「モーゼの『十戒』のスペクタクル・アクション」エクソダス 神と王 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
モーゼの『十戒』のスペクタクル・アクション
『グラディエーター』では、ローマ史を題材にアカデミー賞も受賞した、巨匠リドリー・スコットが、2015年に旧約聖書のモーゼの『十戒』をモチーフに描いた、紀元前1300年の古代エジプトを舞台にしたスペクタクル・アクション大作。リドリー・スコットとしては、『グラディエーター』に続く、2匹目のドジョウを狙ったところだろうが、全体的な評価の方はイマイチ伸び悩んだ作品。
それは、肝心な『十戒』の内容が曖昧で、ヘブライの民を最後にカナンへ導きながらも到達する途中でエンドロールというのは、何となく肩透かし。それと古代エジプトを舞台にしているのに、白人俳優が王家を演じ、黒人が奴隷役を演じているのにも、当時の人々の様子を考えると違和感があるのかもしれない。
とは言うものの、壮大なアクションは、流石にリドリー・スコット作品。VFXを駆使した壮大なエジプト神殿や天変地異による醜悪な災い、激しい騎馬隊との戦闘シーンと、矢継ぎ早に織りなすスペクタクルは、観る者を飽きさせない。そして、クライマックスでのお馴染みの海が割れるシーンは、チャールトン・ヘストン主演の『十戒』での、海がパッカリ割れるシーンを思い浮かべていたので、潮の満ち引きでそのシーンを描くことで、リアリティーさも増し、個人的には面白かった。
物語は、王家の息子として育てられたモーゼが、実はヘブライの民だったということが判明し、兄弟同様に育った王ラムセスから王家を追放されてしまう。一旦は、その運命を受け入れたが、神の使いが現れ、40万人ものヘブライの民をラムセス王から開放しすることを告げる。そこで、モーゼはラムセス王への反旗を翻し、ヘブライの民をカナンへと率いていくというももの。
本作の見所は、やはりモーゼ役のクリスチャン・ベール。『ダーク・ナイト』シリーズでバットマンを演じ、その存在感とアクションへの拘りは、折り紙付き。今回も若き勇ましい兵士姿から、ラストシーンの老いた姿まで、彼の演技の深さをリドリー監督が、しっかりと引き出していた。敵役のラムセス王にはジョエル・エドガートンが演じ、シガニー・ウィーバー、ベン・キキングズレー、ベン・メンデルソーンなどが脇を固めている。