「理想のリーダー。」ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション ko_itiさんの映画レビュー(感想・評価)
理想のリーダー。
イーサン・ハントは理想のリーダーだ。
皆が嫌がる(危険な)仕事は自らやり。
信頼した相手にはトコトン信頼する。
だから『M:I』でCIAの極秘ファイルを危険を承知でルーサーに託したり。
『ゴースト・プロコトル』で心の傷を負ったブラントに違反を承知で真相を語ったり。
そんな男を好きにならない奴などないだろう。
そして今回はベンジー。ウソ発見器を騙してまでイーサンをかばうベンジーに対してクライマックスでイーサンは最大の行為をするのだ。
こうしてベンジー、ブラント、ルーサーのイーサンに対する “信頼”はここでは最高潮だ。これはひとつの暗殺を三人に振り向ける部下を信用していないシンジケートのボスであるレーンや自分の不始末を部下のイルサに命じておきながら非情にも切り捨てるアトリーと見事なまでに対比になっている。
だからクライマックスの“爽快感”につながっているのだ。
マッカリー監督は『アウトロー』で「男どうしにしか分からない“何か”」を全体の雰囲気として出していた。この映画の騙しあいが当たり前の世界ではそれが『アウトロー』以上にくっきりと見える感じに仕上がっていた。より具象化されたというべきか。
そして、イーサンは『スパイ大作戦』のフェルプスの立場になったのだろう。あれだけ信頼に足る男はいないのだから。
さらにこれは結局はトム・クルーズの主演作品にもなっている上手さ。
とにかく「イーサン・ハントに学ぶ人身掌握術」とか「イーサン・ハントの仕事術」とかの本ができそうな出来栄えでした。