「日常なんて、実は大したことない日常だったりするわけで。」6才のボクが、大人になるまで。 ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
日常なんて、実は大したことない日常だったりするわけで。
6歳の主人公が18歳になるまで、約12年間もかけて、
同じキャストとスタッフで、ちょっとずつ撮影する、
前代未聞の親子関係を描いた映画。
この作品の撮影にかけた情熱や労力は、
いかにも賞レース向きであり、評価されるのは当然だと思うのだが、
肝心のストーリーが個人的には全然ハマらなかったし、凡した内容で、
全く記憶に残っていないし、多分途中は寝てたと思う。
考えようによっては私が大好きな「トゥルーマン・ショー」のような、
半生モノで、映画に一本でまとめたようなスケール壮大な物語なので、
ハマってもおかしくはないはずなのだが、
この6~18歳という、外国人思春期の生意気で憎たらしいクソガキという部分が、
個人的には癪に障ったらしい。
日常を長きに渡って撮影するといっても、
その日常なんて、実は大したことない日常だったりするわけで、
だからこそ映画は、たとえばタイムスリップとか、ワンシチュエーションの奇想天外な設定とか、
非日常の設定を加えて、面白おかしく映画にしたりするわけで。
面白おかしくしない日常は、やっぱり面白おかしくはならないのだ。
海外に行って活躍したいと願い、外国語学部に入って外国語を修得した友人がいたが、
外国に行って「何」をして活躍したいのって聞いたら、
それはその時になってから考えると友人は言っていた。
結局友人は、その後何をして、どう活躍した人生を送っているのか、風聞は一切聞かなくなった。
それと同様に、何を撮りたいとなった時に、日常を撮りたいというのは、
いささか漠然とし過ぎていると思うのだ。
海外に行って通訳の仕事がしたい。だから外国語を学びたい。
そういう人なら、きっと努力次第で夢を叶えるだろう。
この映画には、そういう、何を撮りたいのかの部分が、明確に見えてこない。
親子の絆を撮りたい。どういう絆なのか、ちょっとよくわからなかったし、
平凡な見せ方だったようにも思えた。
やってることは素晴らしいが、何か刺さったかと言われると、特に何も刺さらなかった。
そういう感想の映画だった。