解説に書いてあったアルゼンチンのブラックコメディ
アルゼンチン「タンゴ」という言葉と「治安の悪い国」という言葉は、まさに自国に対する自虐的セリフ
この「人生スイッチ」というタイトルの元、「おかえし」というサブタイトルで2話 「パンク」 「ヒーローになるために」 「愚息」そして「ハッピーウェディング」の合計6話のオムニバス ショートショート
さて、
何気なく日常の中で生活していても、誰しもがどこかにずっと抱え込んでいる不満や怒り、不服などがある。
この部分にある日スイッチが入ってしまったことで、満たされない気持ちに対する爆発的な行動を表現したのがこの作品
ラストの物語を除き、5つの物語はすべてブラックで締めくくられる。
この意味することろは、このスイッチが入ったことで短絡的に行動すれば、結果は火を見るより明らかだということだろう。
①「おかえし」
登場しない主人公によって、過去の恨みつらみのある人物たちをすべて道連れにするという行為と顛末
②「おかえし」
若干ひねってあるこの物語だが、主人公のウエイトレスよりも男に強い恨みがあったのが、同僚のシェフのおばさんだったのだろう。
そのオチそのものは大したことはない。
③「パンク」
些細な交通トラブルから始まった殺し合い 二人の遺体を見た消防士
「心中でしょうか?」
この言葉にあるブラックユーモア なかなかだった。
④「ヒーローになるために」
発破作業員の男が勝手に持ったレッカー移動に対する不服
最後に車に仕掛けた発破 レッカー移動を見ながらとる朝食
彼の思考 行政に対する怒り それに同調する人々のヒーローがこの顛末
異常だが、これが人間なのかもしれない。
⑤「愚息」
バカ息子が起こした事故 その身代わりに使用人を身代わりにさせる。
使用人は子供を殺した犯人として、その身内から狂気で殴られ死亡する。
この2極化した社会に対し痛烈に風刺している。
⑥「ハッピーウェディング」
披露宴会場に見た夫の友人たちとその中にいた浮気相手
このことが花嫁の気分を一気に興ざめさせる。
屋上 飛び降りたい気持ち そこにいた厨房スタッフの慰め そしてSEX
探しに来た夫が見た光景 そして逆襲の執念に目覚めた花嫁の恐怖の言葉
パーティをめちゃくちゃにして浮気相手をミラーの中に叩き込む。
二人で血まみれになってもまだパーティを止めない。
夫はついに降参するように崩れ落ちる。
やがて夫は立ち上がると妻の手を差し出す。
一周まわっての復縁
そのあまりに強烈な愛欲行為に、全員会場から出てしまう。
この先後の話だけ、人生スイッチが2度入ったと思われる。
スイッチが入ってやりつくしてしまえば、また再スタートとなるのだろう。
トータルとして、なかなか面白かった。
ただ、個人的にはブラックよりもより心を揺さぶられるような感動が欲しい。