「背景がきれい」駆込み女と駆出し男 げんさんさんの映画レビュー(感想・評価)
背景がきれい
駆け込み寺の人情物語で
東慶寺という神聖な場所とまわりの俗世間との接点のお宿での
お話.このお宿は,家裁の役目みたいなものも行っている.
当時は,女性の側から離婚の申し立てはできなかったようだが
寺で修行することで離婚できるようになる.らしい.
しかもそれは結構強力で,夫の側が拒否できない力がある.
私は歴史には詳しくないが,水野忠邦,鳥居耀蔵という天保の改革
を行った人々がかなり否定的に描かれている.悪役と言ってよい.
現代の日本もまた,改革疲れでまぁいいかな空気が流れているが
その対比が面白い.
井上ひさしが原作だということで,さもありなんである.
この人は,ガチガチの農村思想の持ち主である.天保の改革のような社会改革はたぶん嫌いだったのであろう.
歴史,特に現代史を研究すれば,いまの日本のありようもすこしはクリアに見えるようになるのではないだろうかと思った.
人間は同じようなことを繰り返している.
国宝でロケを行ったのかしらないが,竹林や庭の場面がすごく綺麗に撮られている.
時代劇であるが,江戸時代は暗かったため,テレビだとどうしても照明が必要でわざとらしい絵になる.江戸時代の暗さを表現するには映画館とプロの照明がとる絵がどうしてもひつようだ.
全体としてこの映画は美しい絵でできている.
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