「面白かった」ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
面白かった
スパイ映画でデータの奪い合いがいつもちょっとずつ、ネット社会に対して誤解をしているように感じる。どこかクラウドにアップすればいいじゃないかと思うし、今回もなぜモロッコなんかにわざわざデータを保存しなければならないのか意味が分からない。どこでも世界中でアクセスできるからデータであり、ネットであるのではないか。データ以外のものを奪い合った方がいいと思う。しかも個人を特定する情報が水中にあるのも、釈然としないまま物語に付き合うのはつらい。
データを閲覧するために首相を拉致というのも矛盾を感じる。首相を拉致できるくらいなら、それこそなんだってできるではないか。借金の返済のために銀行強盗をするくらいのバランスだ。最終的にはお金の問題だったので、なるほどとちょっと思ったけど、そこに至るまでみんな本当にそれを信じているのか?と茶番に付き合っている感じがした。最終的にとんでもない額のお金でもやっぱり納得はできない。
トムを殺さず、女を殺せという命令を下したせいで滅茶苦茶になる。どっちも殺さなければそんな騒動にならないのにアホかと思った。全体を計算してしっかり悪事を働いて欲しい。
『アウトロー』の名手が仕切っていてもこのようにいろいろおかしい。スパイアクションを現代で成立させて、見せ場を作ることは難しいのだろう。
アクションはどれもすごくよかった。トム・クルーズが元気で頑張ってくれていると安心するようになっている。
一番スリリングだったのはバイクのシーンで、息が詰まって苦しかった。普段安全運転しかせず、すっかりスピード恐怖症になってしまった。
特に深い感動やこころに残るものは何もなく、映画を見終わった後、何の余韻もなかった。潔いくらい何も残さない。