「良い意味で親切ではない」駆込み女と駆出し男 えのきちさんの映画レビュー(感想・評価)
良い意味で親切ではない
『駆込み女と駆出し男』を鑑賞。
大泉洋主演の最新作で原田眞人監督初の時代劇との事。
時は江戸時代、男から離縁する事はあっても女から離縁は出来ない時代。離縁を求める女たちが駆け込む縁切寺、東慶寺を舞台にした物語。
大泉洋が主演との事で、コミカルな役作りと軽快な話術で楽しませてくれるだろうという軽い気持ちで鑑賞すると確実に面食らう。
映画としては当然だが、言葉使いや単語は江戸時代のそれであり、補足説明らしきものは一切ない。
古典的なセリフも多く、理解しにくい(もしくは出来ない)やり取りが非常に多い為、折角の細かいディテールが理解されずに終わってしまう可能性があるのが残念。
時代劇としてはかなり本格的で映像や言葉遣いまでかなり研究されているのだが、その辺を意識せず大泉洋や満島ひかり、戸田恵梨香観たさに鑑賞してしまうと、全体の半分程度しか理解できない可能性がある。
それでも、観客にある程度の満足感を与えられるのはやはり大泉洋の力と言わざるを得ない。
口数が多く喋りすぎるのだ現代劇を思わせてしまうが愛敬で許せてしまうところは流石である。
近年色々と親切になり過ぎているので、たまにはこんな観客を突き放した作品があっても良いのではないかと思う。
時代劇としては良作であった。
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