野火のレビュー・感想・評価
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母さん石榴の実はもうなりましたか
久々に強烈。シンレッドラインも好きだが、これも鮮烈に記憶に残りそう。
先日参加した講習会での「戦争とは戦闘の後こそが本番であり悲壮」と言う言葉を思い返しつつ凝視してしまいました。正解とは言わないけれど大事な1本。
リリー・フランキーの演技が印象に残った
私は、大岡昇平の小説に関しては流し読みした程度ですが、映画は原作を忠実に再現しているようです。戦争がいかに悲惨で無意味なものであるかを、荒々しいタッチで描いています。
映像には、いつのまにか引き込まれる力強さがありました。役者の中で特に存在感が大きかったのは後半から登場するリリー・フランキーです。彼の演じる「安田」は悪い男なのですが、あの邪悪さを自然に醸し出すのはさすがでした。
ただ、陰惨な映像の連続は見ていて心に響くものがあったのですが、何か今ひとつ迫力に足りなかったんですよね~。作品のクオリティの低さは否めないです。
例えば、兵士が撃たれて血をどばどば流して倒れるシーンがありましたが、本当は人が拳銃で撃たれても、そんな大げさに血が噴き出すことなんて無いじゃないですか。ネットでそういう動画を検索すればいくらでも出てきますから、誰でもわかります。それなのに、旧来の映画的技法を捨てきれていない感じが、なんだか古いなと思いました。そんなわけで☆2.5つ。
こわい
淡々とした構成でところどころ寝てしまった。塚本監督のテンポ感は毎回眠気を誘う。
戦争の極限状況にありながら寝てしまった。急に敵に銃を乱射される場面はびっくりした。
人肉を食べるところはそれほどセンセーショナルな表現でなくてよかった。戦争は恐ろしい。
敗走の先に
辛い
ウジ虫が生きたままの人を食べてる、その音がきこえたかと言うと、全編...
空回り気味では?
見終わった直後は、すごい衝撃を受けた気がしたが、振り返ってみると、、、
原作はだいぶ前に一度読んだきりで、詳細は覚えていないが、主人公が極度の飢餓状態で、常に意識が朦朧としたままジャングルを彷徨うという印象だけが残っていて、その感じは再現されていたと思う。
しかし、映画は冒頭からかなり辛い状況で、主人公や周りの兵がまともな感情表現をしないため、イマイチ共感しづらい。
原作に忠実なのかも知れないが、普通の人間が変わってしまう様を描くというのなら、もう少し手前の日常描写を入れても良かったのでは?
また、予算の関係で周りを撮すまいとする配慮なのか、あえて狙った演出なのか、役者のアップが続いて、何が起きてるかよくわからない場面が多々あり、ますます映画に入り辛くなった。
自然の美しさとの対比を見せたかったようで、その意図は充分伝わってきたが、ドラック的な見せ方もちょっとクドい。
日本兵が大量に殺されるシーンは、プライベート・ライアン以降の超リアルな戦争映画と比べざるをえず、どうしてもチープに見えてしまい、かえってリアリティーが損なわれている。(手足がちぎれたカットはショッキングだが、その銃撃でそうなるかな?と思ってしまった)
予算が少ないならガチの戦闘シーンは避けて、違う見せ方があったのでは?
監督自身が主演も務め、別人のように痩せた姿は凄まじいが、パンフを読むと絶食のせいで演技する余裕もなかったらしい。
つまりそれは、監督として客観的な演出が出来る状態じゃなかった、ということ?
どうも監督の思い入れが強過ぎて、空回りしてる気がした。
「野火」という作品を全く知らない人には、いまひとつ伝わない映画だと思う。
(リリー・フランキーは出ていること気づかないくらい別人で、あとで知ってビックリした)
警鐘
戦争はダメとか、悪とか、そんな事どうでもいい。
そこに行きたくない。
信念も義も、そこには何一つない。
英雄譚なんてあるわけない。
人を人たらしめんとする、その全てが入り込む隙間がない。
傭兵が主役の映画なんかクソくらえだ。
そんな事を感じた程の惨劇が投影されてました。
幼い頃、「はだしのゲン」を読んで以来の衝撃だった。
折しも戦争に関する法案が、日本で可決されようとしている。
…軍事介入はしちゃダメだ。
必ず巻き込まれる。
見解の相違とか、文化の違いとか、そんなの通用しない。やられたからやり返す。
そこに人間は居ないのだから。
理性が発現しない。
獣しかいない。
日本の一番長い日を観た後での観劇。
本国は言わば、デスクワークだったのであろう…。
現場は、文字通り「地獄」だ。
何故「死」を選択しなかったのだろう?
劇中では、残してきた者への恋慕なんかも描かれてる。
死への恐怖?
何かに負けてしまう事への憤り?
生への執着?
…俺には分からない。
映画を見ながら、何故みんな諦めないのだろうと思った…。
あの状況下、何故、生きていたいと思えたのか。
…対比なのかもな。
死んだ後が、目の前に日常的に提示され続ける。
ああは、成りたくないと思うのだろうか…。
市川崑版の「野火」にも興味がわいた
タイトルなし(ネタバレ)
大好きな塚本晋也監督の新作。
上映開始後、割と早めに彼のトレードマークである、手持ちカメラ、手ブレ、寄りの画、が見れる。あぁ、俺はいま塚本映画を観ている…という感じ。至福。
自主制作という事で、限られた予算の中で、安っぽくならないようにとても巧みに演出していた。
特に敵の爆撃シーンでは、敵の姿や爆撃機の姿は一切映る事なく描き切った。
この映画では敵の姿だけでなく、命令を下す人間なども描かれていない。
大岡昇平の原作通り、戦争を経験した兵隊の目線で描き切る。
監督は、美しい大自然の中で滑稽に四苦八苦する人間を描きたかった、という事なので、敵や上官が映らなかったのは、予算の関係だけでなく、コンセプト的にも正解だったろう。その構成は「ハウルの動く城」と同様である。あの映画も、戦争をしているとうの本人たちはほぼ出ずに戦争に巻き込まれる平民を主軸に描かれる。戦争する理由さえ謎のまま。
塚本晋也の特徴であるエグさも、屍体に出ていた。脳みそが飛びてた屍体や、その脳みそを踏んづけて走るシーンはトラウマ。また攻撃により右腕をもぎ取られた2人の兵隊が一つの腕を取り合うシーンは、プライベートライアンのブラシュアップバージョンといった感じでとても良かった。
僕の塚本晋也作品の好きな所、「ヘイズ」などに見られる、ブツブツ独り言を言ってる感じとか、好きなのだが、そういうのは割と少ない感じ。しかし、なんだか解らないが異様で恐い雰囲気。例えばヴィタールの血のない内臓や、ヘイズの一体何が起こってるのか解らない恐怖は、一体何のために戦争をしているのか、もはやそれすらもわからない、といった形で現れていた。
一見の価値は大アリの作品だと思う。
伝わることと、伝わらないこと
身体に悪い
戦争とは。
僕にとって、大岡昇平は謎の作家で、この「野火」と「事件」の両方の原作者で、まったく作風が違う。しかもどちらも評価が高く、映画人の意欲をかきたてるものになっている。
肺を病んだ田村(塚本晋也)は、病院と兵舎を行ったりきたりしているあいだに、両方が戦火の屑になる。
田村は戦地をさまようことになる。
各国の映画人が描く、これが戦争だ、という映像。塚本晋也監督の思いは、匍匐前進している部隊に機銃掃射を浴びるシーンに現れている。
腕が脚がちぎれる。顔が半分吹っ飛ぶ、おなかを撃たれて内臓がはみ出している。頭を撃たれて脳みそが飛び散る。
直截的な描写で、戦争のなんたるかを知らしめるには、強い映像であった。
終盤に出てくるカニバリズムよりも、こたえた。
市川崑の作品も観たことがあるが、もう一度見比べなければ。
監督の執念
まず、最初の印象としては本当に自主制作映画なんだと感じました。
塚本監督の苦しさがそのまま伝わるよう低予算丸出しの画はどうしても映画を助けているとは思えませんでした。塚本監督と言えば自主制作映画の神様といっても過言ではない存在です。だからこそ予算云々よりも制作意欲そのものだけで映画にしたのかなとも思います。予算繰りも非常に厳しかったのでしょう。ここで躓く観客もいるのではないでしょうか。
ただし、この状況で映画を完成までこぎ着けるのも塚本監督しかいないでしょう。制作意欲と完成させる執念、観客をなめた邦画が多く制作される昨今ではやはり稀少なもっと大切に扱われるべき映画監督と改めて思いました。
というわけで前置きが長くなりましたが本編です。監督自身からも政治的な発言があったりと見る前に多分な偏見をもちそうな内容ですが、実際は全然そんなことはありません。主義や思想、大義など関係なく戦争での「悪」をこれでもかというほど描きまくります。一兵士の戦争を執念深く、極限の飢餓、戦争という言葉に包まれない殺人、血と暑さと湿気と伝染病と未開のジャングルと、実際の戦争を低い目線で描写しています。やはり、私たちとしては「普通の人間が人間でなくなってしまう」それが戦争なんだとい心に刻まなければいけないと思います。
最後に様々な状況に負けず制作、そして公開まで辿り着いた塚本監督に改めて敬意を表します。
塚本晋也の世界の自主制作。
たぶんバランスが悪いんだ
時間があったので劇場をフラッと覗いて鑑賞
予備知識が全然なかったので開場までの時間を使って、公式HPなどで情報収集
観客はどちらかというと年配の方が多かった印象でした。59年にも一度映画化されているとのことで、「そのリメイクだ」ということで観に来ている方が多かったと考えています。
塚本監督の作品は「鉄男」「殺し屋1」を見ていて、『グロイ作品を撮る監督だ』というイメージを覆してくれることを期待していました。
肝心の感想は「最終的にグロイ映画だった・・・」です。
監督自身は「過酷な戦況」を表現したかったのだと思いますが、そのインパクトが強すぎて、そのあとのメインテーマ(食人)が全然入ってきませんでした。
自分の感想
STEP01:過酷な戦況(うぁ、結構リアルに殺すなぁ)
STEP02:過酷な戦況(うぁ、ハチの巣だぁ、脳みそ出ちゃってる、殺し屋1でもこんな感じだったなぁ)
STEP03:過酷な戦況(つーか、観に来ている、おじいちゃん達大丈夫かな?『こんな映画観に来たんじゃ無い!』とか怒ってないかなドキドキ)
↓
STEP04:食人(あーおじいちゃん達ダイジョブかな?自分は耐性あるけどドキドキ)
原作が古いことを考えると、ある程度年配の方々が観ることを考えて、戦争描写はある程度マイルドにしたほうが、よりメインのテーマが伝わると思います。(グロイ映画を見に行ったわけではないので)
演出過剰
良くない映画に共通するのは、大げさな演出である。「リアリティ」とはもっと静かな説得力であると、いろいろな映画を思い出しこの映画を見比べて思った。まず、これでもか、これでもか、の押しつけがましい”恐怖”(つまり大音響)に辟易した。つぎに兵隊たちの言葉使いが気になった。せりふの指導はなされたのだろうか。全員が東京言葉。その時代、東京出身以外の兵隊もいたろうに。それにせりふが軽い。”人肉喰らい”が原作「野火」のテーマであるが、映画ではやはり戦争そのものに吸引されなくては説得力は出ないのではないか。その点から、戦争全体を見とおす視点が欠けていることも指摘しておきたい。若者(らしい)たちは簡単に「傑作」と言うが、ショッキングな映像が「傑作」ではないことは言うまでもない。
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