかも知れません。
人によってはこの真っ黒のものが、嫉妬であったり、束縛であったり。
人を恋することで生まれるのは、決して綺麗な暖かいものだけではなかったりします。それこそ、キャッチにあるように「ぐるぐる」する感情だったりします。
風俗店主も、誰かを恋したのでしょう。
心に広がったネガティブな感情を目の前に、子供の時にはできなかったことを乗り越えようとした。けど、できなかった。
いくつになっても、乗り越えられない。
恋愛の正解は難しい。
私も、逆上がりがなかなかできないです。

予想以上に、じわじわくるお話でした!
テイク・シェルターに、エンド・オブ・ザ・ワールドを足したような、不思議な世界観。
脚本・監督が、佐藤竜憲さん。本作が初長編監督のようですね。公開までは東日本大震災とか、出資者が姿を消したりとか、そうとう難航したようですね。公開まで4年かかったようです。
佐藤竜憲監督、注目していきたいと思います。

※ただミズサの関西弁が下手くそで、うち、ちょっと笑ってしまうねん!
あ、熊本出身です。すみません。

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ジャージー夫人