虎ちゃんのご両親の表情が、前作よりもずっといい。
前作はお産がテーマだったから女性がメインだったのかな?
今作は、虎ちゃん家族は虎ちゃんとご両親が中心だが、他の二家族は男性がメインの話。
意図したのだろうか?
虎ちゃんの成長を見たくて鑑賞しました。
お父様の「欲を持たずにただ目の前の存在を愛する。修行のよう(思い出し引用)」という言葉に心をわしづかみにされる。「立てば這え、這えば歩けの親心」が当たり前の心情だろうに、ご両親は、今この時をとても大切にされている様子が映画の中にあふれる。そんなご両親のおっしゃる「成長するんだな」という言葉の重み。そして、それを映画を通して実感させてくれる虎ちゃんの表情。ご両親を見つめる嬉しそうな顔。予告にもある、お母さまから目を離して、たぶん近づいてきたカメラか何かを「何?」と言う感じで見つめるときの表情。…すべてが愛おしくなってくる。そこにいてくれるだけでいいんだよと、その存在自体を愛おしむ感覚を分けていただける。
こんな日々がずっと続きますようにと願わずにはいられません。
「血が繋がらないから」と悩んでいた父子にもエールを送りたくなる。
実子が誕生した時の反応も、あまりにもありがちで、脚本?と言いたくなるほど。その父の継父の有様に感服いたしました。血よりも濃い家族の時間を確信させてくれます。
”本当のお父さん”て何なのでしょうね。
虐待のニュースが世間を騒がせることが多いが、そもそも事件にならないとニュースにならない。制作者が”問題”意識をもって作り上げるものもあるけれど。家族の生活・歴史的にはハプニング続きでも、特に世間一般が関心持つようなニュースになるとか、”問題”意識を刺激するような出来事がない家族は、ニュース等では取り上げられない。ステップファミリーでも”家族”になっている”家族”はたくさんいる。
このお父さんの不安は、ご自身の体験から出ているようだからーー今は良い関係だけれど、知った時とか、思春期にはいろいろあったのだろうかーー、そこを掘り下げてくれたらと思うのだが、ちょっと表面をさらった感じになってしまって、残念。
この二組に、老夫婦の話=死と喪の作業を持ってくる。
前作で命の誕生にまつわるあれこれを映像に収め、上記二つは子育ての中での思い・迷いを収める。そこにいきなり家族の行きつく先を見せられ、正直戸惑ってしまった。監督とプロデューサーの中では繋がっているのだろうが、唐突。喪の作業を通して、「ずっといっしょ」を描きたいのなら、前作みたいに、このワークに取り組んでいる方々を数組取材してドキュメンタリーにした方が、受け取りやすかったと思う。映画のテーマが分散してしまった感じ。
『日建X woman』2014年11月21日、清水さんが書いた、監督・プロデューサーご夫妻へのインタビュー記事に載っていた話によると、編集が終わった映画を公開前に、出演してくださった方々にチェックしていただいて、公開してもよいかを確認しているとのこと。
だから切り込み方が足りなくなるのかもしれない。
そういう事情を加味したとしても、監督の演出意図には、上記や下記のように疑問が残る。
「生れる前、天国からお母さんを選んできたんだよ」って、前作から使われているけど、無い方がすんなり見られる。この部分があるがために、監督の恣意的な要素が入っているの?ドキュメンタリーと言っているけど、やらせ?って印象がついてしまう。
解説読むと監督御自身が親子関係に悩んでいて…とあるから、監督にとって大切なことなんだなと思いますが、協力して下さった親子だけでも十分見せてくれるので、やっぱりいらないかな?
せっかく良い題材をテーマにしているのに、もったいない。
とはいえ、皆様に「幸あれ」とお祈りしています。