ムーンライティングのレビュー・感想・評価
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ロンドンのポーランド人。ただそれだけの30日のドラマ。
撮影は「日の名残り」で、芸術品の様な映像表現を見せてくれたトニー・ピアス=ロバーツ。音楽は「デイア・ハンター」の「カバァティーナ」の作曲者であるスタンリー・マイヤー。演奏(Electric)は、後に「パイレーツ・オブ・カリビアン」で名をはせる事になるハンス・ジマー。撮影と音楽、期待するなって言う方が無理でしょ?だがしかし、結果は惨憺たるもんだった。何でなーーーん?と、絶叫し顔芸したくなるほどです。
まず音楽にガッカリ。シンセ、しょぼ。1982年ったら、ヴァンゲリスの「ブレードランナー」の年。マイク・オールドフィールドの「エクソシスト(Tublerbells)」の9年後で、タンジェリン・ドリームの「恐怖の報酬」の5年後です。ハンス・ジマーの才能は、まだ眠ってました。T・P=ロバーツの方はと言うと、いわれなきゃロバーツと判らない。こっちもショボショボでした。うーん、やっぱり彼方此方で、らしさを感じる場面はあった。
映画本編の方はと言うと。
ロンドンへ「社長の家の改築費用を安く上げるため」、ワルシャワからやって来た一人の男と三人の手下の男達のお話。週一でワルシャワの家族から掛かってくる電話だけが楽しみ。酒も無く(正確には無いのはお金)、素食で遊戯も色気も何もない。ただただ、ロンドン市内のオンボロCity Houseの改修に没頭する日々。リーダーは唯一の英語の話し手であるノバク。
ノバクは、残して来た妻恋しさに、祖国ポーランドへ電話を掛けますが交換に断られます。ポーランドではクーデターが勃発。だから繋がらないと。ノバクは、この事実を仲間に伝えず、改修工事を続行。やがて手持ちのキャッシュは乏しくなり、スーパーからの万引き(手口はちょっと複雑)で糊口をしのぎ、なんとか改修工事は完成。
ポーランドの戒厳令も解除されエアー便も復活。4人が帰国の途に就くとき、手許現金残高はわずか5ペンス。タクシーを使う事さえできない彼らは、空港まで6時間を掛け徒歩で移動。途中、ノバクはクーデターの事実と、その事実を隠していたことを仲間に伝えますが乱闘に発展、画面暗転、ジ・エンド。
大見得切った捕り物があるわけじゃ無し。事件らしい事件無し。緊迫するのは万引きシーンくらい。これがスコリモフスキの世界なのか、と勉強のための鑑賞だった。かなぁ?今、もう一度、現代劇で何かを撮れるとしたら、どんな映画を撮るんだろうか、と言う興味は沸きました。
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