「そして中年になるまで。」6才のボクが、大人になるまで。 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
そして中年になるまで。
アカデミー賞予想で評論家がこれが作品賞っていってたけど、
サラリと「バードマン」に持ってかれた本作。観てみれば納得。
カメラ好きのお父さんが撮り貯めたホームビデオの趣に近い。
「ビフォア~」のリンクレーター監督のリアルなダラダラ感が
私は好きだ。あの台詞もあの暴言も「あるあるネタ」に値する。
同じ役者を12年間使って一本の映画を作る。っていう実験映画
なんだけど、日本にだって同じ部類は多い。北の国からだって、
渡る世間~のえなり君だって、みんな見事に成長したもんねぇ。
子供の成長は楽しみであり残酷だ。ということがよーく分かる。
それがまさにこのリンクレーター映画なのだ。6才のメイソンが
両親の離婚から引越し、母の再婚、義父のDV、実父との交流、
初恋、挫折、夢、卒業と普通の子供が体験していく段階を生き、
もう12年も経ったんだ!を味わわせてくれる。面白いか否かと
いうよりは懐かしいかどうか、といったくだりで、誰もが体験
してきたいちばんの想い出をいま一度噛みしめるといった感じ。
P・アークエット演じる母親の結婚運のなさには泣かされるが^^;
新しい男とくっつく度にメイソンが「あーまたか」っていう顔して
ほくそ笑んでいるのが印象的。男の子ってのはホントよく見てる。
しようもない両親であろうと子供たちが一向にグレないのは凄い。
今作は夏休みの一か月を利用して毎年撮られたということなので、
季節が夏しか登場しない。継ぎ目で一年後の彼らに出逢うのだが、
あっという間に変貌を遂げた彼らの成長ぶりこそ奇跡!の賜物。
時間の経過による変貌は子供どころか親にも襲いかかるけど(泣)
12年間その姿をカメラに晒し続けたホークとアークエットには
素晴らしいの一言しかない。歳とってなんぼ。とはよくいうけど、
貫録を備えた逞しい俳優になった。映画ではほとんど中身が成長
していないところがまた魅力で、そう簡単に人間は変わらないと
いうところもよく描けている(生活面では向上しているけどね~)
(お母さんお疲れさま!あと葬式だけなんてそんなことはないから)