「今後が楽しみな大泉洋。」駆込み女と駆出し男 bashibaさんの映画レビュー(感想・評価)
今後が楽しみな大泉洋。
この監督は、過去に「栄光と狂気」などという凡作を撮っていたので、観る前に若干の不安がありました。しかも、大泉洋が主演で原作が井上ひさし、とくれば、かなり破綻した喜劇映画なのでは、と期待よりも怖さの方が勝っていました。しかし、実際は大きく違っていました。喜劇的要素もありましたが、かなり、シビアな内容となっていました。黒澤明や小林正樹の時代劇にも引けを取らない素晴らしい仕上がりになっていました。今年になって、観た日本映画(特に「味園ユニバース」や「ジヌよさらば」など)があまりにも酷い出来だったので、この映画は私にとって、大きな収穫となりました。今後、大泉洋は日本映画界を背負っていく存在になるでしょう。今まで、日本映画界にはなかった極めてユニークな地位を築くことができる貴重な役者です。また、おちゃらけた印象しかなかった戸田恵梨香もなかなか演技も達者であることを知ることができました。
気ななったことがありました。最初、歯を黒く染めていた満島ひかりが途中から、白い歯になっていたことです。御歯黒は一度、染めてしまうと一生、そのままである、と聞いています。単なる演出上のミスなのでしょうか。それとも、私の認識不足なのでしょうか。折角のいい映画にケチがついてしまったようです。その一点が残念でなりません。
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