劇場公開日 2014年11月14日

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「人生はもっと長いと思ってた。」6才のボクが、大人になるまで。 critique_0102さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5人生はもっと長いと思ってた。

2015年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

「人生はもっと長いと思ってた。」

 母親オリヴィアが、メイソンを送り出す時に語るこの一言が、すべてなのだろう。そして、その言葉が重い意味を持つ齢に、自分もなってしまったと自覚してしまう。時に流れが緩やかで揺蕩う中で生きる時、人は幸せなのだと思う。しかし、その時代が過ぎ去り、その過去を振り返る時、ひとは人生の「短さ」に慄く。

 たかだか上映時間が165分という「短い」刹那の間に、ひとは彼らの「記録」に寄り添いながらも、自らの「記憶」をいかようにも紡ぎだそうとする。

 この映画は、現在から過去を振り返った映画ではけっしてなかった。絶え間ない現在という「瞬間」から、時を描いた映画であった。メイソンが切り取り撮す日常の風景は、私たちが生きる凡庸なる時間であり、なにも特別なものではない。しかし、その中にしか我々は生き得ることはない。12年間という絶えざる「瞬間」は、私たちにこう語りかけてくるのであろう。

critique_0102