「新たな攻殻の幕開け」攻殻機動隊 新劇場版 竜虎さんの映画レビュー(感想・評価)
新たな攻殻の幕開け
攻殻機動隊の新シリーズ劇場版
当初はSACから声優も変わったということで抵抗を覚え見てませんでした。
でも偶然CS放送で1作目を見て、これは面白いと思いそこから一気にレンタルで見てそのあと3作目、4作目は劇場鑑賞。
そしてやって来ました新劇場版!
今までの4作を通して生まれた謎と集めた仲間が素子という人間を軸に絡み合う展開はとてもスリルと興奮があって楽しめました。ここで特に9課が一つになる過程でのそれぞれの掛け合いや行動は、違うシリーズでは完成された形でしか描かれていなかったチームとしての9課のバックボーンを補ってくれてとても新鮮だった。
また電脳と義体のビジネスとしての弊害が述べられたのも今までにない挑戦だが、そこに企業が介在する限り必ず生まれる利益追求と切り捨てられる存在はある訳で、逆に何故いままで取り上げられなかったのかが不思議なぐらいマッチしていた。
他にもロジコマのシリーズ通しての成長や、今まで以上に9課の人員それぞれに見せ場が用意されている点、所々に見られる前シリーズへのオマージュなど、攻殻機動隊として見たかったものがキチンと見られた劇場版だったように思う。
特に最後のシーンとエピローグにかけての素子の描写はニヤリとせざるを得ない笑
ただ、幾つか制作側としてやりたい事は分かるのだが作品の背景として説明不足な点も見られて、そう言った意味でこれまでのシリーズのような敵というか相手側の心理描写なども細かく描いて欲しかった。
これがこれまでの攻殻機動隊にあって、今作には欠けていた点だろう。
まあ、これで今シリーズも一段落したわけだが、今回のおかげで攻殻機動隊の世界はまだ拡がる余地があることが証明されたと思うので、ぜひ今後の展開も期待していきたい。