起終点駅 ターミナルのレビュー・感想・評価
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本編とはあまり関係ない感想
まず序盤に出てきた演じる場末のスナックのママが妖艶過ぎた。あの雰囲気は尾野真千子の右に出る人はいないと思う。
そして元地元民ならではの感想。
鷲田完治は急な用でない限り徒歩だった。
特に理由は語られないのだが、なかなかあり得ないと思う。
そこで考察してみる。
1.健康の為
2.ガソリン代節約
3.駅前の市場(和商市場)のあたりは駐車しづらい
1.はあまりに必然性がなくなるのでパス
2.もどこか(国)からガソリン代くらい出ると思われるのでパス
となると3.以外自分は考えられなかった。
食でしか喜びを見つけられなかった鷲田が車通勤を捨ててまで和商市場を選んだのだ。
食の喜びを市場で見つけてくれたことは少し嬉しい。
あといろんな釧路の場面があったが幣舞橋(ぬさまいばし)ほど釧路を象徴するものはないなぁと思った。郊外の方がにぎやかではあるんだが、30代の自分にはあの橋が釧路だね。
テーマが重たいけど
過ち
原作未読、国選弁護人と人探しを頼む女の話しということ以外に予備知識がない状態で鑑賞。
冒頭の過去の話しでなんだこの人大丈夫か?と不安になったけど…自戒から面倒臭いぐらいのつまらない堅物に変貌。
女の子の境遇を励ますことにより自分を見つめ直し人間らしくなって行く様が良かった。
終始ゆったりしたテンポで大きな話の変化はないけど、切なく温かく気持ち良くみられるなかなかな佳作だった。
半分寝てしまった・・・
原作にちょっとした肉付けを施した作品
原作は1時間弱もあれば読める短編。映画本編は、ほぼ原作に沿った内容になっており、台詞も原作を忠実に使用している場面が多い。
それでも多少は原作を脚色している箇所が見受けられ、最後には重要な脚色もされている。そして原作には登場しない人物も居れば、観客に向けて重要なキャラクターとして印象付ける為に、その性格や存在を肉付けされている人物も居る。
映画は冒頭、主人公の佐藤浩市が雪の降るプラットフォームで佇んでいる場面から始まる。
たしか原作では、極寒の地である釧路の海の、冷たい風に立ち向かう様な描写から始まっていたと思う。
その後昔の出来事が描写され、尾野真千子演じる昔の恋人との悲しい別れとなる。
この辺り、実は原作では最初には書かれていない。
原作では、国選弁護人として本田翼演じる若い被告人を弁護し、その後若手の判事補に今は関係を絶ってしまった自分の息子の事を聞かれ、その際に自分が弁護した女と、昔の恋人とがシンクロして昔の出来事を思い出す。
昔の自分と、若い判事補。昔の恋人と、自分が弁護した女。
この2つはそれぞれシンクロしているのだが、特に後者に関してはかなり重要な意味を持っている。
昔の恋人の心を、理解してあげられなかったばかりか。彼女を助けてあげられなかったとゆう苦い過去。
その為なのか?、まるで一生を掛けての、罪の償いをしているかの様な人生を送っている。
そんな男の気持ちを、まるで見透かすかの様に登場するのが、中村獅童演じるビジネスやくざ。
原作では2度登場するのだが、映画本編では3度登場する。
彼は主人公である佐藤浩市が、何故若くして辛い想いを抱え、北の僻地で隠遁生活の様な暮らしをしているのか?観客が抱く疑問点を教えてくれる存在として、強く印象に残る。
原作では常に冷たくあしらわれるのだが。この男の3度目の登場により、主人公が抱えていた苦悩が、やがて希望へと昇華する。
この最後の場面は原作には無く。タイトルである【起終点駅】としての相応しい締め方だったと思う。
この2人が口の悪い言い合いをしていながらも、実はお互いに社会から、何らかの疎外感の様なモノを抱えていたかの様な、共感意識を共に持っていたのかも知れない。
この際の2人のやり取りと「闘え!鷲田完治」…のエールによって映画に少しばかりのスパイスを振りかけていた。
そして原作には無い1番大きな変更点として挙げられるのが、息子からの手紙。
原作では電話の場面を含め、実に素っ気ない対応に終始していた。
やはり文章で表現される小説だと、様々な想いを巡らせて考えるのだが。ダイレクトに映像が飛び込んで来る映画だと、この主人公の息子に対する応対の仕方では、長い年月を費やして来た男の心の苦悩は、多くの観客に理解して貰えないと思える。この脚色は正解だったのではないだろうか。
その為に、原作には無い隣人の親子も登場し。この主人公が、親子の大切さを教えられる場面になっている。
原作ではこの主人公は1人暮らしの為に、仕方なしに数多くの料理を覚える様になる。色々な料理が原作には登場し、それは映画でも同じなのだが、映画本編では特にザンギ(唐揚げ)が映画を象徴する料理として紹介される。
本田翼演じる若い被告人を家に向かい入れるきっかけでも有り。熱を出して寝込んでしまう彼女に、元気になって貰う為に料理を作る。
他人の為に…。その気持ちが芽生えた事によって、これまでと違い、この主人公が少しずつだが、人間味を取り戻して行く事となるのだ。
と…これまで原作には無い脚色として良い点ばかり挙げて来たが。脚色した為に原作では特に描写していなかった為に、逆に映画では疑問点として残ってしまっているのが、本田翼の両親と従姉妹の最期。
兄弟夫婦が居なくなっているだけに、事件?事故?だったのか。それとも心中だったのか?…と。
この本田翼の年齢設定は、原作では30代になっている。これは昔の恋人と同じくらいの設定でも有り、彼女を支える事で昔の恋人に対する、ほんの些細な罪ほろぼしの様な意味を持っているのだが…。
残念ながら映画では、原作よりも10歳くらい若い本田翼が演じる事で、その原作にて意識されているシンクロ性は薄らいでしまっている。
他にも予告編では目立っていた泉谷しげるだが、この人物は原作には居ない。ところが映画本編では全く「あれ?居たの!」って感じで実に残念。
逆に尾野真千子は、映画の序盤に少しだけしか登場しないのだが、彼女が佐藤浩市に別れを告げる瞬間のショットの凄さ:美しさは、まるであの高倉健主演作『駅 STATION』に於けるいしだあゆみの敬礼ポーズの様な輝きを放ち、少ない出演場面にも関わらず、その存在感は際だっていた。
だからこそなのか?ファーストシーンで、佐藤浩市が『鉄道員』での高倉健の様にプラットフォームに佇んでいる演出意図だったのならば、ちょっと薄っぺらさを感じてしまうのですが…。
それでも、個人的にですが。この数年間の篠原哲雄監督作品はいまひとつかな〜、と思える作品が続いていたのですが。久しぶりに本領を発揮していたと思います。
行間を読み説く様な間を始めとし、日本映画らしい日本映画の佳作と言える作品だと思います。
※ところで予告編だけを観ると。若くて可愛いファザコンの女の子が、佐藤浩市に恋してしまう恋愛映画…かの様に作られている。
実際は観て貰うと全然違うのですが。思わず「羨ましいなあ〜佐藤浩市!」…とばかりに、ついつい観に行ってしまうおじさんが多いんじゃないかな。
まさにおっさんホイホイ的な巧妙さでありました。
あ?俺もその1人か(笑)
(2015年11月8日/TOHOシネマズ府中/スクリーン6)
観に行って良かった。
良い映画でした。
佐藤浩市さんの自然な演技に引き込まれました。
若い頃の再会した女性の元へ行く抑えきれない気持ち、女性死後、年齢を重ねた冴えない弁護士、一人暮らしの物寂しい生活感やヨレたスーツ。少し猫背なところとか、細かいところまで自然で本当に素晴らしかったです。
イクラを涙ながらに食べているシーンは、自然と涙が溢れてしまいました。
息子さんは電話の声からの登場だったり、同級生だった後輩弁護士からの思い出話でしたが、お父さんを想う手紙のシーンなど、息子さんの映像は少しでしたけど、とても存在感ありました。
本田翼ちゃんも、いい演技してたのではないでしょうか。正直これは意外でした。でもいつもと違う静かな演技や、たまに魅せる若い女の子のやんちゃな所が出ていて、なかなか良かったです。佐藤浩市さんのお手製ザンギで良い笑顔してました。
とても食べたくなったので、今夜はかくし味にウスターソース入りのザンギにします。
良い映画観られて良かったなー。
日本の素晴らしい映画!て感じでした。
「起終点駅」を観て・・
原作は直木賞作家の桜木紫乃の短編小説。舞台は道東の釧路。時代背景は平成26年の現代。65歳の弁護士は、30年前のある事件が今の生き方に繋がっている。
映画では、佐藤浩市が主演である。
ここからはネタバレになるかも・・
学生時代に別れた彼女と、34歳で旭川地裁の裁判官をしていた頃に再会する。
彼女と昔の仲に戻り逢瀬を続ける彼は、妻と4歳になる子供と別れることを決心する。
そして彼女と一緒に駅のプラットホームに立つが、彼女はホームに入る列車に飛び込んでしまう。
ここから彼の国選弁護しか引き受けない釧路での弁護士生活が始まる。
作品のストーリーは、覚醒剤所持で執行猶予中の若い女と関わっていく。
映画では小説よりも全体的にやわらかい暖かい感じがした。
息子の結婚式の招待状に戸惑う様子もよく表れていると思った。
小説では結婚式に欠席するが、映画では自ら漬け込んだイクラを持参して、東京の結婚式に向かう。
映画での息子の手紙に「僕のお父さんはひとりだけですから」と書かれた内容にジーンとした(涙)
静かでゆるやかな感動
いい映画
ほっこりとします。
昔の日本映画のような作品
確かに行間を読む作品ではあるが、これは懐かしい日本映画の感覚もある作品。
昔なら〈高倉健〉さんがやってそうな雰囲気がある。
最近、白髪頭で見るようになった〈佐藤浩市〉が渋い。
白髪頭になったら随分と役者の貫禄があって黒髪よりも白髪にした方が良いと思えるくらいにスクリーンでかなり映えていた。
こういう頑固だけど優しい役が合うね。
ヒロインの〈本田翼〉は、ぶっちゃけ下手。頑張ってはいるが、難しい役だったかなと思う。でも今作で悪い印象かというと、そうでもなく、今作、心の闇の部分を描いていて、まあまあ重いんですが、この子が明るいと重い雰囲気を少し和らげているので悪くない配役だと思ったかな。
ほとんど2人芝居で中村獅童は「いるか?」と思ったが、脇役も好演。
あと、今作、食べ物が凄くうまそうなんですよね。
まず、北海道が舞台で、イクラが出てきてる時点でヤバいが、ザンギという唐揚げが寒い雰囲気の中に暖かみがあり、めちゃくちゃ上手そうなんだな…
しかも、ただ美味しそうなだけでなくストーリーにも絡んでいく。
最後は静かに熱くなり、静かに感動した。
とにかくテンポはゆっくりで地味ではありますが、良い作品でした。
感動しました
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