6才のボクが、大人になるまで。のレビュー・感想・評価
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とても良い映画。
観る前から、うんたぶん良い映画なんだろうなっていうのは思っていて、でもその想像以上に良い映画でした。
見ていて映画ではあるだけど本当に一人の人間の人生を見てるようでなんと言うかカメラが回ってないそのままの人間のやりとりを見ているみたいで、それくらい演技やストーリーから何まで自然に感じました。
そして何より同じキャストで数年間を取り続けていて、その生の成長の過程が見れてリアリティーがあり映画の中の成長が伝わりやすかったし親しみすら湧きました。
この映画にはたくさんのメッセージが詰まっていて見終わった後、とても考えさせられました。その中でも父親からの言葉で「自分の好きなこと、得意なことをやってそれが他人に何言われようとブラすな、自分を貫き通せと」と言う言葉があって(多少異なるかもしれません)その言葉が凄い共感が持てたしの自分の中に凄い響いてモヤモヤが晴れた感じがしました。
見た後、幸福感に包まれて、あぁ映画ってやっぱ良いな思いました。この映画に出会えたことができて幸せだし、この映画を作って頂いた方全ての方に感謝します。本当に良い映画です。ありがとございます。
大人になった日を憶えていますか?
大人になった日をおぼえていますか?
私は8歳の時です。
母が近所の保育園を辞めて、父の病院に勤務することが決まった日。母が朝早く家を出て行くので、私が父を起こし、弟を起こして食事をさせて着替えさせて保育園に送り出す役目を仰せつかった日です。
本作は「6才のボク」が18才で親元を巣立って行くまでの12年間を、同じキャストで12年間撮り続けた作品です。
6才のボクが大人になるまで。というタイトルですが、主人公メイソン(エラー・コルトレーン)は、両親(母:パトリシア・アークエット/父:イーサン・ホーク)の離婚の後、6才でヒューストンに引っ越した瞬間に大人になっていると思う。
冒頭の夢見がちなミツバチの話、学校でも問題児だったようで、そんなやんちゃな感じはすっかりなくなり、まるで悟り切った大人のような賢い目で、母親の二度の再婚・離婚でドタバタする大人達を傍観し続ける。
結果的にあんなに大人に振り回されながら、捻くれず、道に逸れず(ちょいビールとか、ちょいウィードとかありますけど)、母親も、実父を含む二人の酷い父も恨まず、真っ直ぐに大きくなっていくメイソンが凄い。偉い。そして悲しい。
でも、もうちょっと反抗とかしてくれた方が、大人の私はほっとしたかも知れません。
メイソンは、6才でもう大人だったと書きました。
実は本作で大人になるのは、メイソンではなくその両親だと思われます。(恐らく)大学生?の時にできちゃった結婚している二人は、母曰く「子供が母親になったの!」状態で、口論が絶えません。バーに行きたい!パーティーに行きたい!と。
ですが離婚した後に、週末だけ現れる駄目父のイーサンがどんどん変わって行くのが分かります。イーサン・ホークいい!ちょっと見直した!
息子とキャンプに行き、SWの新作はどんなストーリーにするか語り合い、彼女と別れた息子と女の子談義をする。息子に「自分をしっかり持て。ブレるな」と励ます。「お母さんがもう少し我慢してくれたら……」と愚痴りそうになるけど、決して母親の悪口は言わない。両親の成長が分かる、メイソンの高校卒業パーティのシーンが素晴らしい。
父親から避妊の話をされる時の、娘サマンサ(ローレライ・リンクレイター※監督のお嬢さん)の照れた表情がとてもリアルで、それは12年間一緒にいたからこそのリアクションだと思う。父と息子が語り合う時の表情も、特別なんです。確かな感情が、そこに存在しているのが分かります。
ドキュメンタリータッチ&どこの家庭にもある何気ない会話&12年間の絆で、演技を越えた演技を観ることができる希有な作品だと思います。
タイトルなし(ネタバレ)
妻と母と三人で見に行きましたが、全員不評。
まず男の子やその周辺の人が実際に歳をとっていく様は映像体験としてかなり面白いと思う。大人になった主人公の顔が画面に映った時は結構ドキッとする。そこはすごく良いのだ。
ただし、ドラマというジャンルの映画作品としては今ひとつ。なぜかと言うと、話のディテールがあまりに素朴で特異な内容がないから。
例えば、お父さんに主人公がエルフって本当にいないんだよね?と聞くシーンがある。面白いと感じる映画だと、こういう不思議なやりとりは大きなテーマに収束していく1ピースになるはずと思って注目する。しかし、この映画だと、直後のハリーポッターが当時流行っていたという話に回収されておわり。
また、お母さんが水道工事の移民に勉強しなさいと話すストーリーも、単にその後に立派に見違えたレストランの店長やりながら勉強する立派な男になって現れるというのでおしまい。
シリーズもののドラマみたいな展開で非常に凡庸な会話が垂れ流される。そんな展開で150分越えは相当長く感じるし、苦痛であった。
試みは映画史に残るピュアで強いコンセプトのものであったのでただただ残念。
おもしろかった
大好きな血と運命と宿命系の映画だった。
お母さんがたくましくなるにつれ髪の毛が短くなっていったり、乗る車がその人の人間性を表してたり、演出も好き。
自分が、主人公に少し近い家庭環境で傷ついたことがあったから、すごく共感できて応援する気持ちになれたのかもしれない。
そういう自分の人生を肯定してくれている気がして、傷ついてきてよかったとすら思えた。
オールタイムベストの1本になった、とても大切な作品。
あるままを受け入れる事、それを想う。
あまり共感できなかった
面白いけど
アメリカ物語
いまだにタイトルをしっかり覚えられない自分の頭脳は弱いこと間違いない。しかし、そんな自分でもしっかりと覚えられるタイトルを考えてほしい。危うくこんなにも素晴らしい映画を見過ごすところであった、と怒りすら覚える。
配役を何年もかえずに撮ったことに重きをおいて紹介されていた映画だが、そんな方法論など度外視して、人間関係の描写があまりにも見事で自然と泣かされた。この感覚はちょうど小津の「東京物語」を見た時と同じ。まさに現代アメリカを見事に映したっと映像作品ではないかと思う。
アカデミー賞の授賞式で─、最優秀助演女優賞を獲得したパトリシア・アークエットに皆が祝福しにやってくる─、主演のエラー・コルトレーンも歩み寄るけれどもなぜか近づくことができず─、女優は壇上へ行ってしまい、主演はうなだれ、それを父親役のイーサン・ホークが優しく抱きしめる─、そして女優はスピーチで力強く女性の権利向上を主張する─、まさに映画の中の光景そのものが現実世界でも展開されていて、リチャード・リンクレイター監督がいかに自然のまま丁寧にこの映画を描いたかをうかがえた。ここまで丁寧に描写するためには、同じ配役で12年間が必要だったのだろう。
結構長尺でかなり淡々と展開する物語ではあるが、ぜひともじっくりと見てほしい映画。
子供含めた家族の物語
6歳の少年が、大人になるにつれて家族が離れたり、くっついてはまた離れたり、と家族の構成がどんどん変わっていきます。
また、それに合わせて少年自身がワルとつるんだりとか、家族にも色々な変化がありました。
同じキャストで撮るのは相当大変だったでしょうか、最後まで撮りきれて喜んでいるのはスタッフさんたちかもしれませんね。
成長中に何があったのかが時代を感じる事が出来、それも面白さの一つではないかと思います。
ただこの映画、彼女と一緒で会話して終わりです。なんというかこう、最後の締まりがゆるく感じました。
もうちょっと前の高校卒業→大学入学するまでで終了した方が良かったのではと感じました。
アメリカ現代史
オバマ大統領の昨年のベストワンということだが…なるほど。これリベラルの観点から見たアメリカ現代史やんか。親オバマどころか反共和党ですらある(典型的テキサス家族を可笑しく描いた点は上品)。そりゃオバマも好きになるわ。冗談はさておきブッシュは死ね!
「同一キャストで12年間毎年夏に撮影して1本の劇映画を完成させる」のはリチャード・リンクレイターとはいえ負けの無い賭けではなかったはず。ただ結果は大勝利。何者でもない少年が何者かになろうとするまでの時を「実際に」切り取って見せた大傑作!
「僕らが瞬間を捉える」のではなく「瞬間は常に僕らを捉えている」
ミニマルだから普遍的。アカデミー賞はアメリカの映画賞なんやし作品賞はこれが獲ればいいと思う。他の候補作はほとんど観てないけど
きっとターゲットの年齢層は高い
99%の平凡な人生への讃歌
特筆すべきいかにも「映画的」なことは起こらない。 それなのに、まるで自分の人生のことかのようにのめり込んでいる。 原題はボーイフッド(少年時代)なのだが、多分40代以降の世代の方がグッとくるものがあるのでないだろうか。
劇中、メイソンの成長とともに「青春あるある」のオンパレードになるのだが、それよりも自分の年齢に近いから、母親のオリヴィア(パトリシア・ アークエット)の振り絞るセリフ「人生が短すぎる」が、最後に胸にズシンと響く。
孫に銃をプレゼントしたり高校卒業を祝うパーティを開いたりと、アメリカと日本では文化が違うところも多々あるが、メイソンの一家が織り成す生活は国を問わず普遍的なものばかりだ。
個人的に親が三回離婚しているので、メイソンやサマンサにすごく共感した。
自分ではどうしようもない環境の変化に「すごくムカつく」と叫ぶしかない子供の無力さ(笑)。
初めから繊細な感受性を持っているメイソンのイノセントさを、12年も表現し続けたコルトレーンは凄い。 一歩引いた目で家族を、社会を見つめ続け、でも決して誰を責めるわけでもない優しい男の子。悟ったような口ぶりもするが、その実自分の世界に入り込むことで安心感を得ている多感な状お年頃を、自然に演じていた。
成長するのは子供だけではない。 いつまでたっても子供のような夢を見ながら現実をごまかす実父のメイソンsr(イーサン・ホーク)に、共感する人も多いのではないだろうか。社会と折りあいをつけるのは、いつも女性の方が早い (笑)。
そんなイーサン・ホークの役どころはダメンズ一歩手前だったけど、子供たちと正面から向き合う姿は良かったなぁ。個人的には彼も助演男優賞もらってもいいと思ったよ。
160分は映画としてはとても長いのに、描かれていない部分をもっと見たい!という物足りなさも。特にオリヴィアが、どうしてダメンズばかり捕まえてしまうのか気になった(笑)
メイソンがラブラブだった彼女との破局までの道のりも気になる…
振り返れば最初は順調だった恋って、いつ歯車が狂ったのか不思議に思うことって、多いよねぇ…。
どんな人生を送っていても、誰にでも等しく時は流れる。
人生って滑稽で思い通りにいかなくて、いつも物足りなくて。きっとほとんどの人は自分の人生に不満足。
そんな平凡な大多数の人間への愛情あふれる映画。時間を共有しながら半生を追体験し、せつなくなりました。
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